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元後ろ盾の感謝
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アメリア・ハーベイ伯爵令嬢はギリギリ間に合った。聖女が帰る前に、イーサン第二王子との婚約を無事に解消まで持って行くことが出来た。イーサンはアメリアの判断を、愚かな選択だと馬鹿にしていたが、アメリアはそんな小言など意に介さなかった。
イーサンが第二王子と言われ続けたところで彼が王位を継ぐなんて万に一つもないだろう、とハーベイ伯爵家、ひいてはアメリアもそう思っていたからだ。
(王族に残れたことだけでも感謝しておけば良かったのに。)
アメリアは聖女マユに逃げられたと悟った後の元婚約者ご一行を見て、笑いを堪えることが難しかった。
杜撰な計画なのに、何故か皆マユが自分のために動くと信じて疑わなかった、ある意味、純粋な人達は、事情を知らない人達でも察するほどあからさまに、ショックを受けていた。
アメリアからすれば、あの召喚された聖女が彼らの企みに少しでも勘付くか、もしくは本人は知らなくても巧みに誘導されれば、簡単に掌を返されるぐらいの関係性だったと思う。彼らの中身のない話を聞いているだけで頭が痛くなったアメリアは彼らとマユの頭の中は似たようなもの、即ち同族だったように見えた。
あのマユという聖女は、よく彼らを引き連れては、アメリア達にマウントでも取るように薄気味悪い笑顔を浮かべていた。
まるでマユさえいれば、自分で努力しなくても王位を取り戻せる、と思い込んでいる元婚約者イーサンととても似合いの性根。
聖女マユの人を下に見た目を思い出す度にアメリアは楽しくて楽しくて笑い出したくなる。あんな屑にチヤホヤされて、あんな得意げな顔をして!
流石に品がないかと、自分を律したアメリアだったが案の定訪れた客人によって更なる笑いを贈られることになるとは思ってもいなかった。
「おい。どういうことだ。貴様、私と婚約解消などと。」
伯爵家の家令が止めたにも関わらず、不法侵入して来た元婚約者は暴れる前にお帰りいただくことになった。一応まだ王族だから、丁寧には対処しなければ、と思っていたのだが。
「第一王子とそっくりですわね。さすがご兄弟ね。」
そう、詰めの甘さは本当にそっくり。
伯爵家だと散々アメリアを下に見て来た彼は、ずっと婚約を解消させたがっていたというのに、実際に後ろ盾を失って見たら、不味いと気がつくなんて。
婚約をやめたとして、痛くも痒くもないハーベイ家は第二王子を切り捨てることで王太子を支持することにした。
元々こうしたかったのだ。ロジーナ様について行きたかった身としては。
アメリアは、第一王子の元婚約者のロジーナを尊敬を通り越して崇拝していた。彼女を助ける為に、第二王子の婚約者になった程。
そして、第一王子を誘惑したオーロラ嬢の魔の手から彼女を逃す為に一旦敵の懐に入り込みたかった。
オーロラ嬢は聖女としては優秀だ。だってロジーナから全てを奪うことができたのだから。女神の寵愛も、ロジーナの努力も全て。
いつも穏やかで、聖女らしい聖女は、ロジーナよりも聖女にも、王妃にも相応しい。そんな風潮が、アメリアにはとても不可解に思えた。
誰にも好かれるなんて、そんな人間が居るはずもないのに。
愚かな婚約者は役に立ってくれた。彼女の興味をロジーナからマユへ移すことができたのは、彼のおかげだ。その点だけは感謝していた。
イーサンが第二王子と言われ続けたところで彼が王位を継ぐなんて万に一つもないだろう、とハーベイ伯爵家、ひいてはアメリアもそう思っていたからだ。
(王族に残れたことだけでも感謝しておけば良かったのに。)
アメリアは聖女マユに逃げられたと悟った後の元婚約者ご一行を見て、笑いを堪えることが難しかった。
杜撰な計画なのに、何故か皆マユが自分のために動くと信じて疑わなかった、ある意味、純粋な人達は、事情を知らない人達でも察するほどあからさまに、ショックを受けていた。
アメリアからすれば、あの召喚された聖女が彼らの企みに少しでも勘付くか、もしくは本人は知らなくても巧みに誘導されれば、簡単に掌を返されるぐらいの関係性だったと思う。彼らの中身のない話を聞いているだけで頭が痛くなったアメリアは彼らとマユの頭の中は似たようなもの、即ち同族だったように見えた。
あのマユという聖女は、よく彼らを引き連れては、アメリア達にマウントでも取るように薄気味悪い笑顔を浮かべていた。
まるでマユさえいれば、自分で努力しなくても王位を取り戻せる、と思い込んでいる元婚約者イーサンととても似合いの性根。
聖女マユの人を下に見た目を思い出す度にアメリアは楽しくて楽しくて笑い出したくなる。あんな屑にチヤホヤされて、あんな得意げな顔をして!
流石に品がないかと、自分を律したアメリアだったが案の定訪れた客人によって更なる笑いを贈られることになるとは思ってもいなかった。
「おい。どういうことだ。貴様、私と婚約解消などと。」
伯爵家の家令が止めたにも関わらず、不法侵入して来た元婚約者は暴れる前にお帰りいただくことになった。一応まだ王族だから、丁寧には対処しなければ、と思っていたのだが。
「第一王子とそっくりですわね。さすがご兄弟ね。」
そう、詰めの甘さは本当にそっくり。
伯爵家だと散々アメリアを下に見て来た彼は、ずっと婚約を解消させたがっていたというのに、実際に後ろ盾を失って見たら、不味いと気がつくなんて。
婚約をやめたとして、痛くも痒くもないハーベイ家は第二王子を切り捨てることで王太子を支持することにした。
元々こうしたかったのだ。ロジーナ様について行きたかった身としては。
アメリアは、第一王子の元婚約者のロジーナを尊敬を通り越して崇拝していた。彼女を助ける為に、第二王子の婚約者になった程。
そして、第一王子を誘惑したオーロラ嬢の魔の手から彼女を逃す為に一旦敵の懐に入り込みたかった。
オーロラ嬢は聖女としては優秀だ。だってロジーナから全てを奪うことができたのだから。女神の寵愛も、ロジーナの努力も全て。
いつも穏やかで、聖女らしい聖女は、ロジーナよりも聖女にも、王妃にも相応しい。そんな風潮が、アメリアにはとても不可解に思えた。
誰にも好かれるなんて、そんな人間が居るはずもないのに。
愚かな婚約者は役に立ってくれた。彼女の興味をロジーナからマユへ移すことができたのは、彼のおかげだ。その点だけは感謝していた。
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