14 / 17
お花畑の伯爵令嬢
しおりを挟む
「聖女なんて、単に自分でそう言っているだけで、何の力もないに決まってるわ。」
女神の声が聞こえる、と言って好き勝手している「聖女」をアメリアは滑稽に思っていた。もし女神が愛し子を本気で選ぶなら、あのオーロラなんて選ばないと、昔母が言っていたからだ。母はいつのまにかいなくなり、母の話をするのは禁止となった。詳細は教えてもらえなかったが、父からは「決してオーロラ嬢に近づいてはいけない」と言われたから、きっと彼女が何かをしたのだと思う。彼女は公爵令嬢なのに、ロジーナ様とは違って、お花畑みたいな純粋無垢な発言ばかりしている。幼い子じゃあるまいし、馬鹿なんじゃないの?
伯爵令嬢のアメリアは何かないと公爵令嬢とは話もできない。絡むことはそもそも少ないけれど、令嬢達に人気のロジーナ様を独り占めしては、レオン様やクリス様の手を煩わせる彼女に、嫌味を投げても気づきもしない。
第一王子の失脚の後、第二王子の婚約者となったアメリアに、公爵家のクリス様が王太子になったと知らせが入った時には呆然とした。普通は第二王子が繰り上がるんじゃないの?だから、私がわざわざ第二王子の婚約者になったのに。このまま行くとあの大嫌いな花畑女が王妃になってしまう。
ロジーナ様ならまだしも、あんな女に負けるなんて絶対に嫌。
アメリアは伯爵令嬢でしかなかったがロジーナのいない今、爵位を考えなければオーロラよりも人気があるのは自分だと思っていた。今までは第二王子という婚約者がいたから素直になれなくても、自分がフリーになれば縁談など引く手数多だと。だけど、どういう訳か、婚約は解消になったというのに、他家からの釣書は思うようには届かなかった。
「あの女が邪魔をしているんだわ。」
苛々としても状況は変わらない。ロジーナに訴えて何とかして貰おうにも返事が届かないのだ。
ロジーナがダメなら、クリス様に目を覚ましてもらうしか無いわ。だって彼は本当はアメリアと婚約したいと思っていたのだと、母が昔言っていたもの。彼の初恋はアメリアかもね、そう言う母にはもう会えないからそれが本当のことだったのかもう聞くことはできない。でも、あれだけ自信満々なら多分本当よね。
そうは思っても、一介の伯爵令嬢に王太子に直接会える機会などなく。父に頼ろうかと悩んでいると、思わぬところから、声がかかる。第二王子の元側近のグレイズ・アドナーは、未だにマユとやらを探しているようで、アメリアは彼らを使えばよいのだとほくそ笑んだ。
聖女マユも、オーロラと同じ男好きだったから彼女がクリスに迫っていたといえば、オーロラが疑われると考えた。真実なんてどうでも良くて、オーロラが疑われることが全てなのだ。アメリアには明確にオーロラを害したいと言う意思があった。今や女神の愛し子はオーロラただ一人。その事実に気づきもせずに。
女神の声が聞こえる、と言って好き勝手している「聖女」をアメリアは滑稽に思っていた。もし女神が愛し子を本気で選ぶなら、あのオーロラなんて選ばないと、昔母が言っていたからだ。母はいつのまにかいなくなり、母の話をするのは禁止となった。詳細は教えてもらえなかったが、父からは「決してオーロラ嬢に近づいてはいけない」と言われたから、きっと彼女が何かをしたのだと思う。彼女は公爵令嬢なのに、ロジーナ様とは違って、お花畑みたいな純粋無垢な発言ばかりしている。幼い子じゃあるまいし、馬鹿なんじゃないの?
伯爵令嬢のアメリアは何かないと公爵令嬢とは話もできない。絡むことはそもそも少ないけれど、令嬢達に人気のロジーナ様を独り占めしては、レオン様やクリス様の手を煩わせる彼女に、嫌味を投げても気づきもしない。
第一王子の失脚の後、第二王子の婚約者となったアメリアに、公爵家のクリス様が王太子になったと知らせが入った時には呆然とした。普通は第二王子が繰り上がるんじゃないの?だから、私がわざわざ第二王子の婚約者になったのに。このまま行くとあの大嫌いな花畑女が王妃になってしまう。
ロジーナ様ならまだしも、あんな女に負けるなんて絶対に嫌。
アメリアは伯爵令嬢でしかなかったがロジーナのいない今、爵位を考えなければオーロラよりも人気があるのは自分だと思っていた。今までは第二王子という婚約者がいたから素直になれなくても、自分がフリーになれば縁談など引く手数多だと。だけど、どういう訳か、婚約は解消になったというのに、他家からの釣書は思うようには届かなかった。
「あの女が邪魔をしているんだわ。」
苛々としても状況は変わらない。ロジーナに訴えて何とかして貰おうにも返事が届かないのだ。
ロジーナがダメなら、クリス様に目を覚ましてもらうしか無いわ。だって彼は本当はアメリアと婚約したいと思っていたのだと、母が昔言っていたもの。彼の初恋はアメリアかもね、そう言う母にはもう会えないからそれが本当のことだったのかもう聞くことはできない。でも、あれだけ自信満々なら多分本当よね。
そうは思っても、一介の伯爵令嬢に王太子に直接会える機会などなく。父に頼ろうかと悩んでいると、思わぬところから、声がかかる。第二王子の元側近のグレイズ・アドナーは、未だにマユとやらを探しているようで、アメリアは彼らを使えばよいのだとほくそ笑んだ。
聖女マユも、オーロラと同じ男好きだったから彼女がクリスに迫っていたといえば、オーロラが疑われると考えた。真実なんてどうでも良くて、オーロラが疑われることが全てなのだ。アメリアには明確にオーロラを害したいと言う意思があった。今や女神の愛し子はオーロラただ一人。その事実に気づきもせずに。
158
あなたにおすすめの小説
魅了魔法に対抗する方法
碧井 汐桜香
恋愛
ある王国の第一王子は、素晴らしい婚約者に恵まれている。彼女は魔法のマッドサイエンティスト……いや、天才だ。
最近流行りの魅了魔法。隣国でも騒ぎになり、心配した婚約者が第一王子に防御魔法をかけたネックレスをプレゼントした。
次々と現れる魅了魔法の使い手。
天才が防御魔法をかけたネックレスは強大な力で……。
聖女の御技を使いましょう
turarin
恋愛
公爵令嬢スカーレットは、幼い頃から皇太子スチュアートの婚約者である。
穏やかな温かい日々を過ごしていたかが、元平民の聖女候補、メイリンの登場で、事態は一変する。
スカーレットはメイリンを妬み様々な嫌がらせをしたと噂される。
スチュアートもスカーレットを庇おうとはしない。
公爵令嬢スカーレットが、黙ってやられるわけが無い。幼い頃から皇太子妃教育もこなし、その座を奪おうとする貴族達を蹴散らしてきた百戦錬磨の『氷姫』なのだから。
読んでくださった方ありがとうございます。
♥嬉しいです。
完結後、加筆、修正等たくさんしてしまう性分なので、お許しください。
欲深い聖女のなれの果ては
あねもね
恋愛
ヴィオレーヌ・ランバルト公爵令嬢は婚約者の第二王子のアルバートと愛し合っていた。
その彼が王位第一継承者の座を得るために、探し出された聖女を伴って魔王討伐に出ると言う。
しかし王宮で準備期間中に聖女と惹かれ合い、恋仲になった様子を目撃してしまう。
これまで傍観していたヴィオレーヌは動くことを決意する。
※2022年3月31日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
【完結】わたしは大事な人の側に行きます〜この国が不幸になりますように〜
彩華(あやはな)
恋愛
一つの密約を交わし聖女になったわたし。
わたしは婚約者である王太子殿下に婚約破棄された。
王太子はわたしの大事な人をー。
わたしは、大事な人の側にいきます。
そして、この国不幸になる事を祈ります。
*わたし、王太子殿下、ある方の視点になっています。敢えて表記しておりません。
*ダークな内容になっておりますので、ご注意ください。
ハピエンではありません。ですが、救済はいれました。
新しい聖女が優秀なら、いらない聖女の私は消えて竜人と暮らします
天宮有
恋愛
ラクード国の聖女シンシアは、新しい聖女が優秀だからという理由でリアス王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。
ラクード国はシンシアに利用価値があると言い、今後は地下室で暮らすよう命令する。
提案を拒むと捕らえようとしてきて、シンシアの前に竜人ヨハンが現れる。
王家の行動に激怒したヨハンは、シンシアと一緒に他国で暮らすと宣言した。
優秀な聖女はシンシアの方で、リアス王子が愛している人を新しい聖女にした。
シンシアは地下で働かせるつもりだった王家は、真実を知る竜人を止めることができない。
聖女と竜が消えてから数日が経ち、リアス王子は後悔していた。
石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど
ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。
でも私は石の聖女。
石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。
幼馴染の従者も一緒だし。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる