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ハインツと義理の甥
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義兄の息子、それ以外に特に思うことはない。ハインツは牢に入れられてもまだ尚騒いでいる男を冷ややかに眺めた。ベアトリスらが向かうと言うので、一緒に来たのだが、男はベアトリスらを見ると、心底ホッとしたようで、「助けに来てくれたのか!」と、見当違いのことを喚いている。
その勘違いもさながら、ベアトリスを見る目の気持ち悪さに、彼女を隠してしまいたい衝動に駆られる。
「そんなわけないじゃないですか。」
アリーチェと、ローゼリアは呆れている。彼女達を見る目は普通に見えるのに、ベアトリスを見る目だけが気になるのは、どう言う訳だろう。
男はやはり王妃候補の彼女に一番思い入れがあるのか、と身構える。
「三人とも、何故そのように思ったのかわからないが、私の心は、君達と共にあるんだ。彼女だけを愛することはない。ちゃんと、君達も同様に愛してるんだ。だから、戻ろう。いじけていないで、私と帰ろう。」
牢の格子を超えて、手を伸ばしてくる男からベアトリスを引き離し、間に入ると、不機嫌な顔をした男に大声で罵倒される。
「不敬だぞ。彼女は私の婚約者だ。お前如きが……」
「もうすでに貴方の婚約者ではなくなっておりますわ、エリオス様。あと、貴方の身分もすでに王子ではなくなっていますよね?それに、義理といえども陛下の弟であるハインツ様に失礼ではございませんか?」
ベアトリスの親切な間違い探しに、気がつくこともなく、エリオスは叫ぶ。
「そんな訳はない。まだ間に合う。君達が戻れば、何もなかったことになり、私が返り咲けるんだ。」
盲目的に自分が王子である、と言い張る彼に同情しながらも、ハインツは仕入れたばかりの真実を告げる。
「いや、先程あった知らせには、君は既に王族籍ではなくなっている。王妃様が目覚めて、全て采配なされたそうだ。君の身分は、今のところ貴族籍ではあるが、男爵家に婿入りしない限りは平民になり、君が拒んだとしてもそれは変わらない。あと、君が愛妾としようとしていた子爵家の二人のご令嬢は、慰謝料として、王妃付きの侍女として雇われることになった。ヘンドリックからの情報だから、信じていいと思うよ。」
「ヘンドリック兄上が?と言うか、お前は一体誰なんだ。私の父の兄弟は一人しか……」
話している途中で何かを思い出した様に声が小さくなる様子は少し面白かった。
「エリオス、君とはあまり会うことはなかったが、私の名前ぐらいは聞いたことがあっただろう。」
「ハインツ」
「そう、知ってくれていた様で嬉しいよ。」
「お前の名前は、聞き飽きた。」
恨みのこもった目をして睨みつけるエリオスの態度にベアトリスは忘れていた記憶を思い出す。
一時期、神童と呼ばれていたエリオスに立ち塞がる壁は、父の陛下ではなく、陛下のすぐ下の叔父でもなく、亡命し、今はいないハインツだった。
皆口を揃えて、彼に対して口にしたのは、ハインツの聡明さだった。陛下がエリオスから興味を失った理由はそれかもしれない。
エリオスは叔父のハインツに似て、聡明だと、言われ過ぎていた。何をやっても何を言っても、ハインツのようだ、と言われ、さらに言うと、超えられない壁として立ちはだかる。
過去の人物だと、己の感情を抑えていたのに、その相手がそこにいる。しかも、自分を王にしてくれる相手を手中におさめて。
「ベアトリスは渡さない。」
「だから、私は貴方のものではありません。」
ベアトリスは力の限り叫んだが、興奮しているであろうエリオスが気がつくことはなかった。
その勘違いもさながら、ベアトリスを見る目の気持ち悪さに、彼女を隠してしまいたい衝動に駆られる。
「そんなわけないじゃないですか。」
アリーチェと、ローゼリアは呆れている。彼女達を見る目は普通に見えるのに、ベアトリスを見る目だけが気になるのは、どう言う訳だろう。
男はやはり王妃候補の彼女に一番思い入れがあるのか、と身構える。
「三人とも、何故そのように思ったのかわからないが、私の心は、君達と共にあるんだ。彼女だけを愛することはない。ちゃんと、君達も同様に愛してるんだ。だから、戻ろう。いじけていないで、私と帰ろう。」
牢の格子を超えて、手を伸ばしてくる男からベアトリスを引き離し、間に入ると、不機嫌な顔をした男に大声で罵倒される。
「不敬だぞ。彼女は私の婚約者だ。お前如きが……」
「もうすでに貴方の婚約者ではなくなっておりますわ、エリオス様。あと、貴方の身分もすでに王子ではなくなっていますよね?それに、義理といえども陛下の弟であるハインツ様に失礼ではございませんか?」
ベアトリスの親切な間違い探しに、気がつくこともなく、エリオスは叫ぶ。
「そんな訳はない。まだ間に合う。君達が戻れば、何もなかったことになり、私が返り咲けるんだ。」
盲目的に自分が王子である、と言い張る彼に同情しながらも、ハインツは仕入れたばかりの真実を告げる。
「いや、先程あった知らせには、君は既に王族籍ではなくなっている。王妃様が目覚めて、全て采配なされたそうだ。君の身分は、今のところ貴族籍ではあるが、男爵家に婿入りしない限りは平民になり、君が拒んだとしてもそれは変わらない。あと、君が愛妾としようとしていた子爵家の二人のご令嬢は、慰謝料として、王妃付きの侍女として雇われることになった。ヘンドリックからの情報だから、信じていいと思うよ。」
「ヘンドリック兄上が?と言うか、お前は一体誰なんだ。私の父の兄弟は一人しか……」
話している途中で何かを思い出した様に声が小さくなる様子は少し面白かった。
「エリオス、君とはあまり会うことはなかったが、私の名前ぐらいは聞いたことがあっただろう。」
「ハインツ」
「そう、知ってくれていた様で嬉しいよ。」
「お前の名前は、聞き飽きた。」
恨みのこもった目をして睨みつけるエリオスの態度にベアトリスは忘れていた記憶を思い出す。
一時期、神童と呼ばれていたエリオスに立ち塞がる壁は、父の陛下ではなく、陛下のすぐ下の叔父でもなく、亡命し、今はいないハインツだった。
皆口を揃えて、彼に対して口にしたのは、ハインツの聡明さだった。陛下がエリオスから興味を失った理由はそれかもしれない。
エリオスは叔父のハインツに似て、聡明だと、言われ過ぎていた。何をやっても何を言っても、ハインツのようだ、と言われ、さらに言うと、超えられない壁として立ちはだかる。
過去の人物だと、己の感情を抑えていたのに、その相手がそこにいる。しかも、自分を王にしてくれる相手を手中におさめて。
「ベアトリスは渡さない。」
「だから、私は貴方のものではありません。」
ベアトリスは力の限り叫んだが、興奮しているであろうエリオスが気がつくことはなかった。
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