最後のスチルを完成させたら、詰んだんですけど

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番外編 ねぇ、どんな気持ち?

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モニカが牢に入って数日、彼女の元に訪ねてきたのは、彼女に襲われた被害者である元王女。エルフリーデ・ギルマン伯爵夫人。

彼女はいつもの淑女然とした表情ではなく、悪戯が見つかった子供のような顔をモニカに向けた。

「エルフリーデ、貴女よく私の前に来られたわね。今からでも良いわ。ちゃんと私のサポートをしなさいよ。」

「いやよ、そんな面倒なこと。」

「は?あんた、一体どう言うつもり?」 

「貴女こそ、何様のつもり?あーあ、せっかくの前世持ちなんだから、国の為になることをしてくれなきゃ。宝の持ち腐れよ。」

「あんた、まさか……あんたも前世持ちね。」

『ええ、そうよ。』

エルフリーデがかろうじて覚えている日本語で話し始めると見る見るうちにモニカの顔色が変わった。

ここに来て漸く自分の攻略がうまくいかなかった理由に辿り着くなんて随分とのんびりしている。

『日本語……あんた、もしかして……あんたが私の邪魔をしてたの?』

『ええ、私、ジークフリート推しだったの。多分貴女もよね。私、エルフリーデに生まれて思ったの。ジークフリートとリーゼロッテはとてもお似合いだって。ヒロインが相手だと、少し物足りないのよね。ほら、見た目が。やっぱり男爵令嬢と公爵令嬢だったらほら、かかっている金額だって違うでしょ。』

『貴女はどれだけ頑張っても兄なんだから、譲ってくれてもよかったじゃない。コンラートで我慢しなさいよ。強欲ね。』

『私、推しがお兄様になって嬉しかったわ。リーゼロッテも女性の中ではヒロインよりも好きだったのよ。だから、前世でもこの二人がくっつけば良いのに、って思ってたわ。念願が叶って良かった。』

モニカは何故失敗したのかわかって、放心してるようだった。だけどエルフリーデはまだやめてやる気はない。一番言いたいことを言えてないからだ。

『そういえば、私ね。前世の二番目の推しはコンラートだったの。ゲームをしていてね、彼のルートのスチルでどうしても手に入れられなかったものがあるの。それがね、今回貴女のおかげで手に入ったの、ありがとう。まあ、最後のスチルを手に入れたら、詰んだんだけどね。まあ、その先が彼と一緒に生きるってことなら、嬉しい詰みよね?』

『あんた、良い性格してるわね。それを言うためだけに来たの?』

『ええ、私、貴女が嫌いなの。残り少ない人生、スチルの思い出があるから、楽しめるわよね?』

エルフリーデは今まで一度も見せたことのない笑顔をモニカに向ける。モニカは今後自分の罪に向き合わないといけない。ただし、どれだけ辛い目に遭ったとしてもきっと最推しとの思い出だけで生きていけるはずだと、同じジークフリート推しだった者の目線からそう思う。

もう私は推し変してしまったけれど。

エルフリーデが前世で一度も手に入れられなかったコンラートルートの最後のスチルは、襲われそうになったエルフリーデを助けに来るコンラートの姿。

前世ではエルフリーデを助けることは叶わなかった。助けられたのは今回で初めて。それは襲撃犯が今回だけ詰めの甘いモニカだったから。

だから、全てはモニカのおかげである。

エルフリーデは大好きな夫の元に帰る。帰る場所があるのも、今が幸せなのも、全てモニカのおかげである。流石ヒロイン様よね。

それだけ感謝していたのに、屋敷に帰る頃にはモニカのことはすっかり忘れていた。エルフリーデはコンラートさえいれば後はどうでも良かった。所謂似た者夫婦である。

自分が前世を、思い出したのも兄夫婦の為ではなく、自分とコンラートの為だったのかもしれない。

終わり
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