ヒロインの味方のモブ令嬢は、ヒロインを見捨てる

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王子様とのお茶会

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婚約者候補として、エトワール様をお迎えする。エトワール様はニコニコと終始笑顔でお元気そうだった。

「何か良いことでもありましたか?」
クリクリのまん丸な目を更にまん丸にして、笑いかけてくる。

「サラ嬢にお会いできると思うとどうしても顔がにやけてしまうんだ。」

エトワール様がテヘヘ、と笑っている。どこまで本気なのかわからない。こう言う社交辞令を鵜呑みにしない程度には貴族令嬢として、教育はきちんと受けている。

だけど、やはり至近距離でニコニコと笑みを浮かべながらだと、照れてしまうのは、仕方がないことで、顔を赤くした私に、エトワール様が更に笑みを深くしたことなどは見ないフリをした。そのままでも、私の身が持ちそうにないことは、わかり切ったことだ。

エトワール様はいつも以上にほんわかした雰囲気を漂わせている。正直、この人が第二王子で大丈夫なのか、と思ったこともある。とはいえ、第一王子であり、エトワール様のお兄様であるリカルド様も、笑顔の可愛らしい方だけど。

まあ、あちらは既に成人されているし、厳しい顔もできるので、心配はないのだけれど。エトワール様は、知る限り、おっとりとした顔しか見せない。私にだけなのかしら?

実際は、裏で厳しい顔も見せることがあるのか、わからない。

「このお茶おいしいですね。」
「うん、ロバートのお土産だよ。」
「帰ってこられているのですか?」
「うん、一瞬だけどね。」
ユリアーナ様の想い人であるロバート・ユーグ様は、忙しい身で、いろんな国を飛び回っている為、帰っている期間は一瞬だそうだ。

「今頃は、ユリアーナ嬢と会っている頃だろうよ。」

「あの、ユーグ様はユリアーナ様のこと、どう想っていらっしゃるのでしょう?」

ユリアーナ様の想い人は、話で聞いたことぐらいしかなくて、よく知らない。あのユリアーナ様の恋する表情を見てしまったら、絶対にうまくいってほしい。

エトワール様は、真顔で、ともすれば、少し嫌そうな顔をされて、吐き出す。

「控えめに言って、溺愛、だな。あいつからすれば、世界はユリアーナ嬢とその他という括りで、一時期奴からの愛を受け取ることが娘には難しいと判断した公爵夫妻が、一旦ユリアーナ嬢を私の婚約者候補としたんだよ。だから、今頃は、ユリアーナ嬢と楽しい時間を過ごしている筈だよ。」

エトワール様の嫌そうな顔は珍しい。

「ユーグ様とエトワール様は仲が良いのですか?」

「いや、全くだよ。ユリアーナ嬢以外だからね。私は。」

「ああ、その他の分類に入るのですね?」

「そうだ。いつか会うこともあるだろうが、人間らしい対応は期待しない方が良い。」

「私も、その他ですもの。わかりますわ。」


ゲームとは異なるが、ユリアーナ様を大切に思ってくださるのでしたら、きっと良い方に違いないです。

「最近、そういえば、カトリーヌ嬢の件で、彷徨いている奴がいるみたいだから、君も気をつけて。貴族のご令嬢はそれがなくても狙われるからね。」

そう言いながら、魔道具を渡される。

「これを次に会う時まで身につけていて。使わなければ良いけれど、念のためだよ。私は君以外と婚約する気はないんだ。絶対に危ないことはしてはいけないよ。危ないと思ったら死に物狂いで逃げてほしい。あとは必ず護衛を、つけること。こちらから貸し出しもできるからね。いつでも言うんだよ。」

エトワール様は心配しすぎだけど、心配してくれるのは嬉しい。

お父様にも言われた通り、危ないことがあるなら、自分で何とかしようと思わずにお父様やエトワール様を頼れば良い。

私はモブ令嬢だから、大それたことをする担当ではない。少し気が楽になると、エトワール様に、頷いた。



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