ヒロインの味方のモブ令嬢は、ヒロインを見捨てる

mios

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ヒロインの価値

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「いつまで、こんなことしなきゃいけないわけ?」
手当たり次第に物を投げつけては、汚い言葉で罵り義務を放棄する方法は、カトリーヌが貴族になってから身につけた悪習だ。

ただし、それは男爵の人徳によって、許されていただけのことであって、当然他では認められていない。

新しい飼い主は気にも留めない。カトリーヌに元より興味がない。

「何度も説明しただろう。今現在、それ以上言うことはないよ。」

だから、黙ってやれ、と暗に含めたのだが。

「何よ。あんなの説明じゃないじゃない。」

カトリーヌは最後は諦めるのだから、と暴れるのをそのままにしておく。どちらにしろ、壊れて困るものはあの部屋にはない。

寧ろ、カトリーヌ含め、壊れてしまった方が都合が良い物ばかり。

彼女は都合の悪い話は忘れてしまう性質らしい。それについては、カトリーヌばかりではない。自分の周りにも思い当たる人物が一人や二人いるので、それについてはよしとしよう。

この屋敷にお越しいただいたその日にカトリーヌがこの先しなければいけないことを話している。

それに、これはカトリーヌ本人が選んだのだ。選択したのは自分だと言うのに、責任をとらないなんて、呆れる。

「君は選んだじゃないか。本当のご両親に会いたいと。だから、そうさせてあげようと、教育を施してあげてるんだよ?今のままの君だとマナーがなさすぎて、偽物だと思われかねない。偽物だと思われればすぐさま斬り捨てられるだろう。君の父親は隣国ではそれなりの地位を築いている方だからね。母親はそれはそれは有名な人だし。なのに、マナー教育をしたくない?会わずに殺されても良いの?後悔しない?」

隣国でそれなりの地位にいる人をどう解釈したのかは、知らないが、少し黙ったあと、静かに言い放った。

「私が、両親に認められたなら、あんたなんか殺してやるわ。」

頭の悪い奴の思考回路は単純だ。自分に都合よく現実を歪めてしまう。現実をみろよ、と言いたい。何故そんなに自信満々に自分が素晴らしい人間だと思えるんだ。

だからこそ、助かってるんだけど。

自分を騙して連れてきた男の言うことなんて素直に聞くなよ。カトリーヌの威勢の良さを憐れに思いながら、これからの予定がうまくいきそうだとほくそ笑む。



それにしたってよく似ている。カトリーヌの実の母とされる人と、カトリーヌは瓜二つだ。顔は勿論のこと、その偉そうな態度も、自分の都合の良いことばかり考える残念な頭も、誰もが自分を好きに違いないと思えるお花畑な中身も。




心配しなくとも、きっと君なら大丈夫だ。君の父親は認めてくださるさ。君があの自分の人生を狂わせた悪女の娘だと信じて疑わないさ。真実はどうあれ、彼は君の姿にあの悪女の面影を重ねて見るだろう。

男爵の手を離さなければ、それなりには幸せになれたのにね。

残念だよ。
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