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悪役令嬢の恋人
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サラは、エトワールの婚約者候補になってから定期的に、ユリアーナとお茶をしている。ユリアーナのお茶会のお茶菓子は、特別なルートがあるのか、国内では見たことがない、異国の綺麗で美味しいお菓子が出る。それを楽しみに、ユリアーナと久しぶりにゆっくり話すために来たのだが、今回は初めて、ユリアーナ様の想い人に紹介していただくため、幾分緊張していた。
エトワール様によれば、ユリアーナ様を溺愛している方で、ユリアーナ様以外には愛想がないようだ。
サラは怯えていた。悪い人ではないと知りながら、自分が何かしでかさないか、心配で怖かった。
ゲームでのロバート・ユーグは変わり者で、ユリアーナのお兄さん的存在で、ヒロインとも会話が噛み合わなかった。ヒロインに対して特に優しいわけでもなく、寧ろ辛辣な彼は、前世では苦手な攻略対象者だった。
だから、前世の自分は、ユーグルートを最後まではプレイしていない。
今となっては、ゲームの中に自分のようなモブ令嬢はいなかったし、それぞれの性格もここまで違うとなると、ここはゲームに似た世界と、思わざるを得ない。だから、会ってもいない内から、苦手と判断するのは失礼だと自分を戒め、ユーグ様に会う決意をした。
ユーグ様は遅れてこられるそうで、先にユリアーナ様とお話をして待っていると、ゲームよりも更に恐ろしく整った顔の男性が現れた。ユリアーナ様しか見えていない態度から、この男性がユーグ様だと理解した。
ユリアーナ様を充分に堪能した後に、漸く紹介いただくと、エトワール様に貰った魔道具をじっと見つめて、何やら呟いた。
「エトワールのやつ、俺のこと言う前にお前も似たようなものだろ。」
なるほど。エトワール様とは仲が良いらしい。
ユリアーナ様がユーグ様を嗜める。いつも完璧なユリアーナ様の照れた姿は、可愛くて同性なのに、守ってあげたくなってしまう。
ユーグ様は、会話の流れは気にしない方なのか、急にサラに魔法が使えるかと聞いてきた。
「お恥ずかしながら、魔力もなければ、魔法も使えません。」
サラは俯くと、正直に申告した。
「うん。一応見させて貰うよ。」
そう言って、ユーグ様は鑑定魔法を使って、サラの言葉の裏を取る。
「良かった。君の言った通りだ。」
心底ほっとしたような彼に、不思議に思っていると、ユリアーナ様が補足してくれた。
「エトワール様に確認するように言われてたのよ。ちょっと大変なことになって、ね?」
ユーグ様は、ユリアーナ様を見つめると、優しく微笑んだ。甘々すぎて、見てる方が恥ずかしくなってしまう。
「カトリーヌ嬢が今どうなってるか、知りたい?」
そう聞かれて初めてサラはカトリーヌ嬢が行方不明になっていることを思い出した。
「無事なのですか?」
「ああ、毎日大声で、喚き散らしているよ。」
それからユーグ様は、先ほど話に出てきた、大変なことについて、話してくれた。
エトワール様によれば、ユリアーナ様を溺愛している方で、ユリアーナ様以外には愛想がないようだ。
サラは怯えていた。悪い人ではないと知りながら、自分が何かしでかさないか、心配で怖かった。
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「エトワールのやつ、俺のこと言う前にお前も似たようなものだろ。」
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ユリアーナ様がユーグ様を嗜める。いつも完璧なユリアーナ様の照れた姿は、可愛くて同性なのに、守ってあげたくなってしまう。
ユーグ様は、会話の流れは気にしない方なのか、急にサラに魔法が使えるかと聞いてきた。
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「うん。一応見させて貰うよ。」
そう言って、ユーグ様は鑑定魔法を使って、サラの言葉の裏を取る。
「良かった。君の言った通りだ。」
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そう聞かれて初めてサラはカトリーヌ嬢が行方不明になっていることを思い出した。
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それからユーグ様は、先ほど話に出てきた、大変なことについて、話してくれた。
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