22 / 25
例え地獄に落ちようとも
しおりを挟む
カトリーヌ嬢は、娼婦の母親と、貴族の父親を持つ。彼女の思った通り、貴族の落胤だが、彼自身は病でこの世を去っている。義父の妻の家系であったと言う事実は遂に掴めなかった。
扉をノックする音がして、サラが来たことを告げられる。
大方、ユーグから聞いてきたのだろう。カトリーヌ嬢が実の父親に会う為に隣国へ行き、多分もう帰ってこないことや、借金が全て清算されたことなどを。
エトワールは、この先サラと結婚して、隣国の王族がこちらにきた時に、真実を教えてやるのも一興だと思ったが、サラの命を守る為、それは避けた。代わりに隣国から侯爵夫妻を呼ぶことにした。カトリーヌ嬢と話をしていたのなら、自分達の孫が実は生きていると知って喜んでいる筈だ。
サラに彼らの正体を告げることは叶わなくても、祝福の瞬間に立ち会うことぐらいは許されていい。
サラに向き合うと、結婚の許しが出たことを告げる。隣国の曰く付きのご令嬢はすでに出国していった。今この国にいるのは、ただの伯爵令嬢だ。サラは伯爵夫妻に愛されて、厳しく躾けられ、真っ直ぐな性格に育った。
彼女が知らない昔の両親の行いで、不当な扱いを受けるなんて、耐えられなかった。
彼女を監視していたのは、紛れもないエトワール自身だ。彼女を見張り、不穏なことがあれば、すぐに対処できるように、プライバシーなど忘れて、監視し続けた。
結果、サラを好きになってしまった。念のためにサラには魔力がないことは何年かに一度調べて貰った。
サラは自分が魔法を使えないことを気にしていたが、なくて良かった。少しでも魔力があればそれこそ、アウトだった。こちらがどれほど頑張ろうとも、サラは隣国へ返されてしまっただろう。
エトワールは、サラの笑顔を見ながら、この笑顔を守る為に生きることを誓う。この笑顔が曇ることがないように、たとえ地獄に落ちようとも、サラの実の両親についての秘密は墓場まで持っていく。
隣国の王位継承権争いについては、何も言えない。私は王位継承権を放棄したからだ。サラを好きになって、彼女さえ手に入るなら、王位継承権など、いらなくなった。私にとっては、それぐらいのものだ。
正直に言えば、自分は国王の器ではない。表に立つのは嫌いだ。裏から色々策を巡らせる方が楽しい。だから、私は臣下でありたい。
それは第二王子もそうだったらしい。第三王子を矢面に立たせて、自分は家族共々臣下に降ったのは、最初からの計画なのか、仕組まれたのか。兄を蹴落としてまで、何がしたかったのかは、わからない。
わかりたくもない。
彼らが、私のサラに危害を加えないのなら、どうでもいい。
「エトワール様?今日はご機嫌ですね。」
顔を真っ赤にしているサラは可愛い。カトリーヌ嬢は地味だと言ったが、私とは美的感覚が合わないらしい。
サラの可愛らしさがわからないなんて、本当に残念な娘だ。
ただ彼女には本当に感謝している。サラが君を見捨ててくれたから、私は動くことができたんだ。
サラに見捨てられるように振る舞ってくれてありがとう。隣国での生活が少しでも苦痛のないものになるように祈っている。
扉をノックする音がして、サラが来たことを告げられる。
大方、ユーグから聞いてきたのだろう。カトリーヌ嬢が実の父親に会う為に隣国へ行き、多分もう帰ってこないことや、借金が全て清算されたことなどを。
エトワールは、この先サラと結婚して、隣国の王族がこちらにきた時に、真実を教えてやるのも一興だと思ったが、サラの命を守る為、それは避けた。代わりに隣国から侯爵夫妻を呼ぶことにした。カトリーヌ嬢と話をしていたのなら、自分達の孫が実は生きていると知って喜んでいる筈だ。
サラに彼らの正体を告げることは叶わなくても、祝福の瞬間に立ち会うことぐらいは許されていい。
サラに向き合うと、結婚の許しが出たことを告げる。隣国の曰く付きのご令嬢はすでに出国していった。今この国にいるのは、ただの伯爵令嬢だ。サラは伯爵夫妻に愛されて、厳しく躾けられ、真っ直ぐな性格に育った。
彼女が知らない昔の両親の行いで、不当な扱いを受けるなんて、耐えられなかった。
彼女を監視していたのは、紛れもないエトワール自身だ。彼女を見張り、不穏なことがあれば、すぐに対処できるように、プライバシーなど忘れて、監視し続けた。
結果、サラを好きになってしまった。念のためにサラには魔力がないことは何年かに一度調べて貰った。
サラは自分が魔法を使えないことを気にしていたが、なくて良かった。少しでも魔力があればそれこそ、アウトだった。こちらがどれほど頑張ろうとも、サラは隣国へ返されてしまっただろう。
エトワールは、サラの笑顔を見ながら、この笑顔を守る為に生きることを誓う。この笑顔が曇ることがないように、たとえ地獄に落ちようとも、サラの実の両親についての秘密は墓場まで持っていく。
隣国の王位継承権争いについては、何も言えない。私は王位継承権を放棄したからだ。サラを好きになって、彼女さえ手に入るなら、王位継承権など、いらなくなった。私にとっては、それぐらいのものだ。
正直に言えば、自分は国王の器ではない。表に立つのは嫌いだ。裏から色々策を巡らせる方が楽しい。だから、私は臣下でありたい。
それは第二王子もそうだったらしい。第三王子を矢面に立たせて、自分は家族共々臣下に降ったのは、最初からの計画なのか、仕組まれたのか。兄を蹴落としてまで、何がしたかったのかは、わからない。
わかりたくもない。
彼らが、私のサラに危害を加えないのなら、どうでもいい。
「エトワール様?今日はご機嫌ですね。」
顔を真っ赤にしているサラは可愛い。カトリーヌ嬢は地味だと言ったが、私とは美的感覚が合わないらしい。
サラの可愛らしさがわからないなんて、本当に残念な娘だ。
ただ彼女には本当に感謝している。サラが君を見捨ててくれたから、私は動くことができたんだ。
サラに見捨てられるように振る舞ってくれてありがとう。隣国での生活が少しでも苦痛のないものになるように祈っている。
359
あなたにおすすめの小説
【完結】その令嬢は号泣しただけ~泣き虫令嬢に悪役は無理でした~
春風由実
恋愛
お城の庭園で大泣きしてしまった十二歳の私。
かつての記憶を取り戻し、自分が物語の序盤で早々に退場する悪しき公爵令嬢であることを思い出します。
私は目立たず密やかに穏やかに、そして出来るだけ長く生きたいのです。
それにこんなに泣き虫だから、王太子殿下の婚約者だなんて重たい役目は無理、無理、無理。
だから早々に逃げ出そうと決めていたのに。
どうして目の前にこの方が座っているのでしょうか?
※本編十七話、番外編四話の短いお話です。
※こちらはさっと完結します。(2022.11.8完結)
※カクヨムにも掲載しています。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
メリザンドの幸福
下菊みこと
恋愛
ドアマット系ヒロインが避難先で甘やかされるだけ。
メリザンドはとある公爵家に嫁入りする。そのメリザンドのあまりの様子に、悪女だとの噂を聞いて警戒していた使用人たちは大慌てでパン粥を作って食べさせる。なんか聞いてたのと違うと思っていたら、当主でありメリザンドの旦那である公爵から事の次第を聞いてちゃんと保護しないとと庇護欲剥き出しになる使用人たち。
メリザンドは公爵家で幸せになれるのか?
小説家になろう様でも投稿しています。
蛇足かもしれませんが追加シナリオ投稿しました。よろしければお付き合いください。
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?
【完結】悪役令嬢の反撃の日々
ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる