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ヒロインガチャは外れだけ
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ミリーが用意した証拠は使われることはなかった。だが、円満にサイモンとミリーの婚約は解消された。理由は、勝手な理由で大量のヒロインとやらを異世界から召喚し、近隣国に捨てたことが、問題になったから。
召喚されたヒロイン達は、最初は楽しくてこの世界を満喫していたらしいが、うまくいかなくなってくると、不満が多くなってくる。
皆、元の世界では少女と呼ばれる立場だったこともあって、家に帰りたい、家族に会いたいという願いは当然ある。
第一王子サイモンは、そんな少女達を言葉巧みに騙して、その理由がとても身勝手なものだったことが認められて、彼は第一王子の地位から脱落することとなった。
第二王子はまだ幼く、国王陛下もまだ若いことから、サイモンの失敗は、特に王家に響くことはなかった。
サイモン自身はずっと、ヒロインガチャを持って来た侍従の男について、話していたが、彼の行方はわからずじまいだった。
「傲慢なところがあった方だけど、まさか己の罪を女神様からの啓示だと主張するなんて。」
ミリーは呆れて物が言えない。
あれから近衛騎士のマリウスは、近衛を辞めて公爵家に婿入りをした。
マリウスは一度だけ、王子に黙ってガチャを引いたことがある。ヒロインガチャには召喚しなければいけないヒロインばかりが入っているのではなく、ヒロインになれる素質のある人の名が入っている。
黙ってはいたが、その時マリウスはSSRを引き当てていた。
彼女は悪役令嬢ガチャに入る人ではなく、純粋にヒロインとして優れた人だ。そもそもそれに目を向けていたのなら、サイモンもああはならなかったのだろう。
侍従は確かに女神の眷属だったに違いない。サイモンは自分を助けてくれる相手と認識していたのだろうが、女神が本当に助けたかったのは、ミリー、彼女だっただろうから。
「ガチャに頼るしかなかった彼に遠慮することはない。私達は私達で幸せになって見せつけてやろう。」
ようやく言えるようになったミリーへの愛をマリウスは隠すことなく口にする。
王子の膝枕中に浮かべた侮蔑の表情をミリーは、マリウスには一切見せることはない。
「彼は逆光で見えなかったに違いないわ。いつもウットリと間抜けな顔をしているんだもの。気持ち悪いったらありゃしない。」
もうすでにあの頃には、彼女の気持ちはあの王子から離れていたらしい。
「ヒロインガチャは、確かに女神様からの贈り物かもしれないわね。私にとっては、一番大切な貴方に引き合わせてくれた大切な贈り物よ。」
マリウスとミリーには、すでに必要なくなったガチャは、それ自体が元王子の悪行の証拠として然るべき機関に提出されている。
SSRのミリーを引いてしまった後にはもうハズレしか入っていないのだから、ガチャとしては機能を失っているそれはもう意味をなさない。
マリウスの頭の中には、ミリーの膝枕を得意げに堪能していた元王子の顔がある。マリウスはいつかの仕返しにとあの憎たらしい顔に「可哀想に。」と呟いて、心の中で舌を出した。
終わり
読んでいただきありがとうございました。 mios
召喚されたヒロイン達は、最初は楽しくてこの世界を満喫していたらしいが、うまくいかなくなってくると、不満が多くなってくる。
皆、元の世界では少女と呼ばれる立場だったこともあって、家に帰りたい、家族に会いたいという願いは当然ある。
第一王子サイモンは、そんな少女達を言葉巧みに騙して、その理由がとても身勝手なものだったことが認められて、彼は第一王子の地位から脱落することとなった。
第二王子はまだ幼く、国王陛下もまだ若いことから、サイモンの失敗は、特に王家に響くことはなかった。
サイモン自身はずっと、ヒロインガチャを持って来た侍従の男について、話していたが、彼の行方はわからずじまいだった。
「傲慢なところがあった方だけど、まさか己の罪を女神様からの啓示だと主張するなんて。」
ミリーは呆れて物が言えない。
あれから近衛騎士のマリウスは、近衛を辞めて公爵家に婿入りをした。
マリウスは一度だけ、王子に黙ってガチャを引いたことがある。ヒロインガチャには召喚しなければいけないヒロインばかりが入っているのではなく、ヒロインになれる素質のある人の名が入っている。
黙ってはいたが、その時マリウスはSSRを引き当てていた。
彼女は悪役令嬢ガチャに入る人ではなく、純粋にヒロインとして優れた人だ。そもそもそれに目を向けていたのなら、サイモンもああはならなかったのだろう。
侍従は確かに女神の眷属だったに違いない。サイモンは自分を助けてくれる相手と認識していたのだろうが、女神が本当に助けたかったのは、ミリー、彼女だっただろうから。
「ガチャに頼るしかなかった彼に遠慮することはない。私達は私達で幸せになって見せつけてやろう。」
ようやく言えるようになったミリーへの愛をマリウスは隠すことなく口にする。
王子の膝枕中に浮かべた侮蔑の表情をミリーは、マリウスには一切見せることはない。
「彼は逆光で見えなかったに違いないわ。いつもウットリと間抜けな顔をしているんだもの。気持ち悪いったらありゃしない。」
もうすでにあの頃には、彼女の気持ちはあの王子から離れていたらしい。
「ヒロインガチャは、確かに女神様からの贈り物かもしれないわね。私にとっては、一番大切な貴方に引き合わせてくれた大切な贈り物よ。」
マリウスとミリーには、すでに必要なくなったガチャは、それ自体が元王子の悪行の証拠として然るべき機関に提出されている。
SSRのミリーを引いてしまった後にはもうハズレしか入っていないのだから、ガチャとしては機能を失っているそれはもう意味をなさない。
マリウスの頭の中には、ミリーの膝枕を得意げに堪能していた元王子の顔がある。マリウスはいつかの仕返しにとあの憎たらしい顔に「可哀想に。」と呟いて、心の中で舌を出した。
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