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アルバード王立高等学院~這い寄る魔の手~
卒業試験1日目~幻影魔法~
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「で、僕らをここに呼んだ理由は何ですか?」
「屍翼鴉が出てきたということは他にもっと強い魔物が出てくる可能性が高い。この後、一人で調査には行かない方がいいんじゃないかと思ってな。ハルシャ卿とフローレス嬢はどう思う?」
「でもこれ以上人員はさけないんですから、一番強い僕が行くのは普通かと思いますけど。」
「私はもう一人いたほうがいいんじゃないかと思います。あのレベルがたくさんいるとなるとハルシャ卿だけではさすがに手に余るのでは?」
「仕事は調査だけですよね?僕の職業はシーフです。そういうのを一番得意としているジョブですよ。なめてもらっては困ります。」
実際、気づかれずに横を通ることだってできるだろう。本気を出せば。
「まあ本人がいけるというのなら信じるしかないわけだが、、」
「大丈夫です。何かあったら狼煙をあげて伝えますから。」
狼煙とは発煙筒のようなもので、赤、緑、青の三種類がある。ちなみに、ケガで助けが必要なときが赤、何らかの緊急事態に遭遇したときが緑、調査が終わり今から帰るという合図が青だ。
「無理だと思ったらすぐに帰ってきてくれ。君を失ったまま二日目を迎えるのは非常に悪手だからな。」
さすがリーダー。僕のことを駒としか思っていない。
「それじゃあ早めに行ってきます。15時までに戻らなかったら何かあったと思ってください。」
…あぁ、なるほど…これがフラグってやつなのか…戻れない気がしてきた。
「怖いこと言わないでください。」
「ごめんって。フローレス嬢は僕が上げた狼煙を絶対に見逃さないよう、見張り役に言っておいてね。」
「分かりました。」
満足気に僕はうなずいて、石像のある場所から小走りで立ち去った。
******
高原と呼ばれるだけあって、岩が多く歩きづらい。そして気づかないうちに狼に囲まれているのがウルフ高原だ。いやーもはやどうしてここまで囲まれているのか謎だな。
目の前には10匹ほどの狼が僕を囲んでいた。僕が進めば狼も進み、必ず一定距離を保って僕の周りにいた。
「相手の力量を見誤って襲おうとするなんて、愚か者のすることだよ。狼は賢い生き物だと思ってたんだけどなー」
棒読みのセリフは誰に聞かれるわけもなく、消えていく。
「僕が疲れて動けなくなるところを狙ってるんだと思うけど、残念ながら僕は疲れないんだ。」
まあ疲れないといっても、調子にのって動きすぎた結果、足の筋肉が正常に動かなくなったり、翌朝筋肉痛で痛い目を見ることはあるんだけどね。疲れないという能力に体がついていってない証拠である。
「あーでも狼に乗っていった方がはやく任務が終わるかも。」
そう言ってパンっと手を合わせて周囲に魔力をひけらかす。魔法の練習をしていたらかなり魔力量が増えたのだ。
魔物にとって魔力とは絶対的な指数。ボスだって魔力量で決まるぐらいだ。まあ人間はそんなことないんだけどね。
周りにいたウルフたちが一度ビクッと体を震わせたかと思うと一斉に腹を見せて転がり始めた。
「分かってるじゃん。よし、君にしよう。」
そう言ってひときわ大きい狼をポンと叩くと、それ以外の狼たちは全速力で逃げ出した。
クッ…クウーン…
「…君、さっきまでそんな声出してなかったよね?」
これは確実に食べられると思ってる目だ。
「食べないよ。ちょっと君に乗ってここを調査したいんだ。」
僕がそう言うと、狼はゆっくり体を起こし、乗りやすいような体勢をとった。
「やっぱり君、言葉分かってるでしょ。」
そう言いながら狼に跨った。
ルーンだって会った当初から言葉が分かってる感じだったんだ。野良で言葉が分かる狼だっているに違いない。
「後で群れのところに帰してあげるから、石像があるところには来てはいけないよ。来たら倒さないといけなくなるから。」
「クウーン!」
もはや犬だな。ちょっとかわいい。まあルーンには敵わないが。
「そこで止まって。」
そこは歪な気配がした。普通の景色ではあるが何かが違う、そんな気がした。
「グルルルル…」
ちらりと狼の方を見ると、どこかに向かって吠えていた。
「…本能ってすごいね。なんとなく分かるんだ。ここが作られた場所だってこと。大きい幻影魔法がかけられている線が濃厚かな。そんなことができるのは学院長ぐらいだとは思うんだけど…」
魔法をかけた本人がいないから、これをどうにかするのは無理だな。こんな大規模な幻影魔法はドーム状がほとんどだと聞いたことがある。その場合、外から内部に入るのは術者であっても非常に困難だが、下から内部に入るのは意外と簡単だ。
「…ここで帰る方がいいんだろうね。」
そう言って青色の狼煙を上げたその時、地面から何かが出てきて僕を地面へと引きずり込んだ。
「ちょっ…って…ええっ?」
驚く間もなく僕の体は完全に地上から消えていった。
「屍翼鴉が出てきたということは他にもっと強い魔物が出てくる可能性が高い。この後、一人で調査には行かない方がいいんじゃないかと思ってな。ハルシャ卿とフローレス嬢はどう思う?」
「でもこれ以上人員はさけないんですから、一番強い僕が行くのは普通かと思いますけど。」
「私はもう一人いたほうがいいんじゃないかと思います。あのレベルがたくさんいるとなるとハルシャ卿だけではさすがに手に余るのでは?」
「仕事は調査だけですよね?僕の職業はシーフです。そういうのを一番得意としているジョブですよ。なめてもらっては困ります。」
実際、気づかれずに横を通ることだってできるだろう。本気を出せば。
「まあ本人がいけるというのなら信じるしかないわけだが、、」
「大丈夫です。何かあったら狼煙をあげて伝えますから。」
狼煙とは発煙筒のようなもので、赤、緑、青の三種類がある。ちなみに、ケガで助けが必要なときが赤、何らかの緊急事態に遭遇したときが緑、調査が終わり今から帰るという合図が青だ。
「無理だと思ったらすぐに帰ってきてくれ。君を失ったまま二日目を迎えるのは非常に悪手だからな。」
さすがリーダー。僕のことを駒としか思っていない。
「それじゃあ早めに行ってきます。15時までに戻らなかったら何かあったと思ってください。」
…あぁ、なるほど…これがフラグってやつなのか…戻れない気がしてきた。
「怖いこと言わないでください。」
「ごめんって。フローレス嬢は僕が上げた狼煙を絶対に見逃さないよう、見張り役に言っておいてね。」
「分かりました。」
満足気に僕はうなずいて、石像のある場所から小走りで立ち去った。
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高原と呼ばれるだけあって、岩が多く歩きづらい。そして気づかないうちに狼に囲まれているのがウルフ高原だ。いやーもはやどうしてここまで囲まれているのか謎だな。
目の前には10匹ほどの狼が僕を囲んでいた。僕が進めば狼も進み、必ず一定距離を保って僕の周りにいた。
「相手の力量を見誤って襲おうとするなんて、愚か者のすることだよ。狼は賢い生き物だと思ってたんだけどなー」
棒読みのセリフは誰に聞かれるわけもなく、消えていく。
「僕が疲れて動けなくなるところを狙ってるんだと思うけど、残念ながら僕は疲れないんだ。」
まあ疲れないといっても、調子にのって動きすぎた結果、足の筋肉が正常に動かなくなったり、翌朝筋肉痛で痛い目を見ることはあるんだけどね。疲れないという能力に体がついていってない証拠である。
「あーでも狼に乗っていった方がはやく任務が終わるかも。」
そう言ってパンっと手を合わせて周囲に魔力をひけらかす。魔法の練習をしていたらかなり魔力量が増えたのだ。
魔物にとって魔力とは絶対的な指数。ボスだって魔力量で決まるぐらいだ。まあ人間はそんなことないんだけどね。
周りにいたウルフたちが一度ビクッと体を震わせたかと思うと一斉に腹を見せて転がり始めた。
「分かってるじゃん。よし、君にしよう。」
そう言ってひときわ大きい狼をポンと叩くと、それ以外の狼たちは全速力で逃げ出した。
クッ…クウーン…
「…君、さっきまでそんな声出してなかったよね?」
これは確実に食べられると思ってる目だ。
「食べないよ。ちょっと君に乗ってここを調査したいんだ。」
僕がそう言うと、狼はゆっくり体を起こし、乗りやすいような体勢をとった。
「やっぱり君、言葉分かってるでしょ。」
そう言いながら狼に跨った。
ルーンだって会った当初から言葉が分かってる感じだったんだ。野良で言葉が分かる狼だっているに違いない。
「後で群れのところに帰してあげるから、石像があるところには来てはいけないよ。来たら倒さないといけなくなるから。」
「クウーン!」
もはや犬だな。ちょっとかわいい。まあルーンには敵わないが。
「そこで止まって。」
そこは歪な気配がした。普通の景色ではあるが何かが違う、そんな気がした。
「グルルルル…」
ちらりと狼の方を見ると、どこかに向かって吠えていた。
「…本能ってすごいね。なんとなく分かるんだ。ここが作られた場所だってこと。大きい幻影魔法がかけられている線が濃厚かな。そんなことができるのは学院長ぐらいだとは思うんだけど…」
魔法をかけた本人がいないから、これをどうにかするのは無理だな。こんな大規模な幻影魔法はドーム状がほとんどだと聞いたことがある。その場合、外から内部に入るのは術者であっても非常に困難だが、下から内部に入るのは意外と簡単だ。
「…ここで帰る方がいいんだろうね。」
そう言って青色の狼煙を上げたその時、地面から何かが出てきて僕を地面へと引きずり込んだ。
「ちょっ…って…ええっ?」
驚く間もなく僕の体は完全に地上から消えていった。
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