165 / 343
アルバード王立高等学院~新しい風~
大騒ぎな舞踏会
しおりを挟む
僕はシドさんが忘れ物をしたと言って寮に戻ってしまったので舞踏会の会場の入り口付近で待っていた。同じくパートナーを待っていたアイリスと偶然出会い今に至る。
「…アイリス、君のパートナーはやっぱり彼なんだよね?」
彼とはもちろんブルース・クロードのことである。
「…ええ。一応婚約者ですから。」
「…そう。行かないわけにはいかないの?」
「…個人的には行きたくありませんが仕方ありませんよ。行かなかったら何を要求されるかわかったものじゃありませんし。」
アイリスが心なしか遠い目をしている気がする。
「確かに…でもさ、、もう舞踏会始まるのに来ないよ、アイツ。」
「ダメですよ、カイくん。アイツなんて言っては。まあ言いたくなる気持ちは分かりますけど。」
「逃げたくなったら右奥に行けばいいよ。そこにアクアマリンの生徒をたくさん配置しておいたから逃げ込めば追ってこないと思う。」
「?!ゼノンさん?」
「やあ、君たちは人を待っているのかな?」
「はい。僕はシドさんを、彼女はブルース・クロードを待っているんです。」
「ゼノンさんは一人ですか?」
「うん。僕には婚約者はいないからね。それじゃあ僕は先に入ってるよ。二人とも気を付けてね」
ゼノンさんは意味ありげに微笑み去っていった。
「カイくーん!!ごめんね、、はぁ…はぁ…」
「大丈夫?」
ものすごい息が切れているが本当に大丈夫だろうか…
「うん。間に合った?」
「ギリギリね。フローレス嬢、僕らもそろそろ行くよ。彼に会ったらまた何か言われるだろうし。」
そう言ってシドさんと会場に入る。
「カイくん、いつに増してもかっこいいね。」
「本当は制服を着るつもりだったけどシドさんがドレスだからね、、一応僕も正装にしたんだ。」
一体この服はいくらするんだろうか?緑色の宝石が異様に重く感じる。
「これはお姉ちゃんのお下がりなんだけどね」
「君の赤い髪によく似合っていると思うよ。」
「ほんとに?」
「もちろ「静粛に!」」
先ほどまでざわざわしていたのに一気に静かになった。
「これより舞踏会を開催いたします。初めに学院長からお言葉があります。」
「今年はいろいろあったけれど無事に舞踏会を迎えることができて本当によかったと思っているわ。来年も気を抜かず勉学に励みなさい。私からは以上よ。」
「それではファーストダンスの準備をしてください」
「シドさん、こっち。」
そう言ってシドさんの手を引いてなるべく目立たない場所へと移動する。
しばらくすると音楽が流れ始め皆一斉に踊りだす。
「カイくんって本当に何でもできるんだね…こんなに踊りやすいの初めてだよ。」
「そう?まあ先生の動きをそのままコピーしただけだから突拍子もないことが起こったらリズムが崩れるんだけどね。」
ちらりと横目で参加者を確認していく。アイリスはどうやら間に合ったようだ。…間に合わない方が彼女にとっては良かったかもしれないが…
※
※
※
軽めに飲み食いし何人かとダンスをしてものすごく疲れてしまった。
食事をするのも誰かと会話をするにも僕には『ハルシャ家』という肩書がつくのだ。それはいいこともあれば時には重圧にもなりうる。
人が少なそうな二階へと上がり上から一階を見下ろす。ちなみにシドさんは今一階でアイリスと喋っているためここにはいない。
「やあ、また会ったね。」
「…ええ。」
そう返事して振り向くとゼノンさんがいた。
「何か言いたそうだね。」
少し面白がるように言う目の前の誰かに僕は顔を一切見ず言い放った。
「あなたは誰ですか?」
一切同様した素振りを見せずににこりと気味悪げに笑う誰かに少しイラっとする。
「当ててあげましょうか?」
「いいとも」
「兄さんでしょ?何してんのほんと。」
「一応何で分かったか聞いておこうか」
「兄さん、あのチキン炒めはねレマン入ってるんだよ、残念ながら。昨日のパーティーで苦手だって言ってたから言い訳しても無駄だよ。それにレマネード飲んでたでしょ。なんで飲んだのそんなもの。もしかしてわざと?」
「いや、ただ単に私の好物がアイツの苦手なものだっただけのことだ。」
そうは言っても少しぐらい我慢したらどうなんだろうか…いや、、やっぱりわざとか?わざとなのか??
「それじゃあ二階にスピネル寮の人しかいないのも偶然なの?」
「いや、それは偶然じゃない。カイ、一階をよく見ておけ。今から面白いのが見れるからな。」
兄さんがそう言った次の瞬間誰かの怒り声が聞こえてきた。
「おい!!お前!!!俺様を誰だと思ってやがる!こんなことをして許されるとでも思っているのか!!」
声的にブルース・クロードで間違いないがなぜあんなに怒っているんだろうか…
「俺は何もしていない。言いがかりはやめてくれ。」
よく見ると被害者はバルスさんのようだ。
「…よくバルスさんを犯人役にできたね。」
「アイツに言っていない。ただ、水を入れたグラスを持って近付けって指示しただけだ。」
「ふーん…そう…」
いろいろとふには落ちないが、、取りあえず見物するか…
「クロード卿、バルスさんが持っていたグラスには四分の一ほどしか水が入っていませんでした。なのにそれほど濡れることがありましょうか?」
バルスさん、、アイリスのお陰で助かったな…
それにしてもなんでアイツあんなに濡れてるんだ?
「…もしかして昨日一発殴った理由って魔力をつけるためだったの?」
「ああ。私は魔力操作が得意で一度人に魔力をつけるとその人に触れた物や人にも私の魔力が流すことが出来るんだ。だからこういうことも出来るわけだ」
兄さんが指をパチンと鳴らすと舞踏会のあちらこちらで悲鳴がした。
全員びしょ濡れになってもはやある意味地獄絵図である。
「…関係ない人もいるんじゃないの?」
「人は選んである。自分の魔力が微かについている人間がどこにいるのか分かるからな。」
ゼノンさんの顔をしながら物凄い笑みを浮かべるのはやめてほしい。
「これぐらいの悪さなら学院長も文句は言えないはずだ。昔はもっとやってたからな。」
この人が本当によくわからない人であるということが再確認できたのが今回の収穫であろう。
こうして騒がしい一年が阿鼻叫喚の舞踏会の閉幕をもって終わった。
「…アイリス、君のパートナーはやっぱり彼なんだよね?」
彼とはもちろんブルース・クロードのことである。
「…ええ。一応婚約者ですから。」
「…そう。行かないわけにはいかないの?」
「…個人的には行きたくありませんが仕方ありませんよ。行かなかったら何を要求されるかわかったものじゃありませんし。」
アイリスが心なしか遠い目をしている気がする。
「確かに…でもさ、、もう舞踏会始まるのに来ないよ、アイツ。」
「ダメですよ、カイくん。アイツなんて言っては。まあ言いたくなる気持ちは分かりますけど。」
「逃げたくなったら右奥に行けばいいよ。そこにアクアマリンの生徒をたくさん配置しておいたから逃げ込めば追ってこないと思う。」
「?!ゼノンさん?」
「やあ、君たちは人を待っているのかな?」
「はい。僕はシドさんを、彼女はブルース・クロードを待っているんです。」
「ゼノンさんは一人ですか?」
「うん。僕には婚約者はいないからね。それじゃあ僕は先に入ってるよ。二人とも気を付けてね」
ゼノンさんは意味ありげに微笑み去っていった。
「カイくーん!!ごめんね、、はぁ…はぁ…」
「大丈夫?」
ものすごい息が切れているが本当に大丈夫だろうか…
「うん。間に合った?」
「ギリギリね。フローレス嬢、僕らもそろそろ行くよ。彼に会ったらまた何か言われるだろうし。」
そう言ってシドさんと会場に入る。
「カイくん、いつに増してもかっこいいね。」
「本当は制服を着るつもりだったけどシドさんがドレスだからね、、一応僕も正装にしたんだ。」
一体この服はいくらするんだろうか?緑色の宝石が異様に重く感じる。
「これはお姉ちゃんのお下がりなんだけどね」
「君の赤い髪によく似合っていると思うよ。」
「ほんとに?」
「もちろ「静粛に!」」
先ほどまでざわざわしていたのに一気に静かになった。
「これより舞踏会を開催いたします。初めに学院長からお言葉があります。」
「今年はいろいろあったけれど無事に舞踏会を迎えることができて本当によかったと思っているわ。来年も気を抜かず勉学に励みなさい。私からは以上よ。」
「それではファーストダンスの準備をしてください」
「シドさん、こっち。」
そう言ってシドさんの手を引いてなるべく目立たない場所へと移動する。
しばらくすると音楽が流れ始め皆一斉に踊りだす。
「カイくんって本当に何でもできるんだね…こんなに踊りやすいの初めてだよ。」
「そう?まあ先生の動きをそのままコピーしただけだから突拍子もないことが起こったらリズムが崩れるんだけどね。」
ちらりと横目で参加者を確認していく。アイリスはどうやら間に合ったようだ。…間に合わない方が彼女にとっては良かったかもしれないが…
※
※
※
軽めに飲み食いし何人かとダンスをしてものすごく疲れてしまった。
食事をするのも誰かと会話をするにも僕には『ハルシャ家』という肩書がつくのだ。それはいいこともあれば時には重圧にもなりうる。
人が少なそうな二階へと上がり上から一階を見下ろす。ちなみにシドさんは今一階でアイリスと喋っているためここにはいない。
「やあ、また会ったね。」
「…ええ。」
そう返事して振り向くとゼノンさんがいた。
「何か言いたそうだね。」
少し面白がるように言う目の前の誰かに僕は顔を一切見ず言い放った。
「あなたは誰ですか?」
一切同様した素振りを見せずににこりと気味悪げに笑う誰かに少しイラっとする。
「当ててあげましょうか?」
「いいとも」
「兄さんでしょ?何してんのほんと。」
「一応何で分かったか聞いておこうか」
「兄さん、あのチキン炒めはねレマン入ってるんだよ、残念ながら。昨日のパーティーで苦手だって言ってたから言い訳しても無駄だよ。それにレマネード飲んでたでしょ。なんで飲んだのそんなもの。もしかしてわざと?」
「いや、ただ単に私の好物がアイツの苦手なものだっただけのことだ。」
そうは言っても少しぐらい我慢したらどうなんだろうか…いや、、やっぱりわざとか?わざとなのか??
「それじゃあ二階にスピネル寮の人しかいないのも偶然なの?」
「いや、それは偶然じゃない。カイ、一階をよく見ておけ。今から面白いのが見れるからな。」
兄さんがそう言った次の瞬間誰かの怒り声が聞こえてきた。
「おい!!お前!!!俺様を誰だと思ってやがる!こんなことをして許されるとでも思っているのか!!」
声的にブルース・クロードで間違いないがなぜあんなに怒っているんだろうか…
「俺は何もしていない。言いがかりはやめてくれ。」
よく見ると被害者はバルスさんのようだ。
「…よくバルスさんを犯人役にできたね。」
「アイツに言っていない。ただ、水を入れたグラスを持って近付けって指示しただけだ。」
「ふーん…そう…」
いろいろとふには落ちないが、、取りあえず見物するか…
「クロード卿、バルスさんが持っていたグラスには四分の一ほどしか水が入っていませんでした。なのにそれほど濡れることがありましょうか?」
バルスさん、、アイリスのお陰で助かったな…
それにしてもなんでアイツあんなに濡れてるんだ?
「…もしかして昨日一発殴った理由って魔力をつけるためだったの?」
「ああ。私は魔力操作が得意で一度人に魔力をつけるとその人に触れた物や人にも私の魔力が流すことが出来るんだ。だからこういうことも出来るわけだ」
兄さんが指をパチンと鳴らすと舞踏会のあちらこちらで悲鳴がした。
全員びしょ濡れになってもはやある意味地獄絵図である。
「…関係ない人もいるんじゃないの?」
「人は選んである。自分の魔力が微かについている人間がどこにいるのか分かるからな。」
ゼノンさんの顔をしながら物凄い笑みを浮かべるのはやめてほしい。
「これぐらいの悪さなら学院長も文句は言えないはずだ。昔はもっとやってたからな。」
この人が本当によくわからない人であるということが再確認できたのが今回の収穫であろう。
こうして騒がしい一年が阿鼻叫喚の舞踏会の閉幕をもって終わった。
3
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~
繭
ファンタジー
高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に
え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。
確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!?
ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・
気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。
誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!?
女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話
保険でR15
タイトル変更の可能性あり
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる