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アルバード王立高等学院~隣国からの客人~
武道大会~手助け~
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そして日は流れ、武道大会の日がやってきた。
出場する僕らは特別席とやらに二人きりで座らされていた。
「…アイリス、弟くんは見つけたの?」
「…結構探したんですけど、見つかりませんでした…」
「ここには来てるんだよね?」
「はい、手紙は出しましたから。カイくんも知っての通り、武道大会に出場するのは誉なことです。仮にも由緒あるフローレス家の長女が参加するのにその家族が応援に行かなかったなんて知られたら都合が悪いでしょう。」
だからいるはずだ、と…
「弟くんは金髪に青い瞳だったよね?」
「ええ。フローレス家の直系は代々金髪青眼なんです。私以外ですけどね。」
「金髪なら目立つと思うんだけどなぁ…いや、あの人込みは無理か。思ったより観客いるんもな…」
「大会が終わった後にまた探してみます。」
「試合中も気にかけてはおくよ」
「ありがとうございます。ただ、じっとしているような性格ではないので試合中に席にいない可能性も…」
「…君の出る試合にはさすがにいるだろうけど、その時はよそ見してられないもんな…どうしたものか、、誰かに探すように言ってもいいけど、僕らはここから動けないし…あっ、いいこと思いついた!」
そう言って僕は後ろにあった棚に手を伸ばした。
「カイくん?…何してるんですか?それ、勝手に触っちゃダメなやつなんじゃ…」
「大丈夫だよ。これは好きに使っていいって言われているやつだから。」
魔力回復ポーションを机の上に置いて、ポケットに入れていた小さな紙切れを取り出す。そこにとあることを書き込んだ後、懐に忍ばせていたナイフで指を切り、その血を使って手に模様を描く。
「我が召喚に応えよ!スイレン!!」
青い鳥が僕の周りを飛び回る。
「これを持って飛び回っておいで。」
感覚共有というスキルを使い、紙切れを持って飛び上がったスイレンの視界を左目に映す。
「どうして、、」
「天秤鳥なら見つけてくれると思うんだ。なんてたって運命を司ると言われている鳥なんだから。」
上から俯瞰して見ているとそれっぽい少年を捉えることができた。
「なんか揉めてるみいたいだよ。あれは…タンザナイト寮の、、よし…スイラン、少年に紙を落としてから体当たりだ」
スイランが僕の指示通りに紙切れを落とした後に体当たりする。された側が何を言っているのかはよく分からないがものすごく怒っていることには間違いないだろう。
「よしっ、戻っておいで」
僕がそう言った数秒後にはスイレンは僕の手の中にいた。
「やっぱり君はものすごく速いね…ありがとう、もう戻っていいよ。アイリス、君の弟はここから見てちょうど右側の前から4番目の席に座って…いや、立ってる。会うなら今のうちだよ。例の物置で君が待っていると書いておいたからそこへ向かえばいいよ。」
「何から何までありがとうございます。」
「うん、早く行って。」
お辞儀をして部屋を出ていくアイリスの後ろ姿をぼんやりと眺めながら、机に置いた魔力回復ポーションを苦い顔をして飲んだのだった。
♢
「12才の部の第二試合が開幕となります!!アルバード王立高等学院からはアレス・リディガーとリース・ロティファー、レースリー武術学院からはミナとリリガーが参加いたします!!!」
ようやく始まったか…別に勝てなくても僕はなんとも思わないが、後悔のないように戦ってほしい。先ほどの武術学院vs魔法学院の試合を見たところ、どちらにも勝つのは難しそうだし。そう思って優雅に紅茶をすする。高みの見物ほど楽しいものはないのだ。
「…ふぅ…ただいま戻りました。」
「おかえり。ちょうど第2試合が始まったとこだよ。」
「間に合ってよかったです。」
「会えたようでよかったよ。…時にアイリス、この試合どっちが勝つと思う?」
「…そうですね…武術学院の方でしょうか。」
「へぇー、アイリスは僕が訓練をつけてあげたリース達が負けると思うんだ。」
そう言いながら少し笑う。
「…その言い方は卑怯ですよ、カイくん。そういうカイくんこそ実際問題、どう思ってるんですか?」
「10中8,9負けるだろうね。僕は魔法に対する反応速度をあげただけだで他は何もしてないからね。頭の中まで筋肉でできていると言われている武術学院の人達にはさすがに力負けするんじゃないかな。」
「ほら、やっぱりカイくんもそう思ってるじゃないですか。」
そもそも、ここ数年アルバード王立高等学院は負け続けだしね…それを聞いただけでここのレベルが低いのが分かるし…
「まあでも、どうなるかは最後まで見ないと分からないけどね。」
僕はそう言って得物を構え始めた彼らを面白げに見つめたのだった。
出場する僕らは特別席とやらに二人きりで座らされていた。
「…アイリス、弟くんは見つけたの?」
「…結構探したんですけど、見つかりませんでした…」
「ここには来てるんだよね?」
「はい、手紙は出しましたから。カイくんも知っての通り、武道大会に出場するのは誉なことです。仮にも由緒あるフローレス家の長女が参加するのにその家族が応援に行かなかったなんて知られたら都合が悪いでしょう。」
だからいるはずだ、と…
「弟くんは金髪に青い瞳だったよね?」
「ええ。フローレス家の直系は代々金髪青眼なんです。私以外ですけどね。」
「金髪なら目立つと思うんだけどなぁ…いや、あの人込みは無理か。思ったより観客いるんもな…」
「大会が終わった後にまた探してみます。」
「試合中も気にかけてはおくよ」
「ありがとうございます。ただ、じっとしているような性格ではないので試合中に席にいない可能性も…」
「…君の出る試合にはさすがにいるだろうけど、その時はよそ見してられないもんな…どうしたものか、、誰かに探すように言ってもいいけど、僕らはここから動けないし…あっ、いいこと思いついた!」
そう言って僕は後ろにあった棚に手を伸ばした。
「カイくん?…何してるんですか?それ、勝手に触っちゃダメなやつなんじゃ…」
「大丈夫だよ。これは好きに使っていいって言われているやつだから。」
魔力回復ポーションを机の上に置いて、ポケットに入れていた小さな紙切れを取り出す。そこにとあることを書き込んだ後、懐に忍ばせていたナイフで指を切り、その血を使って手に模様を描く。
「我が召喚に応えよ!スイレン!!」
青い鳥が僕の周りを飛び回る。
「これを持って飛び回っておいで。」
感覚共有というスキルを使い、紙切れを持って飛び上がったスイレンの視界を左目に映す。
「どうして、、」
「天秤鳥なら見つけてくれると思うんだ。なんてたって運命を司ると言われている鳥なんだから。」
上から俯瞰して見ているとそれっぽい少年を捉えることができた。
「なんか揉めてるみいたいだよ。あれは…タンザナイト寮の、、よし…スイラン、少年に紙を落としてから体当たりだ」
スイランが僕の指示通りに紙切れを落とした後に体当たりする。された側が何を言っているのかはよく分からないがものすごく怒っていることには間違いないだろう。
「よしっ、戻っておいで」
僕がそう言った数秒後にはスイレンは僕の手の中にいた。
「やっぱり君はものすごく速いね…ありがとう、もう戻っていいよ。アイリス、君の弟はここから見てちょうど右側の前から4番目の席に座って…いや、立ってる。会うなら今のうちだよ。例の物置で君が待っていると書いておいたからそこへ向かえばいいよ。」
「何から何までありがとうございます。」
「うん、早く行って。」
お辞儀をして部屋を出ていくアイリスの後ろ姿をぼんやりと眺めながら、机に置いた魔力回復ポーションを苦い顔をして飲んだのだった。
♢
「12才の部の第二試合が開幕となります!!アルバード王立高等学院からはアレス・リディガーとリース・ロティファー、レースリー武術学院からはミナとリリガーが参加いたします!!!」
ようやく始まったか…別に勝てなくても僕はなんとも思わないが、後悔のないように戦ってほしい。先ほどの武術学院vs魔法学院の試合を見たところ、どちらにも勝つのは難しそうだし。そう思って優雅に紅茶をすする。高みの見物ほど楽しいものはないのだ。
「…ふぅ…ただいま戻りました。」
「おかえり。ちょうど第2試合が始まったとこだよ。」
「間に合ってよかったです。」
「会えたようでよかったよ。…時にアイリス、この試合どっちが勝つと思う?」
「…そうですね…武術学院の方でしょうか。」
「へぇー、アイリスは僕が訓練をつけてあげたリース達が負けると思うんだ。」
そう言いながら少し笑う。
「…その言い方は卑怯ですよ、カイくん。そういうカイくんこそ実際問題、どう思ってるんですか?」
「10中8,9負けるだろうね。僕は魔法に対する反応速度をあげただけだで他は何もしてないからね。頭の中まで筋肉でできていると言われている武術学院の人達にはさすがに力負けするんじゃないかな。」
「ほら、やっぱりカイくんもそう思ってるじゃないですか。」
そもそも、ここ数年アルバード王立高等学院は負け続けだしね…それを聞いただけでここのレベルが低いのが分かるし…
「まあでも、どうなるかは最後まで見ないと分からないけどね。」
僕はそう言って得物を構え始めた彼らを面白げに見つめたのだった。
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