悪役皇女は二度目の人生死にたくない〜義弟と婚約者にはもう放っておいて欲しい〜

abang

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リヒト・マッケンゼンの憂鬱

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濃紺の清潔感のある髪に赤い瞳、引き締まった身体に長い手足。



180センチ程あると思われる高い身長はバランスがよく、艶のある肌も、

無愛想だがとても美しい端正な顔立ちであり多くの令嬢の憧れの的なのだ。




その上リヒト・マッケンゼンは病気で他界した父に代わって若くして公爵となった、マッケンゼン公爵である。



見目麗しく、肩書も完璧となれば勿論シエラ以外にもリヒトに想いを寄せる者は沢山居た。


だが、皇女となると話は別で公爵家と縁を結ぶ事は王室の利益にもなる為、ダメ元だったシエラのは認められた。



勿論公爵家はシエラの出生を知る一部の家門に入るのだが、リヒトにとってのはそこでは無かった。




「また手紙か…王命まで使って婚約者になったり、毎度茶会だと呼び出したりと…はぁ。」


リヒトは王命によって無理矢理に婚約者となったシエラを疎ましく思っていたし、シエラの悪い噂や能無しだと言う話も山ほど耳に入って来ていた。




(噂などに左右されぬが…なぜか苦手だ。)





やはり、強引な手段だったからなのか苦手意識が拭えずシエラの出生を知る者達から彼女が良いように使われ、虐げられている事を知ってはいたが、変に助けて期待されては困ると、放ったらかしにしていた。




(冷酷だと評判が悪いのは、彼女がその役割をからだろう。頭角を現さぬよう無能を演じさせられてもいる…)



そしてリヒトまた、今日届いた招待状にため息をついていた。




王毅でも一人、ため息を吐いている者が居た。



「はぁ…思い出せるだけの未来を整理しないと。どうにかして生き残る術を探すのよ!」



シエラは手帳に自らにしか読めぬように暗号化して思い出せるだけの、これから起こりうる未来を書き留めた。





「まずは皇后からの関心を逸さなきゃ……そうよ、これだわ!!」



シエラは思いつくと直ぐに、何やら手紙を書いた。




「皇宮を出て、平民として自立するのよ。それならもう誰も私に関心を持たないわ。国を出る資金を貯めなきゃ…!」



彼女の脳裏にふと浮かんだのはリヒトであった。




"大丈夫か?何故泣いてるんだ…名は?"

皇后に鞭で打たれて痛む身体を引きずりながら、廊下を進んでいるとまだ少しあどけなかったリヒトが声をかけてくれた。


事情を知らない新人と古くからシエラの世話をする侍女達以外は、が皇后につられてシエラに強くあたったり、世話をしなかった。


それがこの皇宮での、だった。



「シエラ・ヒペリュアンです…公子様」


「何故皇女が、私に畏る。立てるか?」


リヒトにとってはすぐに忘れてしまう程の些細な出来事だろうが、



無愛想ではあったがシエラの名前を聞いて、彼女が皇女だと分かっても普通に接してくれたリヒトにとても救われたのだ。




それからは、ずっとリヒトを想った。


シエラは一生、皇后に政治的な駒として使われ続けるのだと思っていたしその内に、この身までもその手段として誰かに投げ出させられるのだろうと毎日恐怖で眠れなかった。



(せめて、結婚や初夜は好きな人と…その後はもうどうなったっていい。)



夢を見る前はそう思って、のつもりで言った我儘であったが、それでもリヒトなら承認さえしてくれれば愛は無くとも対等な関係を築いてくれるかもしれないと思っていた。


だけど、リヒトはシエラの関心が自らに向くと拒絶するかのように振る舞い、なんの関心も示さなかった。




(もしかしたら、想い人が居たのかも…)




それに、あの時は必死に皇宮ここに縋る事しか考えて居なかった。


自らの唯一の価値であるの皇女を捨てることなど考える余裕も無かったのだ。



でも、自らの未来を知った今そんなものは全て無意味だと気付いた。



シエラが断罪されている際も、リヒトは冷たい目でただ見下ろしていた。

そして、リヒトの隣には別の令嬢がほくそ笑んでいた。




(私がしがみついて居た。だがそれはどんなに我慢したってその未来にらのみだった。)





最終的にはジェレミーと離れること。

形ばかりの王位継承権の放棄。

マッケンゼン公爵との




(愛など求めた所で辛いだけだった。今回はささやかでも、幸せにこんな所に居てはいけない。)




これで、私は本当に力無いただの小娘だが皇后の関心から逃れることができる……はず。





(先ずは、思いつく限り行動するのよ。)

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