平和への使者

Daisaku

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古代の悪魔

30話 悪魔の胎動

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南極大陸の北から300km付近の海で、考古学調査船アレキサンダーが
海底に沈んでいる遺跡の調査を行っていた。
調査を指揮するフランス人モーリスは60歳になる今日、あと1か月以内に成果がでなければ資金提供を打ち切られる瀬戸際の状態だった。

「この辺に、絶対あるはずなんだ。もうこうなったら、やけくそだ。海底付近をバンバンたたいて、出る物なんでも、引き上げるしかないだろ」

モーリスはかつて、古代遺跡の発掘で学会にその名を轟かせた男だった。
しかし、実際は父ポールの日誌を元に発見したことを世間には伏せていた。
この男は、父の日誌なしでは何も発見できない凡人だった。

「モーリス、何か海底でレーダーに反応がありますよ。微細な電波のようなものを発している物体があります」

一緒に調査をしている、レーダー探知を担当している、パトリックが興奮気味に声を出した。

「よし、その一帯を徹底的に調査しよう。自動潜水艇を出せ」

海底を調査、採取ができる潜水艇を船から下ろさせた。

「発信源の座標、深さをインプット完了、発進させます」

潜水艇を担当している、フィリップが大きな声で皆に伝えた。
潜水艇が着水後、みるみる、海底に潜っていき、すぐに見えなくなった。

「現在、水深30mなお降下中、海底まであと20m」

だんだん目的の場所に近づいていた。モーリスは遺跡の発掘が目的だったが、この際、なにも発見できないより、遺跡とは関係ないものでも、価値のあるものが発見できれば、なんでもいいといった気持ちで半ば、もうやけくそ状態になっていた。そして、しばらくして潜水艇が海底にたどり着いた。

「現在、目的地帯に到着、サーチを始めます」

15分ほど経過した時だった。

「目的物らしきものを発見」

モーリスは潜水艇から送られてきた映像を目を凝らして見ていた。

「なんだーこれは、棺のようだな、おい、付着物がかなり付いている、エアーとハンドを出して、少し表面をはがしてくれ」

「了解、表面を一部はがします」

フィリップは慎重に目的物を傷つけないように操作を始めた。
徐々に表面がきれいになってきて、目的物の一部が見え始めた。
そこには見たこともない文字で記されており、
なにやら、その物体は金属のような箱で、できており、大きさは幅60cm、長さ2m程度の棺のような箱だった。

「この箱を引き上げるぞ、周りを削ってワイヤーを下ろせ」

その箱には運よく引っかけられる箇所が2か所あり、ワイヤーをすぐに取り付けることができて、静かに調査船へ引き上げられた。
そして引き上げられた箱を見たが、全く知らない文字が刻まれており、箱の材質は金属のような不思議な素材で作られていた。
調査船のメンバーは一目で大変な発見をしたと大騒ぎになったが、この棺は海底の地層に埋もれていたことから計算すると、1万2千年以上前の物ということになるが、具体的には、
いつの時代のものか全くわからず、箱も金属のような素材で全く船上ではあけることができないため一度、本国に戻り、確認するしかないと考えた。
この調査船での遺物の発見はすぐに写真などがデータで本国に送信され、資金提供者にも連絡が入り、取り急ぎ、資料をまとめ、大々的にニュースでも取り上げられることになった。
調査船は、棺を引き上げてからすぐに、帰国することとして、帰国中にモーリスを中心に箱を開ける作業を何度も試みたが、傷ひとつ、つけることができずにいた。
また、この古代文字は未だに世界では見つかっていない、文字であり、2000年ほど前の歴史家プラートが残した、歴史書のアトランティス大陸の遺物ではないかと思いはじめていた。
本国フランスでは調査船アレキサンダーが遺物を発見したことで、国中はもちろん、世界にも、そのニュースは発信された、そのおかげで、資金提供者は広告を大々的に出すことができ、大変、満足できる結果にもなった。100年ほど前に発見された、ツタンカーメンの棺を上回るような人気になり、早く棺が運ばれてくるのを世界中が注目していた。
研究室では、この遺物が来るために、事前の受け入れ準備を行うことになった。
棺は特殊金属で覆われているため、材質を調べる機械や、レーザーで切断する機械、棺の中を確認できるスキャン装置などが揃えられていた。
また、古代文字の専門家や、考古学者でも、1万年以上前のことを専門にしている者や軍の関係者までが、待機していた。
研究室で、待機している、古代文字専門の歴史学者ミッシェルはかつてない興奮状態で落ち着かない様子だった。

「あの地域から、こんな棺が発見されるなんて信じられない、しかも1万2千年以上前の地層に埋もれていたなんて、私の経験でもこのよう文字は見たことも聞いたこともない・・・」

同じ部屋で待機している古代文明専門家フレデリックも同じような気持ちだった。

「海底では石材などが見つかることはよくあるが、こんなにもはっきりとした物が出てくるなんて、とても信じられない、できることなら、偽物、なんてことがないことを早く確認したいものだ」

それを聞いていた、フランス軍特殊科学部隊レモンド中佐はあきれた顔で

「おたく達は、興味があってよかったですな。
わたしは、家族とプライベート旅行中に
むりやり呼び出されて、ここにいるんですから、いい迷惑ですよ」

この男は、仕事に対してはいつも興味がなく、それなりに仕事をしているのだが、
なぜか、いつも、それなりの成果を出してしまい、軍の中でもトップクラスのエリート軍人と言われている。
今回も全く興味がないのだが、この男の本能のような第六感がとても大変なことが起きてしまうような嫌な胸騒ぎがしていた。
棺は船から運びだされ、飛行機でフランスまで運びこまれるために、あと数時間でシャルルドゴール空港に到着する空港は
かつない厳戒態勢で警察や一部に軍も警備に配置され、その搬入ルートは完全な状態で確保されていた。
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