ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神

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千獣の魔王 編

035. 勇者パーティーを追放された俺だが、 そもそも加入した覚えはありませんが?④

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 朝日が顔を出す頃に起床したユーゴは、身支度を整えて荷物をまとめた。
 部屋を出ようとして荷物を持つと、

「……?」

 やけに重く感じた。
 重くなるような荷物は入れてないはずだが……。
 ユーゴは中身を再確認した。やはりいつも通りだ。

「まぁいいか」

 昨日は飲みすぎたのか、それとも睡眠が足りなかったのか。
 少し調子の悪い日もあるだろうと、ユーゴは気にしないことにした。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 ベガスとその相棒だというギラン。リリとレイア。そしてユーゴを加えた一行は、ソラカの町から東へ進み、ベルーナの遺跡を目指した。
 ベガスは二十五歳。小柄で目付きの鋭い男で、長い茶髪が不自然なまでに輝き、額にバンダナを巻いている。
 ギランは三十歳でいかつい体躯をした、元傭兵だという強面だ。
 男二人はリリとレイアに陽気に話しかけ、彼女達も少しずつ打ち解けて、笑顔で話すことが多くなってきた。
 ベルーナ遺跡まで半日の距離だったが、後少しというところでトラブルが起きた。
 魔獣の群れに囲まれたのだ。
 ベガスは剣を、ギランは斧を、リリは双短剣を構え、レイアは呪文を唱えだした。
 戦闘が始まった。
 ユーゴは積極的に戦闘に参加しないことにした。本当に従いてきただけというスタンスだからだ。
 とはいえ、飛んでくる火の粉は払わなければならない。
 魔獣の群れの中に、やけに剽悍ひょうかんな狼がいた。常人では消えたようにも思える動きだ。
 こいつの相手はユーゴ以外の四人では手に余る。
 しかたない。面倒だが、特別に何とかしてやるか……。
 ユーゴは【電光石火フリーウェイジャム】を発動しようとした。
 だが、発動しない。

「……!?」

 さしものユーゴも面食らってしまった。こんなことは初めてだったのだ。

「……くっ」

 仕方なく自前の反射神経と動体視力で対応する。
 牙を剥いて飛びかかってきた狼を殴ると、なんとか一撃で葬ることが出来た。
 ユーゴは他の四人の様子を横目で探った。
 魔獣の数が多く乱戦状態にあるようだが、まだ負傷者は出ていないようだ。
 それにしても……これが勇者なのか? 
 ユーゴは内心で首を傾げた。
 弱すぎるのだ。
 リリやレイアは実戦経験も少ないだろうし、まだ仕方ないといえる。
 ただベガスは実力が低い。それだけでなく、件の聖剣も闇雲に振り回すばかりだ。聖剣がどれだけのものかは知らないが、これではそこいらのナマクラと大して変わりない。
 だがそれに関しても、まぁ良いかと切り捨てた。ユーゴには関係ないことなのだから。

 結局、終わってみれば魔獣の大半はユーゴが片付けていた。だが、みな目の前に戦闘で精一杯だったせいか、各人の戦績を把握できていない。
 それを知ってか知らずか、ベガスが誇らしげに声を張り上げた。

「どうだ! ほとんど俺が殺ったぞ。これが俺の実力だ!」

 なんじゃそりゃ……。ユーゴは二の句が継げなかった。

 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 ベルーナ遺跡に到着し、ダンジョンに潜る前にひとまず腹ごしらえをすることになった。

「ユーゴといったか? 聞いていたほどの実力ではないんだな」

 携帯食の燻製肉に齧り付きながら、ベガスが言った。

「どういうことだ?」

 面倒だが、ユーゴはいちおう相手にすることにした。

「どうもこうも、その通りの意味だが。昨夜聞いた話では、ヘルドッグを瞬時に三匹始末したということだが。……そうなんだろ、レイア?」

「え…ええ。確か、そうね」

「先刻の魔獣の中にヘルドッグほど手強い種はいなかった。しかし、お前はだいぶ手間取っていたようだが?」

 ギランもベガスの意見に便乗して言った。

「ま、まぁまぁ。ユーゴは調子が悪いんじゃない? 人間誰しもそういう時あるよ。ね?」

 とりなすように、リリがフォローをいれた。

「ふん。まぁいいさ。俺はお前が実力者だということでパーティに入ることを許可したんだ。しっかり頼むぜ」

「へいへい。……んん?」

 ユーゴの頭上に疑問符が現れた。
 しょうもない話題だったので右から左に聞き流していたユーゴだったが、なにか最後、妙なことを言っていた気がする。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 ベルーナ遺跡はリリの説明にあったように、最近発見された遺跡だ。
 出土したのではなく、出現したのだ。
 この世界では稀に起こる現象で、それまで何もなかった場所に、一夜にして建造物などが現れることがある。
 研究者の間では、神や魔王が古の時代に封印していたものが、悠久の時で術が風化して現れたのではないかという説が有力である。
 ユーゴ達はダンジョンへの入口に到着した。
 石で組まれた建屋に、大人二人分ほどの高さの入口がある。入ってすぐに地下へと続く階段が見え、まるで地下鉄の出入り口のようである。

「ここは俺が初めて降りるダンジョンだ。この遺跡の他のダンジョンではトラップもなかったから、まぁ同じような難易度だろう」

 ベガスはそう言ってフォーメーションを指示した。
 ギランが先頭。次にベガス。リリとレイアが全体の間に挟んで、最後尾がユーゴだった。

「おい。しっかり従いてこいよ、荷物持ち」

 意地悪くユーゴに告げるギラン。どうやらユーゴは荷物持ちというポジションに収まったらしい。

「へいへい……」

 イラッとしたが、もう少しの辛抱だと思ったユーゴ。このダンジョンが終わればお別れなのだし、無益な殺生は控えるべきだ。だって面倒くさいから、と。
 ユーゴは千里眼ワールドゲイザーを発動してダンジョンの全容をつかもうとした。だが入口から先は黒く塗りつぶされたように見え、何があるかわからない。
 とはいえ、これは驚くことではない。
 建造物の内部まで覗ける千里眼ワールドゲイザーだが、神秘的な力で秘匿された、あるいは空間として断絶されてこの次元にない場所は見ることが出来ないからだ。
 おそらくこのダンジョンは、魔力や霊力などの神秘力で秘匿されているのだろう。
 だから、それは問題ない。
 問題なのは、現在の千里眼ワールドゲイザーの範囲が半径1キロメートルに及ばないことだ。今までの数百分の一である。
 自分の身に何か以上が起きている。それは間違いない。
 しかしそれが何かわからないのがユーゴには不気味だった。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 地下一階に降りてすぐ、ランタンの灯りに照らされた壁に、なにか文字が刻まれていることをユーゴは気付いた。

『右側通行』

「……おい。なんか右側通行って書いてあるぞ」

 ユーゴは先頭に呼びかけた。それにベガスが振り返って言う。

「どこに書いてあるんだ? そんなのどこにも見えないぞ」

「いや、ここだよ、ここ」

 そういってユーゴは壁の文字を指差す。

「おい。この落書きみたいな模様のことを言ってのか?」

 ギランが馬鹿にした口調でいった。
 自分が指さした箇所を改めて読んだユーゴ。
 丸や四角形などの図形の中に更に様々な線や円が複雑に絡んでいるし、そう言われれば、何かの模様か落書きにも見える。
 そうか。こいつらには読めない文字なのか。
 ユーゴは気付いた。
 フルータル王国で使われている文字は、ミミズがのたくったような筆記体が主で、これとは明らかに違う。だが、ユーゴが文字として意味が理解できたということは、【壁なき言語スーパーリンガル】が認識したのだ。ということは、文字で間違いない。

「さっきの戦闘であまり活躍できなかったから悔しいのは解る。だからって変に目立とうとしていい加減なことは言わない方がいいぜ。なぁ?」

「ああ。かっこわりぃ」

 ベガスとギランは、ユーゴを嘲笑った。二人はユーゴをイジる的に決めたのだ。

「うーん。私もこんな文字は見たことない。フォローできないかな」

 レイアも澄ました顔で言った。

「あーそうかい。もう言わねぇよ」

 不機嫌そうに答えたユーゴ。
 リリはそんな彼とチラッと見た。



──────to be continued

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