ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神

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千獣の魔王 編

037. メナ・ジェンド獣王国へようこそ

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「あ、あんた、その翼…」

 美女の背には、蝙蝠のような翼が、そして頭部には羊のような角が生えていた。

「臆するな。お主に害は与えぬ」

 ふっと微笑した美女にユーゴは言う。

「いや、むちゃくちゃクールだって思ってよ」

「…ぷっ。なんだ、その感想。初めて言われたぞ。普通、人間はこの姿を見たら腰を抜かして逃げ出すのだがな」

 上品に吹き出した美女。そしてさっとユーゴの背後に回ると、ユーゴの腰に手を回す。

「おっふ」

 後背筋に感じるたっぷりとしたむにょん感に、思わず幸福のため息を漏らすユーゴ。望外の僥倖をユーラウリア以外のどこかの神に心中で感謝した。
 その想いは人界から遥か遠く離れた神域のひとつに届き、それを受け取ったヴァリオンという神が虚空へ向かってサムズアップした。

「では行くぞ」

「?───うぉぉっ⁉︎」

 美女が出発を告げると、目の前の景色が奈落へ落ちた。実際はその逆で、ユーゴがそう錯覚するほどの勢いで、2人は上空へ飛んだのだ。

「そういえば名乗っておらんかったな。私はチアキ。故あって偽名しか名乗れぬ、許せ。まぁ、長い間これで通しているし、ある意味本名だが」

「堂々と偽名を名乗るな。俺はユーゴ。本名だ」

「よし。では行くぞユーゴ。ちびるなよ」

 二人の体が青白い光に包まれ、茜色の空を流星のごとく飛翔する。
 眼下の景色が流星雨のように、続々と後方へ消えていく。
 ヘリコプターの飛行高度位はありそうなのにこの速さで景色が流れるということは、音速を超えているのではないだろうか。にもかかわらず、音の壁どころか、風圧の風の字も感じないのは、この青白い光が保護してくれているのかもしれない。ユーゴはそう考えた。

「ユーゴよ。もうすぐベルトガルドへ着くぞ」

「は? 冗談だよな?」

 ベルトガルドはメナ・ジェンド獣王国の首都だ。ユーゴが得た情報によれば、アイラからなら徒歩で半年、馬車でも二ヶ月はかかるはずだ。それを物の数分でとは、にわかには信じられない。ただし、この速さを体験していなければだが。

「さぁ、見えてきたぞ。ようこそ! あれがベルトガルドだ!」

 高高度から見る世界は西に東に沈みかけ、西から東にかけて大自然が、空のキャンバスに藍色と茜色のグラデーションを描いていた。
 もう、逢魔時だ。
 夜が既に訪れている側の地上では、営みの灯がポツポツと点在していたが、とりわけひときわ大きな光の塊が遠くに見えた。
 その光がぐんぐんと大きくなっていって、それが大小様々な建造物が放つ光だと知る。都市だ。それも大都市。
 都市の規模もさることながら、ユーゴを一番驚かせたのは、都の中央にある巨大な動物の頭蓋骨だった。
 あえて近似の動物を探すなら犬だろう。口が長い。犬との違いは眼窩がなんと五つも空いていること。そして何よりそのサイズだろう。東京ドーム一つ分はある。
 その頭蓋骨の至るところから明かりが漏れている。

「ん? ああ、あれか。百五十年位前だったか。獣王と名乗る獣人だか魔人だかわからん奴がいてな。そいつの死骸の周囲に街を建造したのだ。あの頭は議会所として利用させてもらっている。さあ、では降りるぞ」

 チアキは徐々に速度と高度を下げて、ふわりと街の広場のような場所へ軽やかに着実した。

「あ! チアキ様だ!」

「なに、チアキ様だと⁉︎」

「本当だ。お戻りになったんだ‼︎」

 チアキを見た街の住人たちが口々にチアキの名を呼び、集まってくる。

「ずいぶん慕われてんだな。ていうか、お前、もしかして有名人?」

「お陰様でな。どうだ、最近何か変わった事はなかったか?」

 チアキは町人の一人に語りかけた。

「いえ、街は何事もありません。平穏そのものです。ただ、外ではいろいろあるらしいと言う噂は聞こえてきます」

「そうか。ありがとう。では、すぐに官邸に戻るか。───誰か! 悪いが、この者をどこかの宿に案内してくれるか? 代金は私に請求するようにと。ではユーゴよ。悪いが私は用があるゆえ、ここで一旦帰らせてもらう。明日、使いの者をよこすので、後はその者に従ってほしい。何、悪いようにはせん」

「あぁ。わかった。何から何まで済まないな」

「ではまたな」

 チアキは翼を羽ばたかせ、飛んでいった。

「ではお客人。宿にご案内いたします」

 残されたユーゴに声をかけたのは、1人の獣人───おそらく馬の───だった。よく見れば、街の住人の半数以上が獣人だ。いや、獣人だけではなく、体のどこかに羽毛が生えている鳥人や鱗のついた龍人などもいた。

「ちなみに、お客人はどちらかの国の要人か何かで?」

「いや。ただの冒険者だ。彼女とは、ついさっき知り合った」

「左様で。承知いたしました。それではこちらへどうぞ」

 そう言って、馬の獣人は、ユーゴを案内する。彼の話では、外交関係とその他で案内する施設が異なると言う。ちなみにこの馬の獣人は、たまたまあの広場に居合わせた政府関係者だと言った。
 案内された程度はランクで言えば中の上と言ったところか。
 華美すぎず、すっきりとした印象の宿だ。衛生環境も、悪くない。というか、かなり良い。三階建てだが、すべてのフロアに誇りひとつなく、木材も全て磨き上げられている。
 何より1番ユーゴの興味を引いたのが、トイレが水洗だと言うことだ。ということは、下水道が街に整備されていると言う可能性が高い。
 ユーゴはこの世界の文化水準の認識を改める必要性を感じた。
 異世界がすなわち文明が低いと言う認識は、決して成り立たない。もちろん今まで旅した世界にも地球より文化水準がはるかに高い世界はあった。
 ただ、今までガナ・スティナ大陸で訪れたのは田舎の町ばっかりだったので、この世界の文化水準は、地球で言えば中世ヨーロッパかそれ以前くらいかもしれないと思ったのだ。
 だが、そんな事よりも───自分の体はどうしてしまったんだろうか。
 ユーゴにとってこんな事ははじめての経験だった。
韋駄天ハイウェイスター】、【無限のシークレットもちゃ箱フロンティア】など、いま試せるものを発動しようとしたが、やはりうまくいかなかった。
 宿の見取り図を見ても、文字が読めなくなっていた。言葉も、たまに意味不明になってしまう。【壁なき言語スーパーリンガル】が不調になっているのだ。
 この状態が悪化すれば、いずれこの世界の人々との会話が限りなく困難になる事は避けられないだろうと思われた。
 だが、今は考えても仕方ないので、寝ることにした。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 朝食付きたと言うので、ありがたくいただくことにしたユーゴ。
 食事中に、フロントから「政府の使者がもう少しで参ります」と伝えられたので、部屋で待っていると、ドアが叩かれた。

「はじめまして。私はリンリン」

「はじめまして。私はリコリコ」

「あなたを」

「迎えに行きました」

 ドアを開けると、そこに立っていたのは小さな双子だった。二人は交互に喋っている。
 二人とも片目に眼帯、髪はサイドテールに結って同じ特徴をしている。ただし、左右対象ではあるが。
 服装はミニスカートのスーツ。違うのは眼帯も、髪もスーツも、リンリンが白色、リコリコが黒色で統一されているということだった。
 二人とも狐の獣人だ。尖った獣耳と、もふり欲を刺激するふさふさの尻尾が生えている。

「とりあえずチアキに言われたから待ってたけれど、これから俺はどこかに連れて行かれるんだ?」

 ベルトガルドへ連れてきてもらったことと宿を世話してもらった恩義で、とりあえず指示に従っているが、理不尽な要求をされるようなら、ユーゴは断るつもりだ。
 ユーゴの質問に双子の狐獣人が再び答える。

「あなたには」

「この国の王、ベルタリオ様に」

「「会っていただきます」」


──────to be continued

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