ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神

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からくり奇譚 編

087. 四神無双(前)

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 ヤマタノオロチの砲撃をかいくぐった敵機が、霊子弾を放つ。
 スサノオの前腕部に取り付けられた球形の装置が光り、霊子エネルギーを六角形の盾のように展開し、霊子弾を防いだ。スサノオ専用の【霊子シールドヤタノカガミ】である。
 接近戦を挑んできた機体の刀を素早く回避し、腰の装甲から刀の柄形の武装を掴み出し、霊子エネルギーで刃を形成。スサノオ専用の【霊子刀クサナギノツルギ】で叩き斬った。

「やはり、数が多い」

 スサノオの搭乗席で信衛は苦々しく呻いた。
 いかに最強の出力、武力を誇る最新鋭機でも、多勢に無勢は如何ともしがたい。
 それは姉が操縦するリッカも同じだった。
 吹雪は速射、連射が可能で、遮蔽物の少ない平地では効果が高い。しかし森林に紛れられるとその効果を一気に減じる。
 この時も、木々を盾代わりにした敵機の群れ相手に苦戦していた。
 だが、林に隠れた敵機が何らかの衝撃を受け、やにわに膝から崩れ落ちた。
  一台、また一台と戦闘不能になっていく。
 いったい、何が起こっているのだろう……?
 雪は状況がつかめなかった。
 だが、リッカの最新かつ高性能のアイカメラが林の中を素早く動く桃色の影を捕らえた時、林の中でそれを為しているかを悟った。
 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 ユーゴと別行動をとったフィールエルは、数で不利そうなリッカの応援をするために、林に紛れて敵機を攻撃する事にした。

「はっ!!」

 樹木と樹木の間を狙い、フィールエルは神聖術を放った。
 その一撃は過たず敵機の膝部を打ち砕いた。

「やっ!」

 神聖術で身体強化を施したフィールエルは、木の枝から次の木の枝へと、軽やかに跳び移っていく。
 その間にフィールエルの天使たるマリエルが実体化し、敵機を撃っていく。
 対して倒幕連合軍の機巧武人は、自分たちがどこから攻撃されているのかを把握できていない。
 操縦兵パイロットたちは自機のレーダーを食い入るようにして注視しているが、どこにもそれらしき敵機の姿はない。
 当然だ。そんな機体など存在しないのだから。
 まさか生身の人間に撃破されているとは露ほども思わない倒幕連合軍は、見えない敵を探して右往左往するのみだった。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 同じ頃。空中では、スサノオが次第に追い詰められつつあった。
 離れた空域に居た編隊もスサノオの存在に気付いて排除すべく押し寄せてきたのだ。
 一塊になっていた部隊は散開し、スサノオを取り囲むフォーメーションになった。

「くっ……無謀は百も承知! かくなる上は一機でも多く道連れにして───」

 信衛が特攻を覚悟した時、二条の光の柱が横合いから敵機を包み込み、数十機を一気に呑み込んだ。
 更に数回、同じように光の束が敵機の数を減らしていった。

「な……何が!?」

 スサノオだけでなく、敵機もその光源を探す。
 すると少し離れた空から、なにか黒い影が戦場へと飛来してくる。
 朱い翼を持った、黒い鎧姿の人影。
 それはスサノオの眼前で急制動して停止すると、おもむろに呟いた。

「解き放て、朱雀」

 スサノオの外部集音マイクが拾ったその声は、まさしくユーゴのものだった。
 朱雀のバックパックの後部、鳥で言えば尾にあたる部分に四枚のひし形をしたフィンがある。
 それがガコン、という音と共にバックパックから外れ、まるで意思を持つ鳥のように中空へ躍り出た。

「暴れろ、フェニックス・ビット!」

 ユーゴの号令で四枚の武装は四方へ飛び、その先端から高出力のエネルギー弾を射出して、連合軍のジンライを撃破した。
 一撃ずつ素早く動き、その位置を変え敵機を翻弄していくフィニックス・ビット。

「ゆ、ゆうご殿なのですか!? そのお姿は……?」

「話は後だ、信衛。ぼさっとしてるとやられるぞ!」

「は、はい!」

 ユーゴはスサノオの傍から離れると、

「青龍、チャージ!」

 朱雀が再び青龍を背面に畳み込む。
 青龍は二門同時に全力で放射したときは、次元を歪ませるほどの威力を誇るが、その場合、一回でエネルギーがゼロになる。
 だが、威力を抑えて一門ずつであれば、複数回に分けてのの射撃が可能になる。
 とはいえ、それでも一発の威力は対艦砲級に及ぶのだが。
 青龍のチャージを行いつつ飛行を続けるユーゴは、一体のジンライの眼前でピタリと止まった。
 ニュートン力学を鼻で笑うような、あまりにも不自然な動き。
 もちろん、神由来の武装である、朱色の翼の仕業である。
 四神式究極武装の一つであるこの朱雀、装着者の超高速飛行を可能にし、またフェニックス・ビットという、リッカの吹雪のような無線式の射撃兵器も備えているが、朱雀を究極たらしめている機能はそこではない。
 この “運動エネルギーや慣性力制御” の能力にある。

「白虎。狩りの時間だ」

 そして四神式究極兵装最後の一つが、この白虎。
 ユーゴの両前腕に装着された白い腕甲。そこから大きな爪が三本ずつ伸びた。
 その能力は至ってシンプル。 “切り裂くこと” である。
 だが白虎の爪が切り裂くのは物質ではない。
 空間である。
 空間を切り離す、といったほうが正確かもしれない。
 そしてそれは即ち、対象の硬度や強度などは問題にならないということである。
 更にその射程は、爪が届く範囲だけでなく、その百メートル先まで任意で広げられる。
 故に、機巧武人といえども、その一撃のもとに真っ二つにされてしまう。
 朱雀の機動力と白虎の破壊力を以て、ユーゴはあれよあれよと云う間に、敵機の数を減らしていく。

「す、凄い……」

 スサノオのコクピットで、信衛は呟いた。
 何故ユーゴがあれ程の装備を持っているのかは判然とせぬ信衛。しかし目の前にはただの現実しか無い。
 信衛がその動きに見入ってしまっていると、
 ピピッ。
 ロックオン・アラートがコクピットに鳴った。

「しまった!」

 急いでスサノオを動かし、危うく後方からの射撃を回避。だが、

「! ゆうご殿!」

 その射線上にユーゴがいた。
 光弾にその姿が消える。
 しかし、光弾が霧散した後、ユーゴは変わらずその場に浮いていた。
 ユーゴが無事だった理由。それは彼の全身を囲っている球状の半透明な膜のような物にある。
 それらは全くの球状というわけではなく、六角形の光が連なって球状を形成しているのだ。
 玄武である。
 玄武の光の壁は、かつてスエナ近くの海岸でやったように大規模な壁を形成するだけではない。このように全方位に対するバリアとしても展開できるのだ。

「お前ら、いい度胸だ。青龍のチャージも完了したことだし、一気に片付けてやる」
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