ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神

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めいでぃっしゅへようこそ! 編

094. 聖戦の聖女VS神威の巫女(後)

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 悪霊を目撃したという村人はアリオという名前で、マキーバという村にいるらしい。
 ナーサから徒歩で一時間ほどの距離にあるが、狭い林道や細い橋などがあるとフィールエルが情報提供したので、車は使用しないことにした。
 順調に進み、一向はすぐにマキーバ村に到着した。
 目についた村人を捕まえてアリオの居場所を尋ねると、なんとその村人がアリオ本人だった。
 最初は見慣れぬ旅人に警戒していたアリオだったが、ギルドの冒険者だと伝えると、一転して人懐っこく話しだした。
 彼が悪霊らしき物を目撃したのは、マキーバから少し離れた場所にある墓地だった。
 アリオは墓守の役目を担っており、その日も墓地の掃除をしていた。
 日が暮れだしてそろそろ村に帰ろうかと思った時、空の茜色と紺色の間に、白い靄のようなものが漂い出した。
 ソレを見た時、アリオに悪寒が走った。そしてその靄から「ヒヒヒ……」という君の悪い声が聞こえてきた。
 声を訊いて怖くなったアリオは、掃除道具を投げ出して逃げ帰ったという。

「その墓地に、フェルロの花は咲いていないのですか?」

 ネルがアリオに質問した。

「あの白い花だべか? 本当は一杯いっぺぇ咲いてたんだが、最近獣か何かに食われたみたいで、いまは全然だぁ。それがどうしたんだ?」

「フェルロの花の匂いは、悪霊を寄せ付けないと伝えられています。なので、大体の墓地には多く植えられています」

「そうだったのか。おら、知らんかったなぁ」

 事情を聞き終えたユーゴ達は、すぐにフェルロの花を植え直して保護作を作ると約束し、アリオの案内で墓地へ向かった。
 墓地に着くと、アリオは村へ引き換えさせ、ユーゴ達はその時まで時間を潰した。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 日が落ちかけた時、にわかに場の空気が冷たく変わりだした。
 単純な気温だけではなく、そこになにか恐ろしいものが含まれているような。

「現れたぞ、ユーゴ」

 フィールエルの鋭い視線の先に、白い靄の塊があった。
 それはやがて人型のシルエットをとり、フィールエルにゆっくりと向かっていった。

「ふん。ボクに取り憑く気か。やれるものならやってみるといいさ」

 面白く無さそうに言ったフィールエル。彼女は左手を悪霊に向かって輝く風を巻き起こし、悪霊を吹き飛ばした。

「何だ、瞬殺じゃねぇか。フィールエル、その風、ただの風じゃねぇな?」

 拍子抜けしつつもフィールエルに感心したユーゴに、彼女は得意げに答える。

「まぁね。風属性の【浄化】の神聖術だ。物体にはほとんど効果がないが、悪霊などには覿面てきめんだ」

 その時、何かに気付いた雪が懐から一枚の紙札を取り出した。

「油断は禁物ですわ」

 彼女は札を虚空に投げると「エイッ!」と気合を込めた。
 札が燃えたと思うと、「ギャアアア」という断末魔がそこから響いた。

「雪、いまのは……?」

「はい、旦那様。火を使った退魔の精霊術です。私も巫女の端くれ。この程度は児戯にも等しいことですわ」

 そう言って微笑んだ雪は、次いでちらりと横目でフィールエルを見ると「ふ……」と口の端を上げた。
 それくらい私にも出来ますから、調子に乗らないでくださいね。
 言外にそう言っていた。

「な……っ!」

 それを受けたフィールエルは絶句。

「フィー、雪さん。まだいます!」

 ネルの警告通り、周囲には多数の白い靄の塊が出来ていた。
 
「ユーゴ、ここはボクに任せて欲しい。ネルはユーゴ達を!」

「は、はい」

 フィールエルの指示で、ネルはユーゴとパレア、雪に防護壁を張った。

「はぁぁっ!」

 両手を前に突き出したフィールエルは、この墓地全体を包み込むほどの旋風を巻き起こした。
 光り輝く強風に為す術もなく、悪霊達は怨嗟のうめき声を上げながらかき消されていった。

「どうだ? そんな紙切れじゃ、ここまでのことはできないだろう?」

 勝ち誇った顔を向けて言ったフィールエルの言葉に、雪の美しい顔から表情が消え、半眼になる。
 聖女と巫女の間が、どのような原理からか、揺らめき出した。あたかも灼熱の大地に居るように。 
 雪の周囲の気温が何故か低くなっていき、対してフィールエルの周囲の気温は少しずつ高くなっていっているせいだろう。

「あ、あの、お二人とも、少し落ち着いて下さい」

 にわかに剣呑な空気になりつつあり、ネルが慌てて静止した。

「キャーーーーっ! 何よコレぇぇぇっ!?」

「なんだよパレア、大声出して……うえっ、マジかよ」

 悲鳴を上げたパレアの視線の先。そこでは墓石の前の土が盛り上がり、白骨化した手が突き出ていた。
 そこから全身が土から這い出てきて、更に墓地中の墓からも、うじゃうじゃとお仲間が現れた。
 完全に白骨化したもの、肉は付いているが腐乱しているものなど、ホラーが苦手な者ならば卒倒してしまう光景だろう。泡を吹いて倒れたパレアのように。
 雪が己の黒髪に付けてある、雪の結晶をモチーフにした髪飾りに触れると、目の前の空間が揺らめいて、彼女はそこから二本の刀を取り出した。
 この髪飾りは、雪の弟である信衛の特製だ。
 信衛の超能力【超錬金】で空間に作用することが出来る金属を創り出し、それを材料に造られた。
 信衛はそれを、長旅に出る姉に餞別として渡していたのだった。
 二刀流で構えた雪は、

「旦那様。ここは私にお任せを。───霊鎮たましずめの太刀、参ります」

 言うやいなや、雪の姿がふっと消えた。
 かと思うと、
 ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽーんと、ゆっくり歩きながらユーゴ達に迫ってきていた骸骨や屍人の首が、跳ね飛ばされていった。
 常人には屍人たちの首がひとりでに飛んだように見えるが、辛うじてユーゴ達には、雪が超速で屍人の首を刎ねていったのが追いきれていた。
 首無しとなった死体は、糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。

「霊鎮めの太刀【曼珠沙華】です。清めの力を込めた刃を屍人に触れさせれば、たちまちの内に黄泉へ還す事ができるのです」

「触れさせればいいなら、首チョンパする必要ってあったのか? あまりのショッキングシーンに、目が醒めたパレアがまた失神したぞ」
 
「………雪、張り切り過ぎちゃいました。てへ♪」

 小首をかしげてテヘペロの雪に、ユーゴは呆れてなにも言えなかった。
 死体は仕方なくそのままにして、ユーゴはナーサの冒険者ギルドに依頼の完了を報告しに行った。
 その間にネルが悪霊の発生を抑える結界を張り、ユーゴが戻ると同時にマキーバへも報告に向かった。
 しきりに礼を述べるアリオと村町のすすめで空き家を使わせてもらい、一泊した。
 明けて出発してからも、どちらが多く魔物を倒せるかとか、炊事ではどちらが美味しく作れるかとか、フィールエルと雪は事あるごとに張り合った。
 道が開けた時、急ぎの旅ということもあってユーゴは自動車───アドヴェンチャー・ガンマを異空間から出した。
 陽元国の物より出来の良い車に雪は感嘆の声を上げ、そのままちゃっかり助手席に乗り込もうとした。
 フィールエルがそれに待ったをかけ、また一悶着始まりそうだったが、さすがに埒が明かないため、ユーゴが席順を指定した。
 後部席には三人座れるため、雪とフィールエルは両端に、その間には体格を考慮してパレア、そして助手席にネルという配置だった。
 発車させたユーゴは呟く。

「先が思いやられる……」

 雪の加入を認めたのは失敗だったかもしれないと考え始めたユーゴだった。

小説追記文

──────to be continued

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