ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神

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めいでぃっしゅへようこそ! 編

118. サシ飲み②

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「【欲望アペタイト観察ビューアー】? それはどういった能力なんだ?」

 香草をまぶした鶏の唐揚げを噛み千切りながら、ユーゴは尋ねた。

「っちゆうても、大した能力じゃないんスけど。ま、簡単に言えば他人がいま何を欲しているのか、何がしたいのかが色として視えるッス。例えば『この人は腹が減ってるんだな』とか、『ムカついてるんだな』とかッスね」

「一種の読心術か。すげぇな。商売人の鉄太向きじゃねぇか」

「まさにその通りッス。細かい説明は省くけど、俺はこの世界の人が娯楽に飢えてることをこの能力で知ったんスよ。それまでの娯楽といえば、闘技場の観戦か歌劇の鑑賞かギャンブルくらいなもんで、どれもバイオレンスだったり高価だったりしたんスよね。それでまずは安心・低価格で貴族以外の生産労働階級でも楽しめる店を作ったんス」

「それが “めいでぃっしゅ” か。生産労働階級ってのは俺らやメイド達のことだな」

「まぁ、そうっスね。貴族のヒエラルキーが三角錐の形として、その上の方に公族、その上の頂点に王族が君臨してて、その三角錐が乗っているのが生産労働階級ッス。ちなみに公爵ってのは、三門貴族を纏めて王族と繋げる役割の貴族ッスね。生産労働階級のヒエラルキーのイメージは円柱形で、二層になってるッスね。上の層が職人、料理人、農家の主人、漁師とか技術職の親方や主人レベルで、その下の層が労働力として雇われている人達ッスね。まぁ俺は貴族っち言っても類爵っスから、生産労働階級と大差ないっスけど。ああ、ちなみにこの世界には宗教が一つあって、そこの幹部達は貴族や生産労働階級のヒエラルキーからは外れてるッスね」

「そうなのか。そういえば、いまの説明に奴隷ってのがなかったな」

「奴隷スか。こりゃまたどうして?」

「ああ。鉄太も知ってるみたいだが、闘技場にドネルって奴がいて、そいつが俺が負けたときの条件としてフィールエル達を奴隷にするとか言い出してな。それに、俺と一緒に黄色いライオンもどきと戦った連中も奴隷って言ってたな」

「奴隷ってのは、この国の古い風習ッスね。大きな借金を抱えたり、大罪を犯したり、何らかの事情で国民権を剥奪された人達のことを奴隷っち言うんスけど、昔はその奴隷達を闘技場で殺し合わせて楽しんでたらしいッス」

「奴隷って身分には、そんな簡単に落とせるものなのか?」

「もちろん簡単じゃないっスよ。でもドネルなら、そのハードルは低くなるんスよ」

「なんでだよ?」

「っち言うのもスね、ドネルの実家はガリオーリ幕爵家っち言って、古くから王国に伝える名門なんスよ。奴は現当主の弟で、そのコネで闘技場で幅を利かせてるんスよ。ちなみに各地の闘技場の運営と管理は、武門貴族しか関われないッス。で、ガリオーリ幕爵家は古いだけあって、武門貴族どころか政門と商門の有力貴族とも深い繋がりがあるっちいわれてるッス。だから、各貴族に働きかけた後、何らかの罪をでっち上げて奴隷にするなんて荒業がまかり通るんス」

 鉄太はグラスを煽って喉を潤し、更に続ける。

「ドネルのクソ野郎は昔から女好きで有名だったらしくて、気に入った女がいたらあの手この手で自分の女にして、なびかなかったら汚ねぇ手段で奴隷にしちまおうって奴なんスよ」

 どこの世界にもそういう下種がいるんだなと呆れたユーゴ。彼も酒を喉に流し込み、耳を傾け続ける。

「うちのメイド達。元は別の貴族に仕えてたメイドだったって話はしたッスよね。美人揃いで有名だったんスけど、ドネルがその子達を手に入れるために、あろうことかその貴族を嵌めて家を潰しちまったんスよ。その債務と冤罪をメイドたちに着せて露頭に迷わせた所を、上手いことやって手に入れようとしたんス」

「でも、そうはなってないよな。鉄太が解決したのか?」

「ええ、まぁ。たまたま、俺はその貴族と知り合いだったんスよ。それでその話を聞きつけて、おれが債務の肩代わりを申し出たんス。冤罪に関しては必死で証拠をかき集めて、レーナス令爵様に紹介していただいた別の政門貴族の力添えもあって、疑いは晴れたんスけど、借金だけは証文が捏造されててどうしようもなかったッス。その時、初めて日本の警察がいればなって思ったッスね」

「確かに、奴ら個人の能力やモラルはともかくとして、科学捜査力だけは地球でもトップクラスだからな」

「俺が借金を肩代わりするって言ったらドネルの野郎、今度は無茶苦茶な条件を出してきやがったんですよ」

「どんな条件だ?」

「借金の返済が終わるまで、輝星に闘技場で勝ち続けろって。そのときには輝星の強さは結構有名でしたからね。一回でも負けたら契約不履行で、今度は輝星も加えて奴隷にするとか言い出したんスよ!」

 それを聞いたユーゴは、危うく酒を吹き出しそうになった。

「おいおい、それってやばいんじゃないのか? 俺が輝星に勝っちまったから……」

「いや本当にギリギリやけど、その月に返済し終えてたんスよ。いやマジでその前日に金を返し終わりました」

「そうか。なら良かった」

 安堵したユーゴは、同時に納得した。
 自分だけでなく仲間メイドたちの将来まで背負っていたから、輝星はユーゴの気迫に耐えられるほどの精神力を発揮していたのだと。

「なんにせよメイド達も一安心だな。もうドネルの奴隷にならなくて済むんだから」

「そうなんスけど、あのドネルが大人しく引き下がるかな、と思ってあいつの執念深さと狡賢さは有名スから。特にリネッセに対する執着は凄いッスね」

「リネッセって確か、背の高いメイドだったか?」

 昼間、ネルとの会話で話題に上ったことを思い出した。

「そういえば、欠勤が続いてるとかってネルが言ってたな」

「マジッスか? 俺にはそんな報告が来てないッスね」

 鉄太はしばらく無言で思考を巡らせた。

「後で確認したほうがよさそうッスね」

 それから小一時間雑談に興じ、ユーゴは遅番のため出勤し、鉄太は “めいでぃっしゅ” へと向かった。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 翌日。昼前に起床したユーゴは、洗面を終えて自室に戻るところだった。
 その途中で鉄太と鉢合わせしたのだが、なにやらその顔は神妙である。

「ユーゴさん。ちょっと相談があるんスけど」

「判った。俺の部屋で聞こう」

 ユーゴの自室で、鉄太は話しだした。

「昨日のリネッセの件なんスけど。もしかしたら既にドネルの手に落ちてるかも知んねぇッス」

「どういうことだ。説明してくれ」

 鉄太は昨夜、ユーゴと別れて “めいでぃっしゅ” に行った。
 暗い顔で、そこからの事を語りだした。
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