ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神

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めいでぃっしゅへようこそ! 編

124. ドネルの悲劇〜BAKEMONO2〜

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 鉄太と輝星は、馬車でドネルの邸へと向かっていた。
 フィールエルは放って置いて大丈夫と言っていたが、やはりユーゴの事が心配だからだ。
 いくらユーゴが強くて信じられない異能力を有していようと、多勢に無勢ということもあり得る。それに、これは元々めいでぃっしゅの問題だ。
 リネッセはフィールエルに託した。彼女が護衛についてくれるなら安心である。
 ちなみにネル、パレア・雪は既にめいでぃっしゅへと出勤している。彼女たちも、ユーゴのことは枝毛ほども心配していなかった。鉄太の眼には薄情にすら映った。
 ドネルの邸の少し手前で二人は馬車を降りた。
 このあたりは庁舎もあるので、人通りが少なくない。

「きゃあああっ!?」

 突如、通行人の一人が悲鳴を上げた。
 悲鳴の音源は、鉄太達の進行方向。
 ちょうどドネルの邸宅あたりからだった。
 なにがあったのかと、そこに目を遣る二人。

「「 うわぁ…… 」」

 ドネルの邸から出てきた人物を見て、おぞましさで引いた。
 けばけばしい厚化粧をした女装男を見てしまったが為に。
 女装男───仮にコードネームをつけるとすれば【BAKEMONO】───は、女性用のカツラを振り乱し、スケスケのネグリジェの裾を両手でたくし上げ、脛毛の生えた両脚を大きくスライドさせながら、鉄太達の方へ駆けてくる。
 BAKEMONOを避けるため道の両端に逃げた通行人達を尻目にして、聞えよがしに大きく叫ぶ。

「おーたーすーけー!」

 BAKEMONOに続き、邸の主人であるドネルも歩道へ飛び出してきた。

「待ぁぁぁてぇぇぇぇぇぇぇいっ!!」

 血走った眼でBAKEMONOを制止するドネル。

「お助けー!ドネル・ガリオーリに、おーかーさーれーるー!」

 女装男BAKEMONOが発した内容に、通行人たちが騒然とする。

「ドネル・ガリオーリって、あの女狂いの色ボケ貴族か」

「気に入った女性を卑劣な手段で手籠めにするって噂の……」

「女だけじゃ飽き足らず、男にまで手をつけるようになったのか」

「よりによってあんなゲテモノかよ……」

 町人達は口々にドネルについての悪評を話している。
 LGBTQ+についての理解や性の多様性という概念もないこの世界での出来事である。
 ドネルへの嫌悪感が高まるのは必定とも言える。

「な、何ということをほざくのだ、このバケモノめ! こ、殺してやる!」

 憤怒で顔を真紅に染めたドネル。剣を振り回しながら叫んだ。

「助けてー。殺されて犯されるー」

 更に衝撃的な発言が近隣に響いた。

「殺してって……死体を犯すってことか……っ!?」

「しかも男性よ。相手は」

「猟奇的にも程があるぜ」

「ドネル・ガリオーリ。おぞましい男だ」

「貴族の風上にもおけないな!」

「もはや人としてどうかってハナシだ」

 町中の避難と軽蔑の視線にさらされるドネル。羞恥が怒りに乗算され、赤面に汗が吹き出てくる。

「絶対に貴様は、ワシがこの手でくびり殺してやる」

 確実に仕留めたいのならば、ドネルには手下を呼び寄せるという手もあるのだが、怒りで視野狭窄に陥った彼には考えが及ばないのだ。

「ふんっ!ふんっ!ふんっ!」

 バスターソードをぶんぶんと振り回すドネルだが、

「よっ! ほっ! いや~ん」

 と、BAKEMONOは余裕綽々で避けていく。
 そして再び走って距離を取ると立ち止まり、首だけを回してドネルを見る。無表情で。
 明らかに誘っている。
 それにまんまと釣られ、ドネルは走って追いかけて剣を振り回す。BAKEMONOは避ける。そして距離を取る。
 それが何度も繰り返されると、やがてドネルは剣を杖代わりにして体を支え、肩で荒い呼吸をしていた。
 腐っても武門貴族名家出身のドネル。腕に覚えが有った。
 有るには有ったが、それも若い頃の話である。
 この数十年権力闘争の世界に身を置いて放蕩に耽っており、とっくに腕は鈍っていた。
 すぐに息が上がってダウン寸前のドネルを見て、BAKEMONOがのたまう。

「ええ~、もうお終いなの~?体力のない殿方ってダメねぇ」

 BAKEMONOの嘲りに、尽きかけていたドネルの怒りが再び湧いてくる。
 この頃には流石に鉄太も輝星も気付いていた。女装男の正体に。
 BAKEMONO改めユーゴは、追い打ちに己の尻を突き出して腰に両手を当て、この世界の文字で尻文字を書いた。
 『馬鹿』───と。

「どこまでも愚弄しおってぇぇぇっ!!」

 半狂乱でユーゴに斬りかかるドネル。

「あばよ、ブサイクチビオヤジ! ぎゃはははははははっ!!」

 今までとは比べ物にならない速度で、ユーゴは走り去った。
 当然である。これまでは揶揄う為にわざと (ユーゴ的には)緩慢な動作で動いていたのだから。
 女装男の嘲笑を聞きながら、ドネルはとうとう力尽きて倒れた。
 しかしマグマのように煮えたぎる頭は、憎き女装男への殺意で意識を失わずにいた。
 あの男は一体何物だ? 初めて見るが、しかし不思議と初めて会った気がしない。
 あんな変態がこの町にいたのならば、目立って仕方ないはず。きっと変装だ。
 待てよ……変態?
 そのキーワードにドネルの思考は収斂され、すぐに答えを導き出した。

「……変態王め。待っておれよ……必ず殺してやる」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「ユーゴさん、見ましたよ。マジで笑ったッス」

「何と言うか……エグい。夢に出てきそう」

 寮に戻ってきた鉄太と輝星は、ユーゴにそれぞれの感想を述べた。

「まぁ、あんなクソ野郎にはあれくらいはしないとな。これでも手加減はしてるんだぜ?」

「でしょうね」

 フィールエルからユーゴの悪人に対する数々の所業を聞いていた鉄太は、同意した。
 ただ、ドネルは肉体的精神的ダメージこそ少ないが、名誉に負った瑕疵は少なくないだろう。
 鉄太たちは敵ながらドネルに対し、少しだけ同情した。

「これでドネルの野郎も少しは大人しくなってくれれば良いんスけどね」

「いや、そうはならねぇと思うぜ」

 ユーゴの予想は的中することとなる。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 二日後、ユーゴの部屋に慌てて鉄太が訪れた。

「ユーゴさん、大変ッス。知り合いからの情報なんスけど、ドネルの野郎が手勢を引き連れてこっちに向かってるそうッス」

 鉄太の報告を受け、ユーゴは【千里眼ワールドゲイザー】を発動。
 確かに多数の兵士が押し寄せてきている。
 先頭はあと二キロメートルで寮に到着するだろう。

「ようやくお出ましか。じゃあそろそろ引導を渡してやるかね」

 ユーゴは本館に全員集まるように指示した。
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