ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神

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めいでぃっしゅへようこそ! 編

128. ベッチ閣爵

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「さてと……。俺に喧嘩を売ったんだ。落とし前は付けてもらうぜ、ドネル」

「け、喧嘩を売ってきたのはそっちではないか!」

「元はと言えば、お前がウチの従業員に粉かけたのが原因だろうが」

 ミューをカプセルごと【無限のシークレットもちゃ箱フロンティア】の中へ戻し、ユーゴはドネルのこめかみに銃口を突きつけた。

「ひっ……。わ、ワシを殺すとこの国の武門貴族が黙っておらんぞ……!貴様も、周りの者達も全員、重罪人として死刑は免れん。理解っておるのか!?」

「そん時は向かってくる奴ら全員、この国ごと滅ぼしてやるよ」

「そ、そんな事が……」

「不可能だと思うか? お前もの威力はついさっき見ただろ。あんなのはまだ序の口だ」

「……っ!!」

 銃口をぐっと押し付けてユーゴは言った。無論、ハッタリである。別にそうしてやっても良いのだが、未だこの世界から脱出する目処が立っておらず、しばらくこの世界に抑留される可能性が高い身の上。
 この国の殲滅は、あくまでも最終手段である。
 というか間違いなく疲れるだろうから、もの凄く面倒臭い。正直。
 ドネルが襲撃してきたので蹴散らしたが、殺したところで問題が解決されるわけではないのだ。
 差し当たって現在一番の問題は、リネッセの身分が奴隷に貶されているという点。
 もちろんその理由───重罪人ベレッタ・レーナスの逃走幇助および国家転覆の共謀罪───がただの言いがかり、でっち上げだということは火を見るよりも明らか。疑いようがない。
 だが現実としてこの国の裁判で有罪の判決が下っている以上、このままではリネッセは、これからの人生で日の目を入ることがない。
 この状況を覆すにはやはり、ドネル自身に撤回させるしか無いだろう。
 さて、どのような方法でそれを成すべきか───。
 ユーゴがその方法を思案していると、寮を取り囲む柵の外に十騎の騎兵、そして一台の高級馬車が停まるのが見えた。
 馬車に記されている家紋を遠目で視認した鉄太は、泡を食って階段を駆け下りた。
 その馬車から、一人の壮年男性が降りてきた。身なりから高位の貴族だと判る。

「失礼。君たちにどのような因縁があるかは私には判りかねるが、ひとまず銃を下ろしてもらえないだろうか」

 整えられた口髭と怜悧な瞳が印象的な金髪のその貴族は、ユーゴに近づくと深みのあるバリトンで告げた。

「な、なぜ貴方がこんな場所にいるのですか!?」

 口髭の貴族とはどうやら既知の間柄らしいドネルが魂消ている。

「ふむ。それはだな……」

「おい待てお前ら。俺を無視して話を進めるんじゃねぇよ。大体なんだアンタ。いきなり出てきて図々しいことぬかしやがって───」

 ドネルに答えようとした貴族を制して苦情を述べようとしたユーゴだったが、それも鉄太の声によって止められる。

「ちょっと待った! ストップッす、ユーゴさん。この方に逆らうのは無しっス!」

 ダッシュで駆けつけた鉄太の必死の形相に、さすがのユーゴもたじろぐ。

「な、何だよ鉄太。お前、もしかしてこのオッサンを知ってるのか?」

「わーっ! 言葉の遣い方に気をつけて下さいッスよ! この方は武門貴族のベッチ閣爵ッス!」

「閣爵?」

 閣爵とは確か、武門貴族の最高位だったはずだ。それが何故このタイミングで現れる?
 よくわからないが、風向きが変わったようだ。
 追い風か逆風かはまだ読めないが、成り行きを見るべく、ひとまずユーゴはオメガの銃口を下ろした。

「で? そのベッチ閣爵様が何の用だ?」

「このドネル・ガリオーリが兵を集め、類爵家へと攻め入るという情報があったので、それを制止するために来た。そしてドネル・ガリオーリを捕縛するためでもある」

「…………なっ!?」

 これに一番驚きを表したのは、当のドネル本人である。

「な、何故です? 私は捕らえられるような覚えは……」

 狼狽えるドネルに、ベッチ閣爵は厳しい目を向ける。

「無いというのかね? それは異なことだ。実は、以前から君の悪辣な所業は我々の耳にも届いていてね。今回の発端となった少女の裁判にしても、バーグマン伯爵を通じてサクマ類爵から再審請求が出ていることを聞かされている」

 ユーゴが鉄太に視線を向けると、彼は「っス」と頷いた。
 どうやら鉄太は鉄太で動いていたらしい。

「そこで我々も調査させてもらった。特にリネッセという少女の尋問に当たった兵などを、念入りにね。すると案外簡単に白状したよ。君に鼻薬を嗅がされて、偽りの証拠をでっち上げたとね」

「……っく」

 口惜しそうに歯噛みするドネル。年貢の納め時が来たのだ。

「閣爵さんがここに来た理由は理解った。それで、リネッセはどうなるんだ?」

「私は司法貴族ではないので迂闊なことは言えないが、我々が集めた証拠などから無罪となる可能性は非常に高いだろう」

 ベッチ閣爵の返答に、ユーゴは納得の頷きを返した。

「理解った。じゃあそこのチビオヤジは連れて行ってくれて構わねえよ。欲を言えば、一発この手でぶん殴りたいところだが」

「感謝する。だが殴るのは堪えてくれ。それをされると、我々も君を捕らえざるを得なくなる。できれば君とは事を構えたくない。先程の戦闘を遠巻きに視ていたよ。凄まじい力だ。……君の名を訊いておきたい」

「ユーゴ・タカトーだ」

「その名は聞き覚えがあるな。確か、今年のグランドチャンピオンと同じ名だ。どうだね、私の元で働く気はないか? 君はこの国にとって有用な人材だ。高待遇は約束しよう」

「いや、悪いが遠慮しとく。宮仕えや役人は性に合わねぇんだ」

「そうか、残念だ。気が変わったらいつでも私を尋ねてくると良い」

 そしてベッチ閣爵はドネルを捉えるよう騎兵達に命じた後、馬車に乗り込んで去っていった。

「勿体ないッスね。ベッチ閣爵に仕えていれば、武門貴族の爵位拝命も夢じゃねぇッスよ。商門の爵位と違って、金じゃ買えねーんスから」

 頭の後ろで手を組みながら、鉄太が言った。

「良いんだよ。言ったろ? 俺には向いてねぇんだよ、そういうの」

 そう言って変身を解いたユーゴは、フィールエル達の元へ歩いて行く。
 そこではフィールエルの顔に手を当てて泣きそうな顔をしているネルと、暗い顔で俯いている雪がいた。

「あ、ユーゴさん。実は……」

「祈癒が発動しないんだろ? たぶんそうじゃないかと思っていた。フィールエル、大丈夫か?」

 ユーゴに問われ、フィールエルは微笑む。

「大丈夫だ。これくらい、なんてことないさ」

 その言葉が強がりということは、頬に当てたハンカチが血で染まっていることから明らかだ。

「近くにウチがよく知ってるお医者さんがいるから、ウチが連れていきます」

 輝星の言葉にユーゴは頷き、「頼む」と短く答えた。
 輝星に連れられて歩くフィールエルの後ろ姿を見て、なんとも言えない後味がユーゴの胸に残った。
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