ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神

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セイクリッド・マテリアル編

143. 歌姫の能力

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拐かされたゼフィーリアを救出したユーゴ。 
途中でゼフィーリアの拘束を解いて再び彼女を抱きかかえ、ユーゴはひとまず寮の敷地内へ降り立った。
 一旦自分の部屋に匿うことにして離れの扉のノブに手をかけた時、運悪く女子寮本館の扉が開いた。

「あ……」

 しまった。見つかった。
 ユーゴは己の迂闊さを呪った。
 本館の扉から出てきたのは、フィールエルとパレアだった。

「ユーゴ……なんだその猫? と女性は。その動物はなんだか見覚えがある気がするけど」

「拾った。気にするな」

「動物はともかく、女の子拾ったってアンタ……。それを気にするなで済むと思ってるの? 馬鹿なの?」

 ジト目でユーゴを睨む二人を見て、ゼフィーリアはユーゴに尋ねる。

「ねぇ勇悟。この女性ひとたちは……?」

「前にも説明したと思うが、俺の旅の連れだ」

「旅の同行者が女性とは聞いていないわ」

「言ってないからな」

「というかユーゴ。その女性をお前の部屋に連れ込んで、何をするつもりだ? しかもお姫様抱っこだぞ。ボクもされたことないのに」

「そういえばアタシもされたことないわ」

 フィールエルとパレアの言葉を聞いたゼフィーリアは、ユーゴの首に巻き付けた両腕に更に力を込めた後に二人を見て、

「ふふ……」

 と勝ち誇った微笑みを浮かべた。

「「 なぁ……っ!? 」」

 明らかな挑発を受け、二人は顔を引き攣らせた。
 なんだろうこの雰囲気。デジャブか? なんか最近似たような状況を見た気がするぞ。
 ユーゴは嫌な予感がして、フィールエルたちを牽制する。

「おい。今はちょっとマジで緊急事態なんだ。話なら後で聞くから」

「いまからネルを呼んでくるから、アンタにとっては確かに緊急事態かもね」

「そういうことじゃない。無闇に俺の死亡リスクを高めるなよパレア。あ、おい鉄太、ちょうど良かった。フォローしてくれ」

「あー。結局こうなったんすね」

 寮の門を潜って帰ってきた鉄太は、ユーゴ達を見て一瞬で状況を把握した。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 ゼフィーリアの保護は鉄太絡みの案件かつ鉄太が出来る限り同席するというので、フィールエル達は不承不承出勤していった。
 ひとまずユーゴの部屋に集まり、ユーゴはゼフィーリアと鉄太にそれぞれの事情を説明した。
 ゼフィーリアの「やっぱり」という反応に対して、鉄太は目玉が飛び出さんばかりに魂消たまげていた。

「俺と輝星みたいな転移とかやなくて、転生っスか」

「ああ。フィールエルやネルたちと同じパターンだな」

「え? フィールエル達もなんスか?」

「え? 言ってなかったか?」

「聞いてねーっす」

 そういえば【セイクリッド・マテリアル界】とは別の世界から来たとは説明したが、転生者とは明かしていないことに今更気づいたユーゴであった。

「それにしても、”教会”はとうとう強硬手段に出たっすね」

「やっぱりこの間の諜報員とかいうやつに、あの集まりを嗅ぎつけられたのは痛かったな」

「私が皆を招集した時の、諜報員の男ね。帰すわけにもいかないから、監禁させてもらっているんだけど……」

「エージェントが一人帰ってこなかったら、そりゃ怪しいって思われるッスよね」

「ま、どっちにしても遅かれ早かれこうなってたって事だな。しかも先刻の件で、ゼフィーリアも俺もほぼだと宣言したようなもんだ」

 その時、「ミュウミュウ」とミューが鳴いた。

「あらあなた、遊んで欲しいの?」

 その鳴き声の意味を正確に理解して反応したのはユーゴ───ではなく、以外にもゼフィーリアだった。

「ゼフィーリア。そいつの言いたいことが理解出来るのか?」

「ええ。この際だから打ち明けるけど、特殊な能力っていうのかな……私、動物と意思疎通ができたり、ちょっとしたことなら言うことを聞かせることが出来るのよ。信じてもらえないかもしれないけど……」

「へー。いや、信じるっスよ。俺の【欲望アペタイト観察ビューアー】や輝星の【怪力】みたいな特殊な能力なんスかね? まぁ信じられない度合いだと、ユーゴさんの方がダントツッスよ。ロケットみたいに雲の高さまで大ジャンプするわ、透視するわ、ワープするわ、挙句の果てには変身するわ」

「そういえば、さっきも何だったのあの動き。勇悟あなた、どうしちゃったのよ。というか、変身ってなんのこと?」

「おい鉄太。それ以上はストップだ」

「あ、すんません」

「なによ、教えてくれてもいいんじゃない? 私は教えたじゃない」

「別に教えてくれとは頼んでない」

 可愛らしく頬を膨らませたゼフィーリアに、ユーゴは素っ気なく答えた。

「そ、そういえば先刻の続きっスけど、ゼフィーリア嬢が狙われてるっていうなら、他の皆さんも危ないんじゃないっスかね?」

 鉄太としては自分のせいで悪くなりかけた空気を変えようと話を逸しただけなのだが、ミューの前脚をもって遊んでいたゼフィーリアはハッと息を呑んだ。

「確かにそうだわ。マールやロイたちが心配……」

 言うやいなやゼフィーリアは窓に近づき、木に止まっていた小鳥を視た。
 小鳥がピョコピョコと首を振り、ゼフィーリアと視線が交差した瞬間、ゼフィーリアの両眼が淡く、青く発光した。
 そしてゼフィーリアの視界が切り替わり、ゼフィーリアは彼女自身を正面から見つめていた。
 つまりいま、ゼフィーリアの視界は小鳥のそれになっているのだ。
 お願い、飛んで。
 ゼフィーリアが念じると、小鳥は翼を羽ばたかせて空へと飛んだ。

「おいゼフィーリア。何やって───」

「ごめん、ちょっと静かにしていて。集中してるの」

「あ、はい」

 ユーゴにぴしゃりと言うと、ゼフィーリアは小鳥をひまわり座へと向かわせた。
 小鳥の視界を占領したゼフィーリアは、上空からひまわり座の楽屋の窓を覗いていく。
 三番目の窓でロイを発見した。彼は落ち着かない様子で室内をぐるぐる歩き回っている。
 なぜ彼がそんなに不安そうにしているのか、ゼフィーリアにはわからない。彼女は、自分がいきなり行方不明になっている自覚がないのだ。
 同じように街中を飛び回り、他の仲間達を探した。
 カイトとクリスの無事は確認できたが、マロンとシェンの姿はどこにも見当たらなかった。
 彼らが無事であることを祈り、ゼフィーリアは小鳥をベッチ閣爵邸へと飛ばした。
 ベッチ邸へと近づくと、ゼフィーリアは異変を感じ取った。
 王国の兵が群れをなし、ベッチ邸を取り囲んでいた。
 ゼフィーリアは能力を解除し、慌ててユーゴへと詰め寄った。

「ユーゴ、お願い。マールを救けてあげて!」
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