ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神

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セイクリッド・マテリアル編

144. マルガレーテ救出

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「仕方ねぇな」

 動物の視界を共有して、ベッチ邸に兵隊が押しかけているのを視たというゼフィーリア。
 彼女のマルガレーテを救けてほしいという要請に、ユーゴは不承不承頷いた。

「てゆーか、ベッチ邸ってどこだよ」

 ゼフィーリアから大まかな位置を聞き出したユーゴは窓から屋上へ登り、ドネル・ガリオーリの館へ潜入した時と同様、地対空ミサイルのようなジャンプで空を翔けた。
 ベッチ閣爵邸の屋根へ静かに着地したユーゴ。こっそり地上を覗くと、大きな門扉を挟んで騒ぎが起きていた。
 門の外側に数十人の兵隊。内側にはユーゴも以前会ったベッチ閣爵がいて、お互い険悪なムードである。

「───だから、マルガレーテ嬢は重要参考人なのです」

「だから娘は関係ないと言っている」

「王国政門最高調査会の指示なのです。従わなければならないのは、閣爵であればご存知でしょう」

「だからこそ、正式な書類を要求しているのだ」

「ええい、埒が明かん。やむを得なければ強硬手段に訴えるよう、指示も出ているのですよ」

 このような押し問答が、聞き耳を立てていたユーゴに聞こえてきた。

「まずいな……」

 どうやらダムは決壊寸前のようで、一刻の猶予もなさそうだ。
 ユーゴは屋根を移動し、ゼフィーリアに教わったマルガレーテの部屋のバルコニーへと降り立った。
 ガラス製のドアを覗き込まないようにノックすると、

「……だ、誰ですの?」

 か細い声で誰何があった。

「俺だ。ユーゴ・タカトーだ。ゼフィーリア・バーグマンの依頼で助けに来た」

 ユーゴが名乗ると、わずかな間の後にドアが開いた。

「ゼフィの……?」

「ああ、そうだ」

 バルコニーに出てきたマルガレーテは、初対面時の明るい印象とは異なり、少し怯えている様子だ。
 まぁ無理もない。生まれてこの方、闘争とは無縁の平穏な暮らしだったのだろう。
 部屋着にしては派手目なワンピースと、彼女の暗い表情が悲壮的なコントラストを作っている。

「どういうことですの?」

「今日、ゼフィーリアが王国の役人に強制連行されそうになった。目的はベレッタ・レーナスをおびき出す為の人質にするためだろう。この調子だと、あんたも同様の目に遭うだろうな」

「そんな……ワタクシ、どうすれば……」

「そこで俺に白羽の矢が立ったわけだ。アンタさえ良ければ、いまからアンタをゼフィーリアのところまで連れていくぞ」

「ゼフィの所へ? ぜひお願いいたしますわ。でも一体どうやって……?」

「こうするんだよ。ちょっと我慢してろ」

「まぁ」

 徐ろにユーゴがマルガレーテを両腕で抱きかかえると、ふわりと上品な薔薇の様な香りがした。
 本日二回目のお姫様抱っこ。レコード更新である。

「そんで、こうする」

「え……きゃっ!?」

 可愛らしい悲鳴など意に介さず、ユーゴはバルコニーの手すりを踏み台にして再び屋根の上へジャンプ。そのまま正面玄関の方角へ歩き出した。
 屋根の縁へ足をかけると、眼下の騒ぎの元へ向かって大声で呼びかける。

「おい手前ぇら! 地べたでチマチマ御苦労なことだが、マルガレーテ・ベッチはこの俺が頂いていくぜ!」

 その声に、地上で一触即発だった者たちが一斉に頭上を見上げる。

「何だキサマはっ!? 待て、そこを動くなよ!」

 年かさの兵士がユーゴに怒鳴って命令した。

「はぁ? 馬鹿か。待てって言われて待つ奴がどこにいるんだよ。いねぇだろ? 少し考えたら分かるだろうが。悔しかったら捕まえてみやがれ。まーでもお前らみたいなへっぽこ兵隊にゃ、千年かかっても無理だろーがな。ぷひゃーはっはっはっはっはごほっごほっげほっ」

 ユーゴの人を食った発言と神経を逆なでする哄笑に、この場にいる全ての者が青筋を立てた。
 マルガレーテの父、ナイネクス・ベッチ以外は。
 あの男は、確か───。
 ナイネクスは、娘を抱えている背の高い男に見覚えがあった。以前、ドネル・ガリオーリを捕縛した際に、ドネルに銃を突きつけた男だ。
 鎧姿ではないが、その声に聞き覚えがある。
 何故、あの男が娘を連れている?
 マルガレーテに嫌がっている様子はない。
 ユーゴは何かを伝えるように、じっとナイネクスの眼を見ている。
 数秒後、視線を外したユーゴは兵隊を再び挑発する。

「あーそっかー。鈍臭いお前たちじゃ、ここまで来ることができねーんだな。悪い悪い。じゃあハンデで、せめて俺の方からそっちに行ってやるよ。頑張って捕まえてみな。───おい、ちょっと目を閉じていろ」

「え? ええ」

 後半はマルガレーテに語りかけ、ユーゴは屋上から空中へと躍り出た。
 どよめく兵士たちをめがけ、降下するユーゴ。
 むぎゅ。
 と、一人の兵士の顔面を踏みつけたユーゴは、重力を月面並みに軽減させ、そのまま飛び石のように兵士たちの顔面を飛び渡っていった。

「その男を捕まえろー!」

「馬鹿にしやがってー!」

 兵士たちの怒号もどこ吹く風のユーゴ。今度は再び大ジャンプで別の邸宅の屋上へ上った。ベッチ邸から離れるように。

「俺はこっちだぞー。ほらほら何やってんだよ。揃いも揃ってノロマだなー」

 そのままユーゴは、わざと姿を見せつけながら建物をぴょんぴょんと移動していく。
 兵たちを引き付けながら、徐々に離れるように。
 門の内側で一人取り残されたナイネクスは考えた。
 どうやらあの男に借りが出来たようだ、と。
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