ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神

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セイクリッド・マテリアル編

146. 青き怪鳥

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「やはり君が原因か、ユーゴ・タカトー。僕と決闘したまえ!」

 指をユーゴに突きつけ、ロイは声を高らかに宣言した。

「ちょ、ちょっとロイ。何を言って……」

 それを見たゼフィーリアはたじろぎながら、ユーゴとロイを交互に見ている。
 だがユーゴは……

「嫌なこった、面倒くせぇ。そもそもなんでお前と決闘しなきゃいけねぇんだよ」

 欠伸をしながら取り合わない。

「それは……君がゼフィにとって悪影響を及ぼす存在だからだ。君が現れてから、ゼフィの様子が可怪しくなってしまった。舞台の稽古は上の空だし、君の噂を劇団員に尋ねて回るし、それに僕のもとから離れて王都に行ってしまうし……挙げ句、こんな下品な格好をして……して……」

 改めてゼフィーリアのメイド姿を見回したロイは、ミニスカートから伸びるすらっとした素脚に目を奪われ、尻切れトンボになってしまった。
 その様子を見たユーゴはロイを鼻で笑い、ソファから立ち上がった。

「悪いが、痴情のもつれに巻き込まれるのはゴメンだな」

「逃げるのか!? ユーゴ・タカトー!!」

「はいはい、逃げますよー」

「勇悟、ちょっと待ってよ!」

 ゼフィーリアの制止に構わず、ユーゴは手をひらひらさせて ”めいでぃっしゅ二号店” を退出した。
 焼き餅を焼く男に、まともに付き合う義理はユーゴにはないのだ。
 店を出たユーゴはちょうどよいと思い、王都の図書館で未読の文献がないか調べることにして歩き始めた。
 その途中、角を曲がった所で、ユーゴは人だかりが出来ているのを発見した。
 騒然とした雰囲気を感じたユーゴは、野次馬根性を珍しく発揮した。
 その原因は先程の一件にある。
 軽くあしらったとはいえ、売られた喧嘩を買えなかったことがやはりストレスとなっていたのだ。
 ある程度実力を持ち合わせていた陽元国の乙賀尚勝とは違い、ろくに戦闘訓練を受けていなさそうなロイが相手では、取り返しの付かない損傷を与えかねなかったのだから仕方ないといえば仕方ない。
 だから面白そうな物を見て、そのストレスを発散させたかったのかもしれない。
 人の輪の中心では、一人の旅装束の男が悲痛な表情で何事かを喚いている。
 それを町民が遠巻きに聞いているようだ。

「早くっ! 早く、誰か助けてやってくれ!」

 よく視ると、男の服は至るところが汚れており、頬や手にも小さな傷が見られる。
 ユーゴは、隣に立って同じように中心の男を視ている女性に尋ねることにした。

「なぁ。あのオッサンは何をあんなに騒いでるんだ?」

「え? ああ。あの人は商隊キャラバンの一人みたいなんだけど、この街の近くまで来たときに怪物に襲われたみたいよ。それであの男は命からがら逃げ出して、残してきた仲間たちを救出してくれる人を募っているらしいよ」

「へぇ……」

 それは災難なことだと他人事のように聞いていたユーゴだが、男の次の発言に眉根を寄せることになる。

「め、女神様を救けてくれ!」

 ……女神? 
 気になったユーゴは、男に声をかけることにした。

「おいアンタ。女神っていったい何の事だ?」

「女神様は、俺たちの依頼人だ。派手な格好の陽気な女で、俺たち最初は胡散臭く思ってたんだが、金払いが良いから依頼を受けたんだ。その人の目的の場所まで連れて行くっていう依頼だ。道中、その人は俺たちを元気づけてくれたり、悩みを聞いたりしてくれた、女神様みたいな人なんだよ。あんな良い人を、俺はバケモノの元に残して来ちまった……」

 涙ながらに語る男の胸ぐらを掴んで、ユーゴは尋ねる。

「その場所はどこだ?」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 男から場所を聞き出したユーゴは、物陰で【幽世の渡航者ワンダフルダイバー】を発動した。
 目的の場所はグラーニャと王都をつなぐ街道の近く。
 ユーゴは王都を初めて訪れた際、そこを通行している。つまり、空間移動の目的地に設定が可能だということだ。
 白く輝くゲートを潜ったユーゴは、出口から少し離れた石橋の上に複数の馬車と、入り乱れてもみ合いをしている男たちを見つけた。
 そして、彼らの頭上にが浮いていた。
 両腕両脚、頭以外の体幹のフォルムは人間の女性であるが、そこから映えるのは猛禽の頭、翼、脚。そしてその全身は青い羽根で覆われている。なおかつ体長は、成人男性の二倍はある。
 男が言っていたバケモノとは、ほぼ間違いなくこいつのことだろう。
 しかし何か、様子が可怪しい。
 怪物に襲われているという説だったが、商隊の者たちは同士討ちのようにお互いを傷つけあっていて、件の怪物は上空に羽ばたきながら、男たちを悠然と見下ろしているだけだ。

「ん? あいつは確か……」

 その中で、ユーゴは見知った顔を見つけた。
 以前、闘技場の準決勝戦でユーゴと対戦した禿頭の巨漢、戦斧王カルロだ。
 様子を探っているばかりでは埒が明かない。
 詳しい話を聞き出そうとユーゴはカルロの元へ近づいた。だが───。

「おい、俺だ。ユーゴ・タカトーだ。一体何が起きて……って、うわっ!?」

 声をかけたユーゴに、しかしカルロは問答無用で斧を振るった。

「何すんだよ、危ねぇな」

 難なく避けたユーゴの問いに対し、カルロは答えの代わりに再び斧を繰り出した。
 しかしその動きは酷く鈍く、顔つきも虚ろなものだった。

「これは、まさか……」

 その表情は、催眠などのトランス状態にある者のそれにそっくりだった。
 ユーゴは目を覚まさせるため、カルロの頬を思い切り平手で叩いた。
 
「ぐっ……。んぁ? 俺は……」

「気づいたか?」

「貴様は……ユーゴ・タカトーか?」

 ぽかんと口を開けたカルロに、ユーゴは改めて尋ねる。

「ああ、そうだ。お前たちが怪物に襲われてるって話を聞いて、ちょっと気になることが出来たから様子を見に来た。で、何があった? この有様は何だ?」

「それは……」

 カルロが語る所によると彼は商隊の護衛として同行していたという。その帰路、この石橋の上で鳥のような怪物と遭遇。
 商隊の一人が恐怖に駆られて矢を射たところ、怪物はそれを避けたものの、嘴から奇っ怪な鳴き声を上げた。
 それを聞いた者たちは、カルロを含めて皆、意識は有るが体が言うことを聞かず、操られたように同士討ちを始めたらしい。

「ということは、あの鳥みたいなバケモノをなんとかするしかねぇってことか」

 いまだ虚ろな状態の商隊員の攻撃を躱しつつ、ユーゴは予想を口にした。
 だがこの時、ユーゴは悩んでいた。
 この者たちの災難は、自分には本来無関係である。このまま見捨てることも出来る。
 困っている知人とはいえわざわざ助けるほどの間柄ではないし、そこまでの義侠心も持ち合わせていない。
 目的の者がいないことを確認次第、さっさと退散しよう。無用なトラブルには関わらないに限る。
 そう思ったユーゴに、残念ながらトラブルに関わらざるを得ない羽目にする声がかけられる。

「あー! ユーくんじゃーん!」

 場違いなほど明るい声で己の名を呼ばれたユーゴは、げんなりとした顔でその人物を見た。

「やっぱりお前か、ユーラ」
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