タカシの異世界無双計画 ~銃と仲間と異世界と~

マイきぃ

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第2章 依頼をこなそう

第17話 答え合わせ

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 今、はっきりと思い出した。本当の炊き方を。

《始めチョロチョロ中パッパ、ジュウジュウ吹いたら火を引いて、赤子泣くとも蓋とるな。 最後にワラを一握りパッと燃え立ちゃ出来上がり》

 ──火を弱めなければ焦げるのは当たり前だ! これじゃあ、出来たことには……。

 無常にも、ソエルは釜の中を覗く。

「とてもよい感じでーす。おこげも沢山あって、いい香りでーす。勇者の作った飯よりおいしそうでーす」

 ソエルは失敗作である飯を絶賛していた。

 ──いったい何故……まさか、勇者もこの炊き方を……!
 
 言葉の省略された飯の炊き方を、勇者は疑いもなく実践してソエルに伝えていたのか。これを放置したら、焦げ付き飯が本当の飯になってしまう! 後でまともな炊き方で炊いた飯を食べさせてやろうと、俺は思った。

 とりあえず、難題はほぼこなした。ソエルに成果を聞くことにした。

「どうだソエル、これでいいだろ、難題は解いたぞ」

 ソエルの表情は一変して、真剣な表情に変わる。

「本当に、これが答えで、よろしいですか?」

 ソエルは、鋭い眼光で俺を見る。

「これでいいよ」

「間違えたら、問題の記憶を消しますよ」

 さらにソエルの眼光が鋭くなる。

 …………。

「まだ、取り消せますよ、良く考えてください」

 その威圧的な視線は、俺を圧倒する。

「なんだこのプレッシャーは……」

 俺は、まだやり残したことはないか、質問の答えを間違えてないか、何か勘違いをしていないか、色々考え始めた。

 一瞬、自分の答えへの信頼が揺らぎ、呼吸が乱れた。

 ソエルが何も知らなそうな態度を見せたのは、実は罠だったんじゃ、風呂の問題は、実はひっかけ問題で、全く別の物を指していたのではないか、そんな疑念が俺の心を支配する。

 ふと、精神的に追い込まれている自分に気付いた。俺は一度深呼吸をし、呼吸を整えた。

 ──自信を持て! 迷うことはない! 俺には最終手段の『仲間銃』がある!

「ソエル、いつまで引き延ばすつもりだ! 答えはそれでいいと言ったはずだ」

「いいでしょう、では結果を言います」

 ソエルは沈黙し、残念そうな顔をする。

 そして、残念な物を見る目で、俺を見ている。

 …………。

 俺は、その緊張感に耐えられず、仲間銃に手をかけた。

 …………。

 だがソエルは、そのタイミングで、拍手と歓声をあげた。

「全て正解です! おめでとうございます!」

 その一言は、俺の張りつめた緊張の糸を解きほぐした。

「よっしゃ! 難題クリアだ!」

 喜びのあまり、俺はガッツポーズをしていた。

「タカシ様、おめでとうございます!」

 ソエルのすぐ後ろから、メイデンがゆっくりと姿を見せ、称賛の声を上げた。ソエルに見つからないように、メイデンを後方待機させておいたのだが、難題をクリアした時点で、非常時の作戦は終了だ。これでメイデンもファリスも余計な緊張をせずに済むだろう。

「じゃあ、ソエル、薬の『アンテイル』を作ってもらうぞ」

「わーかりましたー。約束は守りまーす」

 これで作成依頼は達成だ。安心したら、なんだか腹がへってきた。

「メイデン、ファリスを呼んできてくれ。風呂にいるはずだ」

「わかりました、タカシ様」

 メイデンは、すぐにファリスを呼びに向かう。

 俺は、みんなにおにぎりでも作ってやることにした。とりあえず、塩が欲しい、ソエルに確認する。

「ソエル、塩はある?」

「しお……と、いいましたか?」

 ソエルは、棚にある竹筒を取り出した。

「これの、ことでーすか?」

 ソエルの持っていた竹筒は、《塩》という文字が刻まれていた。普通に塩があったようだ。これで塩むすびが作れる。

 俺は慣れた手つきで塩むすびを握った。よく、親に作らされたので、形は万全の三角おにぎりだ。

「よし、出来たぞ!」

 出来たおにぎりを、彼女たちに振る舞った。

「タカシ様、おいしいです」

「初めて食べたっス。なんか力が湧いてくるっスね」

「すてきな味でーす」

 彼女達はおいしそうにおにぎりを食べてくれた。これなら作ったかいがあるというものだ。

 腹もいっぱいになった。せっかく五右衛門風呂を沸かしたのだから、入らない手はない。

「じゃあ俺、先に風呂に入ってくるよ」

「風呂ですか、タカシ様? いってらっしゃいませ」

 俺は、おいしそうにおにぎりを食べている彼女たちを放置して、五右衛門風呂のある風呂場に向かった。
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