14 / 361
第1章 異世界リゾートへの転生
第12話 海辺でトリンを拾う
しおりを挟む
「おい、水だぞ」
そう言って、男の上半身を片手で抱え起こし、少しずつ水を飲ませる。
褐色のトーガのようなダボダボの服を来て、頭もすっぽりとフードで覆っている。
見た目は痩せてガラガラで、男にしては随分軽いし、まだ子供なのか。
そいつはゴクゴクと喉を鳴らしながら美味そうに水を飲んだ。
やはり漂着した遭難者なのか?
暫くして水を飲み干すと、肩で息をしながらも今度は食料を要求した。
「た、たべもの…、ほしい…、おねがい」
「そう言われてもなぁ、オレたちも食料持ってないし」
嗄れた声を絞り出すように懇願は続く。
「おれいする、なんでもきく…
たべもの、ください…、たすけて…」
「何でもするって言っても、ホントに何も持ってないんだよ」
ちょっと海辺にドライブに来ただけなのに、なんか変なの拾ってしまったなぁ。
そう思いながらも、オレの『正義感』は、この状況を放っておけないと言っていた。
うん、このまま放置できないし、助けるのが『人情』というものだ。
オレは遭難者を抱きかかえ、アウリープ号に運んでトランクルームに寝かせた。
館までは車で20分くらいだし、ゆっくり走れば問題ないか。
本当は、もう少し海でゆっくりして夕陽を見たかったんだが、そうも行かなくなった。
オレはゆっくり走って館へ戻り、ソニアが持ってきたストレッチャーに遭難者を乗せ、救急搬送さながらにダイニングへ運んだ。
ダイニングに到着するとソニアが厨房から賄い飯の残りを持ってきてくれた。
「今はこんなものしか無いけど、召し上がれ」
そう言って遭難者を椅子に座らせ、賄い飯をテーブルに置く。
「た、たべものだぁ!」
そう言うと出された賄い飯を、腹ペコの犬のようにガツガツと食べ始めた。
「おい、そんなに詰め込んだら喉を詰まらすぞ、ゆっくり食え」
そう言っても聞かず、出された飯をあっという間に平らげ、お代わりを要求した。
そして、それも食べ終えると今度は。
「み、水がほしい…」
そう言ってソニアが持ってきたピッチャーの水を腹がタプタプ音がするほど飲んだ。
「ふ~っ、まんぷくだ~!」
男はようやく落ち着きを取り戻したようだ。
そしてオレと目が合うと、床に跪いて、嗄れ声でこう言った。
「わたしは、東の大陸から来たトリンといいます。
旅の途中、嵐で船が転覆し、この海岸に流れ着きました。
私を助けていただき、ありがとうございます」
そう言って男は頭を下げた。
「オレはこの館の主、ハヤミ・カイト。
困っている時はお互い様だ。
少しは落ち着いただろうから、風呂でも入って汚れを落として、今夜は客間でゆっくり休むといいよ」
オレは専属メイドたちに客間の準備を指示し、ソニアに客人を大浴場へ案内させた。
今日オレたちが、あの海岸に行ったのは全くの偶然だ。
もし別の場所に行ってたら、彼は一体どうなっていたのだろう。
恐らく力尽きて、海鳥や小動物の餌食になっていたのでは無いか。
そう考えると何か運命的なものを感じる。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翌日の朝食後、オレが自室のリビングでコーヒーを飲んでいるとソニアが入ってきた。
「ご主人さま、失礼致します」
専属メイドの他に、見慣れないメイドが一人いた。
真っ白な肌で、目の色は黒、かなりの細身だが、他のメイドたちにも負けないくらいの美少女だ。
「誰?、新しいメイド?」
「いいえ、この方はトリン様でございます」
「えっ?、トリン様って誰だっけ?」
「昨日、ご主人さまが私たちと一緒に砂浜で救助した方でございます」
「えぇ~!」
オレは飛び上がるほど驚いた。
なんだ、そうか女性だったのか。
かなり細くて軽くて痩せているとは思ったが、まさか女だったとは!
「トリン様に合う服を見つけられませんでしたので、とりあえずメイド服を着ていただきました」
ソニアは、そう言うとトリンに合図した。
その合図の意味を理解し、トリンは一歩前に出てこう言った。
「カイト様、私のような者の命をお救い下さいまして、誠にありがとうございます」
トリンはオレの前にひれ伏し謝意を示した。
「君が昨日の遭難者だったとは思いもしなかったよ。まあ、そこに座って話そうか…」
オレはそう言ってトリンに対面のソファを勧めた。
「本当に大変な目にあったね。
体調はどうなの?」
「はい、一晩ぐっすり寝たら、だいぶ回復しました」
「そうか、それは良かった。
体調が戻るまで、暫くはこの館に滞在するといいよ。
それにしても、あんな格好してるから男だと思っていたが、こんなにキレイな女性だとは思わなかったなぁ」
海岸で助けた時、彼女は確かに男装だった。
トリンは『キレイな女性』という言葉に反応し、照れながらこう言った。
「あれは、女が一人で旅をしていると良からぬ輩に目をつけられてしまいトラブルの元ですから、敢えて男装をしていたのです」
「なるほど、そう言うことだったのか。
しかし、若い女性が一人旅とは…
いったい、どこへ行くつもりだったの?」
「はい、仕官先を探していたのです」
「仕官先?」
「私は、リルトランデ王国の筆頭宮廷錬金術師メルキューラ様の弟子として6歳から仕えておりました。
しかし、兄弟子の卑劣な罠に嵌められて、メルキューラ様のお怒りを買ってしまい、破門となりました。
破門された私には最早リルトランデ王国に居場所はなく、新たな仕官先を探すため逃げるようにして旅に出たのです」
「そうか、まだ若いのに大変な目にあったね。
宮廷錬金術師に破門されて、それで仕官先を探して一人旅か…
それなのに嵐にあって遭難するなんて、つくづく不運だねぇ、同情するよ」
そこまで言ってオレは思った。
あれ『錬金術師』って言うキーワード、最近どこかで聞いたぞ!
そう言って、男の上半身を片手で抱え起こし、少しずつ水を飲ませる。
褐色のトーガのようなダボダボの服を来て、頭もすっぽりとフードで覆っている。
見た目は痩せてガラガラで、男にしては随分軽いし、まだ子供なのか。
そいつはゴクゴクと喉を鳴らしながら美味そうに水を飲んだ。
やはり漂着した遭難者なのか?
暫くして水を飲み干すと、肩で息をしながらも今度は食料を要求した。
「た、たべもの…、ほしい…、おねがい」
「そう言われてもなぁ、オレたちも食料持ってないし」
嗄れた声を絞り出すように懇願は続く。
「おれいする、なんでもきく…
たべもの、ください…、たすけて…」
「何でもするって言っても、ホントに何も持ってないんだよ」
ちょっと海辺にドライブに来ただけなのに、なんか変なの拾ってしまったなぁ。
そう思いながらも、オレの『正義感』は、この状況を放っておけないと言っていた。
うん、このまま放置できないし、助けるのが『人情』というものだ。
オレは遭難者を抱きかかえ、アウリープ号に運んでトランクルームに寝かせた。
館までは車で20分くらいだし、ゆっくり走れば問題ないか。
本当は、もう少し海でゆっくりして夕陽を見たかったんだが、そうも行かなくなった。
オレはゆっくり走って館へ戻り、ソニアが持ってきたストレッチャーに遭難者を乗せ、救急搬送さながらにダイニングへ運んだ。
ダイニングに到着するとソニアが厨房から賄い飯の残りを持ってきてくれた。
「今はこんなものしか無いけど、召し上がれ」
そう言って遭難者を椅子に座らせ、賄い飯をテーブルに置く。
「た、たべものだぁ!」
そう言うと出された賄い飯を、腹ペコの犬のようにガツガツと食べ始めた。
「おい、そんなに詰め込んだら喉を詰まらすぞ、ゆっくり食え」
そう言っても聞かず、出された飯をあっという間に平らげ、お代わりを要求した。
そして、それも食べ終えると今度は。
「み、水がほしい…」
そう言ってソニアが持ってきたピッチャーの水を腹がタプタプ音がするほど飲んだ。
「ふ~っ、まんぷくだ~!」
男はようやく落ち着きを取り戻したようだ。
そしてオレと目が合うと、床に跪いて、嗄れ声でこう言った。
「わたしは、東の大陸から来たトリンといいます。
旅の途中、嵐で船が転覆し、この海岸に流れ着きました。
私を助けていただき、ありがとうございます」
そう言って男は頭を下げた。
「オレはこの館の主、ハヤミ・カイト。
困っている時はお互い様だ。
少しは落ち着いただろうから、風呂でも入って汚れを落として、今夜は客間でゆっくり休むといいよ」
オレは専属メイドたちに客間の準備を指示し、ソニアに客人を大浴場へ案内させた。
今日オレたちが、あの海岸に行ったのは全くの偶然だ。
もし別の場所に行ってたら、彼は一体どうなっていたのだろう。
恐らく力尽きて、海鳥や小動物の餌食になっていたのでは無いか。
そう考えると何か運命的なものを感じる。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翌日の朝食後、オレが自室のリビングでコーヒーを飲んでいるとソニアが入ってきた。
「ご主人さま、失礼致します」
専属メイドの他に、見慣れないメイドが一人いた。
真っ白な肌で、目の色は黒、かなりの細身だが、他のメイドたちにも負けないくらいの美少女だ。
「誰?、新しいメイド?」
「いいえ、この方はトリン様でございます」
「えっ?、トリン様って誰だっけ?」
「昨日、ご主人さまが私たちと一緒に砂浜で救助した方でございます」
「えぇ~!」
オレは飛び上がるほど驚いた。
なんだ、そうか女性だったのか。
かなり細くて軽くて痩せているとは思ったが、まさか女だったとは!
「トリン様に合う服を見つけられませんでしたので、とりあえずメイド服を着ていただきました」
ソニアは、そう言うとトリンに合図した。
その合図の意味を理解し、トリンは一歩前に出てこう言った。
「カイト様、私のような者の命をお救い下さいまして、誠にありがとうございます」
トリンはオレの前にひれ伏し謝意を示した。
「君が昨日の遭難者だったとは思いもしなかったよ。まあ、そこに座って話そうか…」
オレはそう言ってトリンに対面のソファを勧めた。
「本当に大変な目にあったね。
体調はどうなの?」
「はい、一晩ぐっすり寝たら、だいぶ回復しました」
「そうか、それは良かった。
体調が戻るまで、暫くはこの館に滞在するといいよ。
それにしても、あんな格好してるから男だと思っていたが、こんなにキレイな女性だとは思わなかったなぁ」
海岸で助けた時、彼女は確かに男装だった。
トリンは『キレイな女性』という言葉に反応し、照れながらこう言った。
「あれは、女が一人で旅をしていると良からぬ輩に目をつけられてしまいトラブルの元ですから、敢えて男装をしていたのです」
「なるほど、そう言うことだったのか。
しかし、若い女性が一人旅とは…
いったい、どこへ行くつもりだったの?」
「はい、仕官先を探していたのです」
「仕官先?」
「私は、リルトランデ王国の筆頭宮廷錬金術師メルキューラ様の弟子として6歳から仕えておりました。
しかし、兄弟子の卑劣な罠に嵌められて、メルキューラ様のお怒りを買ってしまい、破門となりました。
破門された私には最早リルトランデ王国に居場所はなく、新たな仕官先を探すため逃げるようにして旅に出たのです」
「そうか、まだ若いのに大変な目にあったね。
宮廷錬金術師に破門されて、それで仕官先を探して一人旅か…
それなのに嵐にあって遭難するなんて、つくづく不運だねぇ、同情するよ」
そこまで言ってオレは思った。
あれ『錬金術師』って言うキーワード、最近どこかで聞いたぞ!
25
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる