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第6章 リゾートの開業準備
第68話 国王暗殺事件の顛末
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次の日、カフェ・バレンシアにアイスクリーム製造装置一式が搬入された。
ボタン操作一つでアイスクリームを自動的に作るアイスクリームメーカー、作ったアイスクリームを保冷するジェラートショーケース、原材料保管用の冷蔵庫、それらに電力を供給する水素発電機の4点である。
ちなみにアイスクリームは英語、ジェラートはイタリア語で、意味は両方とも『凍ったお菓子』である。
早速、バニラアイスを作ってみる。
原材料は牛乳、生クリーム、グラニュー糖、塩、バニラエッセンスの5つ。
牛乳以外は異世界ネット通販『パラワショップ』で調達したものだ。
マニュアルを参考にバニラアイスの原液を作り、アイスクリームフリーザーに入れる。
液晶画面の表示の中からボタン操作で『バニラアイス』を選択し、スイッチを押すだけで原液が撹拌され、冷やされてバニラアイスが出来上がるのだ。
出来上がったバニラアイスを掬《すく》って専用のステンレス容器に入れた。
それをジェラートショーケースに並べれば販売できると言う訳だ。
ジェラートショーケースは見映えを考えて、入口正面の目立つ場所に設置した。
12種類のカラフルなアイスを並べ、LED照明でライトアップすれば、きっと『映える』こと間違いなしだ。
出来上がったばかりのバニラアイスをディッシャーで掬ってガラスの器に盛り、試食してみる。
「え、何これ、美味しい~。
冷たくて甘くて、こんなの初めて~」
アスナの反応は上々だ。
対してサクラの反応はこうだ。
「うん、普通に美味しいです。
日本で食べたのと同じですね」
オレも試食してみたが、サクラの言う通り、普通に美味しいバニラアイスだ。
生クリームやグラニュー糖の量を調整すれば、もう少し濃厚にしたり、あっさりさせたり、甘さも調整できる。
アスナに色々試してもらい、王都民が好みそうなアイスクリームに仕上げてもらうことにした。
バニラアイスの次は、イチゴや桃、オレンジなど果汁を加えたアイスを作って、12種類のバリエーションを完成させれば、カラフルで見映えもするので、流行ること間違いなしだ。
当面は店内の提供のみとし、ガラスの器に盛ってスプーンで食べて貰うことにした。
テイクアウトを可能にするには、紙のカップと木ベラを用意しなければならないからだ。
「ミントの葉や果物をトッピングしたら、彩りもキレイだし、単価アップも期待できますよ」
サクラは女性ならではの視点で、アスナにアドバイスした。
「それは良いアイデアね。
アイスのトッピング、色々研究してみるわ」とアスナは張り切っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その日の午後、飛行船にサクラとメイドたちを乗せ、バレンシア家の中庭から、王室の庭園中央広場まで飛んだ。
飛行船が着陸するのを見たジェスティーナが、オレたちを待っていた。
「カイト様、お帰りなさい」と爽やかな笑顔で迎えてくれた。
「ジェスティーナ、出迎えありがとう。
新しく秘書になったサクラを紹介するよ」
「王女殿下、お初にお目にかかります。
この度、カイト様の専属秘書となりました、サオトメ・サクラと申します」
サクラはジェスティーナに丁寧に挨拶した。
「ジェスティーナです。
こちらこそ宜しくお願いします。
カイト様の秘書になるなんて、きっと優秀な方なんでしょうね」
「そうだ、ジェスティーナにおみやげ持ってきたよ」
オレは、飛行船のギャレーにある冷凍庫から、先ほど作ったばかりのバニラアイスを取り出して見せた。
「これ、何ですか?」とジェスティーナが聞いた。
「アイスクリームと言う冷たいお菓子だよ」
「あいすくりいむ?」
ジェスティーナは可愛く小首を傾げた。
そもそも、この国には冷蔵庫が無い。
食品の保管は乾燥させて水分を抜き、干物にするか、燻製にするしか無いのだ。
ましてや年中温暖な王都では、雪が降ることも無いから『冷たいお菓子』など、想像も付かないのである。
そのまま王室ダイニングへ行き、たまたま居合わせた王妃と2人の王女にもアイスクリームを試食してもらった。
国王は政務で、王子は勉学に忙しく不在であったが、女性たち4人にバニラアイスは大好評だった。
「カイトさま、こんな美味しいお菓子食べたことありませんわ」
「口の中で溶けていく上品な甘さが堪りません」
「この冷たいお菓子、どのように作るんですの、わたくし毎日でも食べたいわ」
などと言って感激しきりであった。
「これはアイスクリームと言うカフェ・バレンシアの新商品です」
そう言うと、王女たちは侍女に買って来て貰わなきゃ、と目を輝かせた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
オレが宮殿内に与えられた客間に戻ると、国王陛下がお呼びですと侍従が知らせて来た。
案内されて行ってみると、そこは謁見の間の隣りにある賓客用の応接室であった。
部屋に入ると、国王の他、王弟のアルテオン公爵と軍務大臣のリーン伯爵の3人が待っており、重苦しい空気が漂っていた。
国王は、いつもの温和な表情からは程遠く、眉間に皺を寄せ、深刻な顔でオレを手招きした。
「カイト殿、王都に戻った早々、呼びだてて申し訳ない」
重い空気の中、アルテオン公爵が口火を切った。
「これから話すことは国家機密なので他言無用に願う」
軍務大臣がオレの目を見ながらシリアスな顔で言った。
「例の暗殺未遂事件だが、関与した者を捕らえ、事件の真相がおおよそ判明したのじゃ。
カイト殿も関係者の一人として知る権利はあると思ってのう」
そう言うと国王は軍務大臣に目配せして説明させた。
国王暗殺未遂事件の真相は、次のようなものだった。
親衛隊長のリドル・ポラーレスと憲兵隊が、侍従長のエスカル・テロンを拘束し、ありとあらゆる手段で厳しく取調べた。
その結果、意図せず自らが暗殺者を手引してしまったと自白したのだ。
侍従として3名の暗殺者を採用した理由は、リリアナの強い推挙に抗えなかったからだ言う。
後宮の関係者が、王宮内の人事や採用に口を挟むことは固く禁じられており、エスカル・テロンとリリアナは、その禁を破ったことになる。
リリアナの話を鵜呑みにして、何故他所者を侍従として採用したのかエスカル・テロンを厳しく追求した。
頑なに口を割ろうとしないエスカル・テロンだったが、更に厳しい取り調べ(恐らく拷問?)の末、リリアナから執拗に性的関係を強要され、その誘惑に負けて不義密通を行ったことを自白した。
結果的にリリアナの言いなりにならざるを得ない状況となり、言われるがままリリアナの推挙した男たちを侍従として採用し、それが国王の刺客であったのだ。
エスカル・テロンは、自分が採用した侍従が刺客だとは知らなかったと言っているが、恐らくそれは事実なのだろう。
しかし、如何に強要されたとは言え、国王の側妃と不義密通に耽り、結果的に暗殺者を宮殿内に招き入れたことは、許されざることだ。
もう一人の容疑者である国王の側妃リリアナの尋問が軍務大臣のリーン伯爵と親衛隊長のリドル・ポラーレスの手により秘密裏に行われた。
エスカル・テロンが全て自白したことを告げるとリリアナは抗弁を諦め、涙ながらに事の経緯を話し始めた。
リリアナによると国元の両親が人質として捕縛されていると言う。
その解放の条件は、侍従長を懐柔し、デルファイ公国から送り込まれた3人の男を王宮の侍従として採用させることだった。
縁もゆかりもない3人の男を王宮の侍従として採用させるのは難しいと思ったリリアナは、禁断の色仕掛けで侍従長を誘惑し、性的関係を結び、自分の言うことを聞くように仕向けたのだ。
34歳の女盛りで、一時期は国王陛下の寵愛を一身に受けていた美貌の持ち主であるリリアナにとって、侍従長を誘惑し自分の虜にすることは容易いことだった。
リリアナは、3人の侍従が国王暗殺のために送り込まれた刺客だとは思いもしなかったと言う。
両親を人質に取られ、やむを得ず行ったこととしても、不義密通は国王に対する重大な背信行為であり、厳罰は免れないだろう。
リリアナに、誰からの指し金か糺すと、王宮に出入りする行商人から渡された密書により指示されたことを自白した。
その行商人は、元々リリアナの生家との連絡役も担っており、月に1~2回、リリアナの後宮へ出入りし、宝石類や衣服、菓子などを売りに来ていたという。
先週その行商人が現れた際に密偵を付け、デルファイ公国の何処に行くのか探らせているが、まだ連絡はないそうだ。
これまでの話を総合すると国王暗殺を企てたのは、デルファイ公国の中枢の誰かであろう事は火を見るよりも明らかだ。
その事実を語る国王の声は悲痛であった。
今回の国王暗殺未遂事件は、王国の根幹を揺るがす重大事件である。
他国の刺客が王国の中枢にまで入り込み、何らチェックも受けずに侍従として採用され、国王を始め王室、重臣たちが出席する晩餐会に容易に潜入したのだ。
当然の如く、王宮では管理体制の見直しが指示され、役職者を始め全員の身辺調査が密かに指示されたことは言うまでもない。
更に人事採用に関するチェック体制の構築も指示したと国王は教えてくれた。
恐らく、ジェスティーナ王女襲撃事件も侍従長のエスカル・テロンから漏れた情報が側妃のリリアナを経由してデルファイ公国へ漏洩したことが原因だろう。
エスカル・テロンは侍従長の職を解かれ、国王暗殺に関わった罪人として公示され、代わりの侍従長に副侍従長のアレク・シオンを昇格させる人事が発表された。
エスカル・テロンは2つの重罪により死刑は免れないであろう。
側妃のリリアナは、後宮で蟄居謹慎中だ。
本来であれば死刑に値する重罪なのだが、子らが幼いことから国王の温情で無期懲役刑に減刑することとなり、身分は剥奪され、子らと共に近い内に遠方の王室直轄領へ送られ、塀に囲まれた座敷牢のような場所で生涯を過ごすであろうと国王が説明してくれた。
今の状況ではデルファイ公国の尻尾を掴んだ状況に過ぎないが、誰が黒幕なのか明確となった段階で、キッチリと落とし前を付けると国王は激怒していた。
また背後には、北方諸国の影が見え隠れしており、状況次第では戦争になるだろうと話した。
そこまでは険しかった国王の表情だが、オレの顔を見て急に笑顔になり、こう言った。
「カイト殿、王女を嫁にせんか?」
ボタン操作一つでアイスクリームを自動的に作るアイスクリームメーカー、作ったアイスクリームを保冷するジェラートショーケース、原材料保管用の冷蔵庫、それらに電力を供給する水素発電機の4点である。
ちなみにアイスクリームは英語、ジェラートはイタリア語で、意味は両方とも『凍ったお菓子』である。
早速、バニラアイスを作ってみる。
原材料は牛乳、生クリーム、グラニュー糖、塩、バニラエッセンスの5つ。
牛乳以外は異世界ネット通販『パラワショップ』で調達したものだ。
マニュアルを参考にバニラアイスの原液を作り、アイスクリームフリーザーに入れる。
液晶画面の表示の中からボタン操作で『バニラアイス』を選択し、スイッチを押すだけで原液が撹拌され、冷やされてバニラアイスが出来上がるのだ。
出来上がったバニラアイスを掬《すく》って専用のステンレス容器に入れた。
それをジェラートショーケースに並べれば販売できると言う訳だ。
ジェラートショーケースは見映えを考えて、入口正面の目立つ場所に設置した。
12種類のカラフルなアイスを並べ、LED照明でライトアップすれば、きっと『映える』こと間違いなしだ。
出来上がったばかりのバニラアイスをディッシャーで掬ってガラスの器に盛り、試食してみる。
「え、何これ、美味しい~。
冷たくて甘くて、こんなの初めて~」
アスナの反応は上々だ。
対してサクラの反応はこうだ。
「うん、普通に美味しいです。
日本で食べたのと同じですね」
オレも試食してみたが、サクラの言う通り、普通に美味しいバニラアイスだ。
生クリームやグラニュー糖の量を調整すれば、もう少し濃厚にしたり、あっさりさせたり、甘さも調整できる。
アスナに色々試してもらい、王都民が好みそうなアイスクリームに仕上げてもらうことにした。
バニラアイスの次は、イチゴや桃、オレンジなど果汁を加えたアイスを作って、12種類のバリエーションを完成させれば、カラフルで見映えもするので、流行ること間違いなしだ。
当面は店内の提供のみとし、ガラスの器に盛ってスプーンで食べて貰うことにした。
テイクアウトを可能にするには、紙のカップと木ベラを用意しなければならないからだ。
「ミントの葉や果物をトッピングしたら、彩りもキレイだし、単価アップも期待できますよ」
サクラは女性ならではの視点で、アスナにアドバイスした。
「それは良いアイデアね。
アイスのトッピング、色々研究してみるわ」とアスナは張り切っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その日の午後、飛行船にサクラとメイドたちを乗せ、バレンシア家の中庭から、王室の庭園中央広場まで飛んだ。
飛行船が着陸するのを見たジェスティーナが、オレたちを待っていた。
「カイト様、お帰りなさい」と爽やかな笑顔で迎えてくれた。
「ジェスティーナ、出迎えありがとう。
新しく秘書になったサクラを紹介するよ」
「王女殿下、お初にお目にかかります。
この度、カイト様の専属秘書となりました、サオトメ・サクラと申します」
サクラはジェスティーナに丁寧に挨拶した。
「ジェスティーナです。
こちらこそ宜しくお願いします。
カイト様の秘書になるなんて、きっと優秀な方なんでしょうね」
「そうだ、ジェスティーナにおみやげ持ってきたよ」
オレは、飛行船のギャレーにある冷凍庫から、先ほど作ったばかりのバニラアイスを取り出して見せた。
「これ、何ですか?」とジェスティーナが聞いた。
「アイスクリームと言う冷たいお菓子だよ」
「あいすくりいむ?」
ジェスティーナは可愛く小首を傾げた。
そもそも、この国には冷蔵庫が無い。
食品の保管は乾燥させて水分を抜き、干物にするか、燻製にするしか無いのだ。
ましてや年中温暖な王都では、雪が降ることも無いから『冷たいお菓子』など、想像も付かないのである。
そのまま王室ダイニングへ行き、たまたま居合わせた王妃と2人の王女にもアイスクリームを試食してもらった。
国王は政務で、王子は勉学に忙しく不在であったが、女性たち4人にバニラアイスは大好評だった。
「カイトさま、こんな美味しいお菓子食べたことありませんわ」
「口の中で溶けていく上品な甘さが堪りません」
「この冷たいお菓子、どのように作るんですの、わたくし毎日でも食べたいわ」
などと言って感激しきりであった。
「これはアイスクリームと言うカフェ・バレンシアの新商品です」
そう言うと、王女たちは侍女に買って来て貰わなきゃ、と目を輝かせた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
オレが宮殿内に与えられた客間に戻ると、国王陛下がお呼びですと侍従が知らせて来た。
案内されて行ってみると、そこは謁見の間の隣りにある賓客用の応接室であった。
部屋に入ると、国王の他、王弟のアルテオン公爵と軍務大臣のリーン伯爵の3人が待っており、重苦しい空気が漂っていた。
国王は、いつもの温和な表情からは程遠く、眉間に皺を寄せ、深刻な顔でオレを手招きした。
「カイト殿、王都に戻った早々、呼びだてて申し訳ない」
重い空気の中、アルテオン公爵が口火を切った。
「これから話すことは国家機密なので他言無用に願う」
軍務大臣がオレの目を見ながらシリアスな顔で言った。
「例の暗殺未遂事件だが、関与した者を捕らえ、事件の真相がおおよそ判明したのじゃ。
カイト殿も関係者の一人として知る権利はあると思ってのう」
そう言うと国王は軍務大臣に目配せして説明させた。
国王暗殺未遂事件の真相は、次のようなものだった。
親衛隊長のリドル・ポラーレスと憲兵隊が、侍従長のエスカル・テロンを拘束し、ありとあらゆる手段で厳しく取調べた。
その結果、意図せず自らが暗殺者を手引してしまったと自白したのだ。
侍従として3名の暗殺者を採用した理由は、リリアナの強い推挙に抗えなかったからだ言う。
後宮の関係者が、王宮内の人事や採用に口を挟むことは固く禁じられており、エスカル・テロンとリリアナは、その禁を破ったことになる。
リリアナの話を鵜呑みにして、何故他所者を侍従として採用したのかエスカル・テロンを厳しく追求した。
頑なに口を割ろうとしないエスカル・テロンだったが、更に厳しい取り調べ(恐らく拷問?)の末、リリアナから執拗に性的関係を強要され、その誘惑に負けて不義密通を行ったことを自白した。
結果的にリリアナの言いなりにならざるを得ない状況となり、言われるがままリリアナの推挙した男たちを侍従として採用し、それが国王の刺客であったのだ。
エスカル・テロンは、自分が採用した侍従が刺客だとは知らなかったと言っているが、恐らくそれは事実なのだろう。
しかし、如何に強要されたとは言え、国王の側妃と不義密通に耽り、結果的に暗殺者を宮殿内に招き入れたことは、許されざることだ。
もう一人の容疑者である国王の側妃リリアナの尋問が軍務大臣のリーン伯爵と親衛隊長のリドル・ポラーレスの手により秘密裏に行われた。
エスカル・テロンが全て自白したことを告げるとリリアナは抗弁を諦め、涙ながらに事の経緯を話し始めた。
リリアナによると国元の両親が人質として捕縛されていると言う。
その解放の条件は、侍従長を懐柔し、デルファイ公国から送り込まれた3人の男を王宮の侍従として採用させることだった。
縁もゆかりもない3人の男を王宮の侍従として採用させるのは難しいと思ったリリアナは、禁断の色仕掛けで侍従長を誘惑し、性的関係を結び、自分の言うことを聞くように仕向けたのだ。
34歳の女盛りで、一時期は国王陛下の寵愛を一身に受けていた美貌の持ち主であるリリアナにとって、侍従長を誘惑し自分の虜にすることは容易いことだった。
リリアナは、3人の侍従が国王暗殺のために送り込まれた刺客だとは思いもしなかったと言う。
両親を人質に取られ、やむを得ず行ったこととしても、不義密通は国王に対する重大な背信行為であり、厳罰は免れないだろう。
リリアナに、誰からの指し金か糺すと、王宮に出入りする行商人から渡された密書により指示されたことを自白した。
その行商人は、元々リリアナの生家との連絡役も担っており、月に1~2回、リリアナの後宮へ出入りし、宝石類や衣服、菓子などを売りに来ていたという。
先週その行商人が現れた際に密偵を付け、デルファイ公国の何処に行くのか探らせているが、まだ連絡はないそうだ。
これまでの話を総合すると国王暗殺を企てたのは、デルファイ公国の中枢の誰かであろう事は火を見るよりも明らかだ。
その事実を語る国王の声は悲痛であった。
今回の国王暗殺未遂事件は、王国の根幹を揺るがす重大事件である。
他国の刺客が王国の中枢にまで入り込み、何らチェックも受けずに侍従として採用され、国王を始め王室、重臣たちが出席する晩餐会に容易に潜入したのだ。
当然の如く、王宮では管理体制の見直しが指示され、役職者を始め全員の身辺調査が密かに指示されたことは言うまでもない。
更に人事採用に関するチェック体制の構築も指示したと国王は教えてくれた。
恐らく、ジェスティーナ王女襲撃事件も侍従長のエスカル・テロンから漏れた情報が側妃のリリアナを経由してデルファイ公国へ漏洩したことが原因だろう。
エスカル・テロンは侍従長の職を解かれ、国王暗殺に関わった罪人として公示され、代わりの侍従長に副侍従長のアレク・シオンを昇格させる人事が発表された。
エスカル・テロンは2つの重罪により死刑は免れないであろう。
側妃のリリアナは、後宮で蟄居謹慎中だ。
本来であれば死刑に値する重罪なのだが、子らが幼いことから国王の温情で無期懲役刑に減刑することとなり、身分は剥奪され、子らと共に近い内に遠方の王室直轄領へ送られ、塀に囲まれた座敷牢のような場所で生涯を過ごすであろうと国王が説明してくれた。
今の状況ではデルファイ公国の尻尾を掴んだ状況に過ぎないが、誰が黒幕なのか明確となった段階で、キッチリと落とし前を付けると国王は激怒していた。
また背後には、北方諸国の影が見え隠れしており、状況次第では戦争になるだろうと話した。
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