【R18】異世界リゾートライフ~女運が最悪だったオレがチートスキルで理想のハーレムを作りあげる~

永遠光(とわのひかり)

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第8章 南国リゾートへの旅

第84話 オレが御老公?

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 次の日、エミリアが知らせてくれた時刻に、ゼビオス・アルカディアがオレの部屋をノックした。

「お初にお目にかかります、当館の亭主ていしゅを務めておりますゼビオス・アルカディアと申します。
 ハヤミ様から、お話があると伺い、まかり越しました」

 ゼビオス・アルカディアはアルカディアグループの総帥トップでもある。
 よわいは60歳を越えているであろうか。
 恰幅かっぷくが良く、白髪に白髭しろひげたくわえ、見るからに一癖ひとくせ二癖ふたくせもありそうな風体ふうていだ。

「初めまして、ハヤミ・カイトと申します。
 本日はご足労下さいまして、ありがとうございます」

 クラリスに案内され、亭主は応接セットのオレの対面のソファに座った。
「この度は当館にご宿泊下さいまして誠にありがとうございます。
 また、昨日さくじつは当グループ所有の馬車を盗賊からお護り下さったと、エミリアから報告を受けております、重ねてお礼申し上げます」と深々と頭を下げた。

「いえいえ、自分達に降り掛かった火の粉を振り払っただけですから」

「さて、それはそれとして、聞けばハヤミ様は、これから宿泊業を始めようとされているとか…
 言わば同業者、私共の宿をスパイしに来られたのですかな?」
 亭主は、予想もしない辛辣しんらつな言葉を投げかけてきた。

「いえいえ、スパイなどとんでもない…
 私たちはサンドベリアへ行く途中で、セントレーニアには観光目的で滞在しているだけです。
 私の従者から旅亭アルカディアは、とても評判が良い宿だと聞き、純粋に泊まってみたいと思ったのです」

「そうでしたか、それはたいへん、ご無礼を申し上げました。
 どうか、お許しください。
 それで、私をお呼びになられたのは、どのようなご要件でございましょう?」

「単刀直入に申し上げます。
 本日ゼビオス様にお越しいただいたのは、エミリアさんが負った父親の借金から開放し、自由にしていただきたいと言うお願いです。
 無論、エミリアさんの借金は、私が全額お支払い致します」

「なるほど、そう言うお話ですか。
 ハヤミ様は、エミリアに随分とご執心しゅうしんのようですが……
 たまにいるのですよ、エミリアはあの通りの美貌、金は幾らでも出すからめかけに欲しいと言う貴族や豪商が後を絶たないのですが、全てお断りしておるのです。
 お若いのに金で女を買おうなど、些か考えが浅はかではございませんか?」

「そういう貴方もエミリアさんを金で買ったのではないですか?
 確か王国法では人身売買は重罪だった筈」とオレはジャブを打った。

「何を申される、24年分の給金を前払いして働いてもらっているだけですぞ」
 オレの一言でゼビオス・アルカディアは明らかに狼狽ろうばいしていた。

「その申し開き、国王陛下の前でも出来ますかな?」

「何を申される、陛下のを借りるとは、貴殿の方こそ無礼千万ですぞ」

「ハヤミ様は国王陛下の第3王女ジェスティーナ殿下の婚約者であられる」と唐突にステラが口を挟んだ。

 その言葉にゼビオス・アルカディアは驚嘆した。
「なに?、まさか…、そんな筈はない…
 王国の美の女神と呼ばれ、男を近づけない事に関しては鉄壁の防御と言われる王女殿下を、そんなに簡単に籠絡ろうらくできる訳がない」

 オレは何か証拠になるものが無いか考えてみたが何も思いつかない。

 それを聞いていたクラリスがこう言った。
「この紋章が目に入りませぬか?」
 クラリスが取り出したのは、オレが国王陛下から授《さず》かった王室の紋章が入った通行手形だった。

 その時オレは『この場面、見たことある』と思った。
 それはテレビのとある国民的長寿番組で終盤に助さん格さんが、ふところから取り出した印籠いんろうに悪代官が驚き、それを御老公がらしめると言う、あの名場面だ。
 さしずめ助さんがステラ、角さんがクラリス、オレが御老公という事になるのか。
 などと脳内で余計なことを考えながらも、オレはこの優位な展開に決着を付けようと考えていた。

「それは王室と重臣にしか発行されない『王室通行手形』」
 ゼビオス・アルカディアは驚嘆していた。

 オレは、この通行手形が、こんなにも権威あるモノなのかと今更ながら感心した。

「エミリアさんの件、人身売買か否か、国王の名代である総督閣下に判断してもらいましょうか?」

「そのような些細ささいなこと、ご多忙な総督閣下が取り合う筈はない」

「それでは、王都に帰ってから国王陛下にご報告し、裁定を仰ぐことに致しましょう」

 ゼビオス・アルカディアは、うなりながら暫く考え込んでいた。
「どうやら私の負けのようですな、ハヤミ様はお若いのに随分と頭が切れるようだ。
 分かりました、エミリアは開放することに致しましょう。
 ただし、3つばかり条件がございます」

「ほう、その条件とは?」

「1つ目は、エミリアの父親の借金を肩代わりした金貨120枚のうち、エミリアが働いて弁済した金貨40枚を差し引いた残りの金貨80枚を支払うこと。
 2つ目は、専属客室係バトラーとしてエミリアが働くことで、今後当館にもたらせたであろう逸失利益いしつりえき、金貨80枚を支払うこと。
 3つ目は、私を王国関係者に告発しないと約束すること。
 この条件を受け入れていただけるのでしたら、エミリアを開放しましょう」

 2つ目の条件の『逸失利益いしつりえき』と言う考え方には、いささか違和感を覚えるが、それで後腐れなくエミリアが開放されるのであれば、それで良しとしよう。
「分かりました、ゼビオス様が提案された条件を飲みましょう。
 では金貨160枚を支払えば、宜しいのですな」
 そう言ってオレは異空間収納から金貨160枚を取り出しゼビオスに渡した。

「ほう、貴殿がストレージ魔法の使い手とは思いませんでした」
 ゼビオスは、オレの異空間収納を魔法だと誤解しているようだ。
 確かに見た目には同じように見える。

「金貨160枚、確かに受領しました…
 では、この内の80枚はお返し致します」とゼビオスが金貨を半分返してくれた。

「え、また何故なにゆえに?」とオレが聞く。

「あなた方は、私共の馬車とエミリアを盗賊からまもって下さった。
 もし、盗賊共に馬車を奪われ、エミリアもさらわれていたら、今頃このような話も出来ませんでしたからなぁ」とゼビオスは豪快に笑った。

「あの馬車を1から作り、馬を2頭買うとなれば、金貨40枚は下《くだ》らないし、エミリアを救って頂いた礼を金貨40枚と勘案して、合計金貨80枚を貴殿にお返しします。
 私も根は商人ですからなぁ、借りは作りたくないのです」と笑っている。

「分かりました、それではこれで契約成立、貸し借りは無しと言うことで…」
 オレはゼビオス・アルカディアに歩み寄り握手した。

「後ほど貸付金完済の証文を部屋へ届けさせます。
 その前にエミリアに、この件を話さなければなりませんので、一時いっときお借りしても宜しいですかな?」
 ゼビオスは、先ほどとは打って変わった柔和な表情でオレに語りかけた。

「分かりました、それでは部屋で待つことに致しましょう」

 部屋で暫く待っているとドアがノックされ、エミリアが入ってきた。
「ハヤミ様、ゼビオス様から証文を預かってきました。
 金貨80枚をお支払いただき、私を開放して下さったそうで、本当にありがとうございます。
 この御恩は一生忘れません」
 そう言ってエミリアは深々と頭を下げると、大粒の涙がこぼれ落ちた。

「さて、これで晴れて自由の身となった訳だが、昨日話した条件でオレの会社で働いてもらうことで異論ないかな?」

「はい、こちらこそ、ぜひ宜しくお願いします」
 エミリアは涙を拭い、改めて頭を下げた。

「ハヤミ様、私のことはエミリアと呼び捨てでお呼び下さい」と笑う。

「分かった、じゃあオレもカイトでいいよ。
 ところでオレたちは旅の途中なので、エミリアにはサンドベリアへ同行してもらうことになるけど大丈夫?」

「はい、もうこの街に私の居場所はありませんので、カイト様にお供致します。
 それにサンドベリアは行ったことがないので、見てみたいです」

「ありがとう、それじゃあエミリアはステラたちの部屋に1泊してもらって明朝出発しよう」

 旅亭アルカディアを円満退職したエミリアは、従業員宿舎を出てオレたちのスイートルームに一泊した。
 当然オレの寝室に寝る訳にはいかないので、ステラとクラリスのベッドをくっつけて3人で寝たのだが、夜中まで女子トークで盛り上がったそうだ。
 翌日、エミリアにどんな話で盛り上がったのか聞いたが『内緒です』と教えてくれなかった。

 こうしてエミリアは、オレたちの旅に同行することとなった。
 次の目的地は約80km先にある港町サンドベリアだが、徒歩で行くには遠いので、郊外で異空間収納から『空飛ぶイルカ号』を取り出し、空路サンドベリアを目指した。
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