【R18】異世界リゾートライフ~女運が最悪だったオレがチートスキルで理想のハーレムを作りあげる~

永遠光(とわのひかり)

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第15章 アプロンティア王国編

第208話 真夜中の軍議

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 衛兵に案内されたのは、フォマロート王国軍の司令部であった。
 深夜にも拘わらず、司令部は昼間のような活況を呈し、クーデターの対応に全力を挙げていることが窺えた。

 オレたちは2階にある会議室に通され、暫くすると第1歩兵師団長のベルガー将軍が現れた。
「おぉ~、これはリアンナ王女殿下、よくぞご無事で…
 そう言えば、アプロンティア王国に政務で滞在されていたのでしたな」

「そうです、クーデター発生の報を受けて、急ぎ飛んで来ました」

「そうでしたか、しかし随分と早いご到着ですな」

「それは、シュテリオンベルグ伯爵が飛行船で私を送って下さったからです」

「飛行船ですか、それは早いはずです。
 シュテリオンベルグ伯爵閣下、シュトラーゼ伯爵閣下、ライゼン子爵閣下、当司令部へのご来臨、光栄の極みに存じます。
 私はフォマロート王国第1歩兵師団の総司令を努めますベルガーでございます。
 お急ぎのところ、たいへん恐縮では御座いますが、他の司令官を呼んでおりますので、全員揃いますまで少々お待ち下さい」

 ベルガー将軍は、フォマロート国王の信任も厚く、王室に絶対の忠誠を誓う熱血漢で、王国軍きってのエリートである。
 4人の将軍の内、最も若い38歳であるが、礼節はわきまえており、深夜にも拘わらず、出来得る限りの歓待をしてくれた。

 リアンナ王女の話では、ベルガー将軍は、狡猾なサルーテ将軍を心底嫌っており、普段から水と油の関係であったそうだ。

 護衛を始めとするメンバー全員に夜食が提供され、束の間の安息の時間を過ごす事ができた。
 オレは昨晩から、まともな食事を取っていないことを、今思い出した。

 他の将軍が全員揃ったのは、午前0時を過ぎた頃であった。
 会議室に現れたのは、第3歩兵師団長のサンドバル将軍と騎兵師団長のミューレン将軍、他は王都警備隊と魔法部隊の隊長であった。
 因みにサンドバル将軍は歴戦の猛者と言った風貌の隻眼の大男で、ミューレン将軍は鋭い眼光に似合わぬ甘いマスクで、女性受けしそうなタイプの男であった。

 リアンナが議長席に着き、各々が役職と名前を紹介したあと、軍議が始まった。
 最初にベルガー将軍が現在の戦況を報告した。
「反逆の首謀者は、サルーテ将軍とロズベルグ公爵の2名。
 間違いなく背後でゴラン帝国が彼らを操っているものと思われます。
 敵兵力はサルーテ将軍の第2歩兵師団約8千とロズベルグ公爵の私兵2千名、ゴラン帝国兵約2千の合計1万2千名であると思われます」
 この情報は、オレたちが押さえているのと同じ数字だ。

 それを聞いたリアンナ王女が、飛行船で収集したゴラン帝国兵の情報を将軍たちに伝えた。
「この他にゴラン帝国から約7万の兵が越境し、王都エルサレーナへ向けて進軍中であるとの情報があります」

「すると敵の総数は8万2千と言う事か…」
 フォマロートの将軍たちは敵兵力の多さに愕然とし、頭を抱えた。

 続いて各将軍からフォマロート王国軍の現有兵力が発表された。
 歩兵師団  2師団 18276名(ベルガー将軍、サンドバル将軍)
 騎兵師団  1師団 5133名(ミューレン将軍)
 王都警備隊  1隊 880名
 魔法部隊   1隊 125名
 フォマロート王国軍の現有総兵力は、2万4400名余りである。

 次にシュトラーゼ伯爵がアプロンティア王国軍からの援軍の派遣状況を発表した。
「アプロンティア王国軍は、歩兵騎兵混成5個師団4万人が昨日クリスタリアを出発し、こちらへ向かって進軍中です」

「おお~、それは心強い」とフォマロートの将軍たちから歓喜の声が聞こえた。
 シュトラーゼ伯爵によると、王都エルサレーナへの到着は早くても3日後になるそうだ。

「う~む、それでもやはり3日掛かりますか……」
 ベルガー将軍を始めとする3人の将軍から溜息が漏れた。

 続いて、オレがソランスター王国からの援軍の状況を発表した。
「ソランスター王国軍は、昨日4個師団3万2千名が王都フローラルを出発しました。
 王都エルサレーナへの到着は、早くても3週間後の見込みです」

「ソランスターからは遠いですからなぁ。
 やはり、それ位掛かりますか」
 フォマロート王国の将軍達からは、またもや溜息が漏れた。

 フォマロート王国軍   2万4千
 アプロンティア王国軍  4万
 ソランスター王国軍   3万2千
 フォマロート王国同盟軍の総兵力は合計で9万6千である

 アプロンティア王国軍到着まで3日、ソランスター王国軍到着には約3週間掛かるので、その間に王都を制圧される可能性が高い。

 重い空気が流れる中、それを打ち破るようにリアンナ王女が言った。
「シュテリオンベルグ伯爵、飛行船から収集した敵勢力の情報を発表していただけますか?」

「ひ、飛行船ですと……!」
 他の将軍達から驚きの声が聞かれた。

「シュテリオンベルグ伯爵は、女神フィリア様の加護を受け、魔力で飛ぶ飛行船を自在に操ることができるのです」
 リアンナ王女はオレが飛行船を持っている理由を将軍たちに説明してくれた。

「おお~、それは素晴らしい」と言う呟きが将軍たちから漏れ聞こえた。

 オレは飛行船の能力について説明した。
 時速450kmで飛行できること、ステルスモードで外から見えないこと、生体探知レーダーを使うと敵か味方か判別でき、しかも数まで解ること。

「もしそれが本当なら凄いことだ」
 ベルガー将軍が唸った。

「こちらを御覧下さい」
 オレは、将軍たちに生体探知レーダーのデータを纏めた勢力マップを見せた。
 勢力マップには、おびただしい赤い点と青い点が有り、密集した部分にはその数が数字で書かれている。
 赤い点は国境から王都へ向かって、途切れなく延々と続いていた。

「これが現状の勢力図となります。
 青が味方、赤が敵勢力です。
 この数字を集計した結果、青が2万5千、赤が8万2千となります。
 更に国境から王都へ向かう先頭の位置を距離から逆算すると、明日の夕方には王都エルサレーナ市街まで到着すると思われます」

「な、なんですと…、明日の午後とは…、あまりに早すぎる」
 サンドバル将軍は、口惜しそうにテーブルを叩いた。

「それでは、国王陛下を救出する時間がありませんぞ…」
 ミューレン将軍は、時間的に国王を始めとする王族の救出が難しいと分析した。

 ここにいる将軍たちは、国王始め王室の主だった王族がことごとく処刑されたのを未だ知らないのだ。

 一瞬沈黙が流れたが、それを打ち破るようにリアンナ王女が言った。
「陛下は……、王宮内でサルーテ将軍に殺されました…」

 それを聞いた将軍たちは絶句した。
「なんと…、王女殿下、それはまことですか…?」
 青天の霹靂へきれきであると、3人の将軍の表情が物語っていた。

「陛下だけではなく、母上、3人の兄、おじじ様、おばば様、叔父上、叔母上もみんな殺されました」
 リアンナ王女は無表情でそう言ったが、その頬を一筋の涙が伝ったのをオレは見逃さなかった。

「お、おのれぇ……、サルーテの奴めぇ!
 悪鬼の如き所業、許すまじ!
 すぐに全軍で総攻撃を仕掛けるべきです!」
 その場にいた将軍たちは、席を立ち拳をテーブルに叩きつけ、怒気をみなぎらせた。

「落ち着け!、愚か者共!」
 将軍たちを制したのは、リアンナ王女であった。
 思いも依らぬ王女の強い言葉に、将軍たちはたじろいだ。

 リアンナ王女は、王宮内で捕虜となっていたレイナとクリスティーナを、多勢に無勢の中、オレたちが決死の覚悟で救出したことを告げた。

「よくぞ、レイナ王女をお救い下さった」
 将軍たちは感謝の意を示し、オレの手を握った。

 リアンナ王女は一同を見回し、毅然として言った。
「王宮内に、もう救うべき者は居ないのです。
 王宮を攻め、無駄に兵を失うより、王都民を避難させるのが、最優先なのではないですか?」

 リアンナの言葉は、高ぶる将軍たちを納得させるに十分だった。
「王女殿下の仰ること、至極ごもっとも。
 私どもに何なりとお命じ下さいませ」

 オレたちは、飛行船の中で戦況を分析し、今後の大まかな方向性を予め検討していた。
 ゴラン帝国軍の先陣がエルサレーナに到着するのは、早くても明日の夕方だ。
 明日と言っても、もう0時を廻ってるので今日の夕方と言うことになる。
 明日の夕方には、およそ2万の帝国軍が到着し、敵兵力は3万2千となり、対するフォマロート王国軍は2万4千と、兵力が逆転するのだ。

 アプロンティア王国軍4万が、到着する3日後(0時を超えたので明後日)には、ゴラン帝国軍も到着し、敵兵力は8万2千となる。
 対する味方兵力はアプロンティア王国軍4万を加えた6万4千となるが、戦力的に不利な状況に変わりはない。

 戦力差は如何いかんともし難く、ソランスター王国軍3万2千が到着する20日後までは、戦力差を逆転できないのだ。
 その頃には、フォマロート王国の王都エルサレーナを始め、東側の主要な地域は反乱軍の支配下に置かれているだろう。

 リアンナ王女はフォマロート王国軍全軍に対し、勅命を発した。
「亡き国王陛下に代わり、その方らに命ずる。
 王国臣民を誘導し、リーゼンベルグへ避難させよ」

 因みにリーゼンベルグとは、王都エルサレーナとアプロンティア国境のほぼ中間にあるフォマロート王国第2の都市である。
 エルサレーナ同様街全体が城壁に囲まれている堅固な街だ。

 3人の将軍と2人の隊長は、リアンナ王女に臣下の礼を取り口上を述べた。
「王女殿下の勅命に従い、王国臣民の避難誘導の任、謹んでお受け致します」

 夜も明けきらぬ内から、王都とその周辺住民に一斉に避難命令が出された。
 王宮の包囲に最低限の兵を残し、残りの兵は住民の避難誘導を手助けすることとなった。
 王国臣民たちは、最低限の荷物を持ち、兵たちに守られながら王都を後にした。
 距離にして約70km、徒歩で約14時間にもおよぶ長い道のりだ。

 その様子を見ながら、午前5時を少し廻った頃、フォマロート王国へ進軍中のアプロンティア王国軍に情報を伝えるため、オレたちは飛行船に乗り、アプロンティア国境を目指した。

 30分ほど飛んだ頃、アプロンティア王国軍の宿営地が見えてきた。
 そこは、ちょうど国境を超えた辺りだ。

 近づく内に、宿営地から火の手が上がり一部で戦闘が起こっているのが見て取れた。
 まだ敵陣に入ってもいないのに戦闘とは何事だろう。
 飛行船『空飛ぶイルカ号Ⅱ』は、宿営地からやや国境側の空き地に着陸した。
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