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第3話
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それからは、セシリアと2人でダンジョンに入るようになった。
けど、僕はというと、セシリアについて行くだけで精一杯。
拾ったアイテムを<アイテムプール>に入れたり、しまったり……。それが僕の役割だった。
戦闘時は後方で待機して、セシリアの指示に従って回復アイテムを使う。
このステータスじゃ、戦いに加わっても迷惑をかけるだけだから、見守ることしかできなかった。
正直、ダンジョンの報酬を貰うのも心苦しかったけど、ノエルのためだって自分に言い聞かせた。
E級ダンジョンとD級ダンジョンをいくつかクリアすると、優秀なタイクーンとして名が知られ始めたセシリアのもとには、パーティーを組みたいっていう誘いが来るようになった。
いつかは、僕らのパーティーに仲間が加わるものだって覚悟していたけど、セシリアが連れて来た冒険者の姿を見た時は思わず目を疑った。
「今日から【隻眼の運び手】のメンバーを私たちのパーティーに入れることになったわ」
「よぉ寄生虫。久しぶりだな」
「っ!? ダコタ……!?」
「ダコタのことは、ナードもよく知ってるわよね」
「知ってるもなにも……」
「ハッ、嬉しくて声も出ねーみてぇだな!」
「他の2人も紹介しておくわ。こっちの大柄な彼はデュカ。こんなナリだけど、北シルワ冒険者育成学校では優秀な成績をおさめて有名だったの。主に回復魔法と付与魔法を担当してもらうわ。それで、こっちの細身の彼はケルヴィン。ケルヴィンも北シルワ冒険者育成学校出身ね。彼には、前衛でタンクと補助系スキルの使用を担当してもらうつもりよ。それで、今後の予定なんだけど……」
それからのセシリアの話は、まったく頭に入ってこなかった。
まさか、よりによってダコタとパーティーを組むことになるなんて……。
徐々にダンジョンのレベルが上がってくるから、優秀な仲間を引き入れる必要があったっていうのがセシリアの考えみたいだけど、僕は納得できなかった。
たしかに、ダコタは横暴な性格を抜きにすれば優秀な冒険者だ。それは認める。学校でも優秀な成績をおさめていたのも知っているし。
他の2人にしても、ダコタとパーティーを一緒に組んでいただけあって、同じくらい優秀だった。
セシリアの言っていることは正しい。
けど……。
(僕をずっといじめてきたダコタを、わざわざパーティーに入れなくてもいいじゃないか)
結局、僕に発言権など無いに等しくて、それを受け入れることになっちゃったけど。
この頃からセシリアに対してずっと違和感を抱いていた。
セシリアは僕のことなんて、本当はどうでもいいんじゃないかって。
◇
それから【鉄血の戦姫】は、上々の戦果を上げていった。
いくつかのC級ダンジョンをクリアすると、B級ダンジョン【テネブラエ呪城】に挑むことに。
B級ダンジョンをクリアできる冒険者は、全体の1%ほどだって言われている。
僕みたいな底辺の冒険者がB級ダンジョンに足を踏み入れるなんて、奇跡と言ってもいいかもしれない。
「〝かの者にエデンの加護があらんことを 武器を二段階強化せよ――《セカンドライズ》〟」
「ありがとうデュカ、あんた最高よ! ケルヴィン、そっちはいけそう?」
「はいっ! 今、敵にデバフをかけます! 《ディフェンスダウン》!」
「よっしゃ! こっちは切り込んだぜ! トドメはお前に任せる! 頼むぞセシリアッ!」
「ええ、ダコタ任せて! これで決めてみせるから! 槍術中級技――《不知火槍》!」
シュパァァァァンッーーーー!!
セシリアが槍を思いっきり振り下ろした瞬間、轟々と唸る炎の渦が放たれ、バーストヴァンパイアに直撃する。
「ヒャゴォォォオッ!?」
凄まじい勢いで猛火に飲まれると、ようやくバーストヴァンパイアはその場に倒れた。
「やったわ!」
「すげぇぞ、セシリアっ! 本当にB級ボスを倒しちまったぜ……!」
セシリアとダコタが抱き合って喜び合う。
デュカとケルヴィンも達成感に満ちた顔をしていた。
「……っ」
4人が連携プレイでボス魔獣を倒すその光景を、僕は柱の影に隠れながら見守っていることしかできなかった。
僕がしたことと言えば、<アイテムプール>からアイテムを取り出して使っただけ。
しかも、一度間違って使ってしまった。
他の3人が僕のことを〝役立たずの無能だ〟って思っていることは十分に感じていた。
けど、セシリアだけは違うって思ってた。
セシリアはノエルの見舞いにも何度か来てくれたことがある。
僕がノエルの生活費を稼ぐために、冒険者になったことをセシリアは知っているし、だからセシリアだけは僕の味方だって思っていたんだ。
でも……。
それは僕の勘違いだった。
〝嘘なわけないでしょ? あんなブス、早く死ねばいいのよ〟
長年騙されていたんだっていう気持ちが胸を覆いつくしていく。
セシリアに言われたその言葉が、いつまでも耳にこびり付いて離れなかった。
けど、僕はというと、セシリアについて行くだけで精一杯。
拾ったアイテムを<アイテムプール>に入れたり、しまったり……。それが僕の役割だった。
戦闘時は後方で待機して、セシリアの指示に従って回復アイテムを使う。
このステータスじゃ、戦いに加わっても迷惑をかけるだけだから、見守ることしかできなかった。
正直、ダンジョンの報酬を貰うのも心苦しかったけど、ノエルのためだって自分に言い聞かせた。
E級ダンジョンとD級ダンジョンをいくつかクリアすると、優秀なタイクーンとして名が知られ始めたセシリアのもとには、パーティーを組みたいっていう誘いが来るようになった。
いつかは、僕らのパーティーに仲間が加わるものだって覚悟していたけど、セシリアが連れて来た冒険者の姿を見た時は思わず目を疑った。
「今日から【隻眼の運び手】のメンバーを私たちのパーティーに入れることになったわ」
「よぉ寄生虫。久しぶりだな」
「っ!? ダコタ……!?」
「ダコタのことは、ナードもよく知ってるわよね」
「知ってるもなにも……」
「ハッ、嬉しくて声も出ねーみてぇだな!」
「他の2人も紹介しておくわ。こっちの大柄な彼はデュカ。こんなナリだけど、北シルワ冒険者育成学校では優秀な成績をおさめて有名だったの。主に回復魔法と付与魔法を担当してもらうわ。それで、こっちの細身の彼はケルヴィン。ケルヴィンも北シルワ冒険者育成学校出身ね。彼には、前衛でタンクと補助系スキルの使用を担当してもらうつもりよ。それで、今後の予定なんだけど……」
それからのセシリアの話は、まったく頭に入ってこなかった。
まさか、よりによってダコタとパーティーを組むことになるなんて……。
徐々にダンジョンのレベルが上がってくるから、優秀な仲間を引き入れる必要があったっていうのがセシリアの考えみたいだけど、僕は納得できなかった。
たしかに、ダコタは横暴な性格を抜きにすれば優秀な冒険者だ。それは認める。学校でも優秀な成績をおさめていたのも知っているし。
他の2人にしても、ダコタとパーティーを一緒に組んでいただけあって、同じくらい優秀だった。
セシリアの言っていることは正しい。
けど……。
(僕をずっといじめてきたダコタを、わざわざパーティーに入れなくてもいいじゃないか)
結局、僕に発言権など無いに等しくて、それを受け入れることになっちゃったけど。
この頃からセシリアに対してずっと違和感を抱いていた。
セシリアは僕のことなんて、本当はどうでもいいんじゃないかって。
◇
それから【鉄血の戦姫】は、上々の戦果を上げていった。
いくつかのC級ダンジョンをクリアすると、B級ダンジョン【テネブラエ呪城】に挑むことに。
B級ダンジョンをクリアできる冒険者は、全体の1%ほどだって言われている。
僕みたいな底辺の冒険者がB級ダンジョンに足を踏み入れるなんて、奇跡と言ってもいいかもしれない。
「〝かの者にエデンの加護があらんことを 武器を二段階強化せよ――《セカンドライズ》〟」
「ありがとうデュカ、あんた最高よ! ケルヴィン、そっちはいけそう?」
「はいっ! 今、敵にデバフをかけます! 《ディフェンスダウン》!」
「よっしゃ! こっちは切り込んだぜ! トドメはお前に任せる! 頼むぞセシリアッ!」
「ええ、ダコタ任せて! これで決めてみせるから! 槍術中級技――《不知火槍》!」
シュパァァァァンッーーーー!!
セシリアが槍を思いっきり振り下ろした瞬間、轟々と唸る炎の渦が放たれ、バーストヴァンパイアに直撃する。
「ヒャゴォォォオッ!?」
凄まじい勢いで猛火に飲まれると、ようやくバーストヴァンパイアはその場に倒れた。
「やったわ!」
「すげぇぞ、セシリアっ! 本当にB級ボスを倒しちまったぜ……!」
セシリアとダコタが抱き合って喜び合う。
デュカとケルヴィンも達成感に満ちた顔をしていた。
「……っ」
4人が連携プレイでボス魔獣を倒すその光景を、僕は柱の影に隠れながら見守っていることしかできなかった。
僕がしたことと言えば、<アイテムプール>からアイテムを取り出して使っただけ。
しかも、一度間違って使ってしまった。
他の3人が僕のことを〝役立たずの無能だ〟って思っていることは十分に感じていた。
けど、セシリアだけは違うって思ってた。
セシリアはノエルの見舞いにも何度か来てくれたことがある。
僕がノエルの生活費を稼ぐために、冒険者になったことをセシリアは知っているし、だからセシリアだけは僕の味方だって思っていたんだ。
でも……。
それは僕の勘違いだった。
〝嘘なわけないでしょ? あんなブス、早く死ねばいいのよ〟
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セシリアに言われたその言葉が、いつまでも耳にこびり付いて離れなかった。
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