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第9話
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「あっ、お兄ちゃん! おかえりぃっ♪」
「ただいま……」
「ひぇっ!? その傷っ! どうしたのお兄ちゃん!?」
「へ? あ、あぁ……うん。ちょっと魔獣にやられちゃって」
「待ってて! 今ポーション持ってくるから……!」
救急かごに入ったポーションをノエルが急いで持って来てくれる。
それを体にふりかけると、傷がみるみる回復していく。
「どう? 痛いところない?」
「ありがとうノエル。もう大丈夫だよ」
「はぁ……よかったぁ~。お兄ちゃんが死んじゃうって思ったよぉ……」
「僕はノエルがいる限り死んだりはしないよ」
って、かっこつけたこと言ってるけど、今日は本当に危なかった。
生還できたのは、奇跡と言ってもいいかもしれない。
「だ、だよね! お兄ちゃんが死んじゃうなんて……ごめんなさい。縁起でもないこと言っちゃって……」
「ううん。こんな格好で帰ってきたら心配になるよね。これからは気をつけるよ」
「う、うんっ……」
僕はノエルの髪をゆさゆさと撫でる。
すると、ノエルは嬉しそうにぱぁっと笑顔をこぼした。
◇
夕食を終えてノエルを寝かしつけると、僕は自分の部屋に戻って今一度ステータスを確認した。
「やっぱりLP2のままだ……」
水晶ディスプレイのバグでないのなら、本当に僕のLPは増えたってことになる。
「スライムのLPを<アブソープション>で吸い取ったってことなのかな。でも、本当にそんなことが……」
未だにLPが増えたって事実は信じられなかったけど、現に僕のLPはこうして増えている。
もう一生LP値は変わらないって諦めていたけど……。
このスキルがあれば、冒険者としてここから這い上がっていくこともできるかもしれない。
ひとまず、このLPが本当に消費できるものなのかを確認する必要があるかな。
水晶ディスプレイを指で弾くと、【補助系スキル】の一部を表示させる。
-----------------
◆分析/消費LP1
内容:魔獣のステータスを確認することができる
消費MP0
◆投紋/消費LP1
内容:ダンジョン内に光の輪を残して目印を付けることができる
消費MP0
◆調薬/消費LP1
内容:回復アイテムを調合して新しいアイテムを生成する
消費MP0
◆陽動/消費LP1
内容:敵の注意を引いて狙われやすくなる
消費MP0
◆ディフェンスダウン/消費LP50
内容:敵1体の防御力を少し下げる
消費MP6
◆ディフェンスクラッシュ/消費LP100
内容:敵1体の防御力を大きく下げる
消費MP12
◆高速詠唱/消費LP100
内容:魔法の詠唱を高速化することができる
消費MP0
-----------------
前半4つのスキルは、冒険者必須のスキルって言われている。
消費LPも1とためらいなく習得できることから、とても人気のスキルだ。
「うん。まずはこの4つの中から試しに習得できるか確認してみよう」
ひとまず、一番上の《分析》の項目をタップしてみる。
すると……。
『LP1を消費して《分析》を習得します。よろしいですか(Y/N)?』
「うぇっ、マジ……?」
これまでは、どの項目をタップしても『LP不足のため習得できません』ってアナウンスが表示されるだけだった。
このアナウンスが表示されたってことは、つまり……。
おそるおそる(Y)を選択してみる。
『《分析》を習得しました』
「おぉ……!」
本当に覚えることができちゃった!?
すぐにステータス画面に戻って確認する。
-----------------
[ナード]
LP1
HP50/50
MP0/1
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットα】>
<バフトリガー【OFF】>
属性魔法:
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:《分析》
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:8,800アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:E級魔獣1体
状態:
-----------------
間違いない……!
LPが1消費されて《分析》を習得しているっ!
「ははは……やった。やったぞっ……!」
これはひょっとすると、簡単にLPを増やすことができるかもしれない。
また明日も試しに使ってみよう。
こんなワクワクした気分になるのは、冒険者になって初めてのことだった。
「明日が楽しみだなぁ~!」
この日の夜は、久しぶりに熟睡することができた。
◇
「お兄ちゃん、今日もがんばって~♪」
「うん。行ってくるよ」
2日目。
僕はノエルに見送られて【グラキエス氷窟】へと向かった。
ノエルには、未だにセシリアのパーティーを抜けたことを打ち明けられていなくて、後ろめたさがあったけど、今はなるべくそのことは考えないようにした。
いつか必ず、自分1人の力でダンジョンをクリアできるようになったって、ノエルに報告しよう。
そのためにも、まずはLPを増やして僕が強くなる必要がある。
「LPが増えたなんて……まだ上手く信じられないけど」
でも事実なんだ。
昨日、僕は<アブソープション>を使ってスライムのLPを吸い取った。
他の人に言ったら、絶対に信じてもらえないに違いない。
「っと、見えてきた」
そんなことを考えながらシルワ平原を進んでいると、いつの間にか【グラキエス氷窟】の前までやって来たようだ。
昨日と同じようにビーナスのしずくで辺りを照らしながら、足元に気をつけてゆっくりとダンジョンへ入っていく。
そのまましばらく中を進むと、氷柱の影に隠れた黒色の物体が目に飛び込んできた。
スライムに違いない。
昨日の教訓を活かすため、まずは十分に距離を取る。
スライムは僕よりもかなり素早かったから、一気に距離を詰められる可能性があった。
(この辺りで大丈夫かな……)
相手との距離を確認しながら、水晶ディスプレイをスライムの方へ向けて、《分析》をタップする。
すると、スライムのステータスが表示された。
-----------------
[スライム]
LP1
HP20/20
MP2/2
攻6
防3
魔攻1
魔防1
素早さ4
幸運2
-----------------
(……LP1。やっぱり、思った通りだ)
これで<アブソープション>の性能に疑いはない。
あとはもう一度これを使ってみるだけ。
そんな風に水晶ディスプレイに視線を落としていると、スライムが柱の影からゆっくりと姿を現してくる。
(気付かれた?)
明りを点けたままだったから、こちらの存在に気付いたのかもしれない。
スライムの素早さは4。つまり、こっちの4倍の速さだ。
また、昨日と同じように下敷きにされてマウントを取られたら逃げられない。
(襲って来る前にやるしかないっ……)
両手を前にかざすと、僕は大声でスライムに向けて唱えた。
「〝アブソープション〟!」
その瞬間、スライムは光に包まれて、僕の手のひらへと吸い込まれていく。
「や……やったの……?」
すぐに自分のステータスを確認する。
-----------------
[ナード]
LP2
HP50/50
MP0/1
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットα】>
<バフトリガー【OFF】>
属性魔法:
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:《分析》
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:8,800アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:E級魔獣2体
状態:
-----------------
「おっ! LP2になってる!」
見間違いでもなんでもない。もうこれで確定だ。
<アブソープション>は、本当に相手のLPを吸い上げて自分のものにすることができるんだ!
「これ、とんでもないスキルだよ」
これまでの歴史が覆ってしまうほどの大発見だ。
それが分かると、脚が少しだけ震えてしまう。
「こんなスキル、僕が持っていていいのかな……」
一瞬、弱気になるけど、すぐに思い直した。
これがあればLPを増やし続けて、A級ダンジョンをクリアすることだってできるかもしれない。
(それに……)
これまでずっと僕を騙し続けてきたセシリアに復讐することだって可能かもしれなかった。
僕は拳にギュッと力を込めた。
「ただいま……」
「ひぇっ!? その傷っ! どうしたのお兄ちゃん!?」
「へ? あ、あぁ……うん。ちょっと魔獣にやられちゃって」
「待ってて! 今ポーション持ってくるから……!」
救急かごに入ったポーションをノエルが急いで持って来てくれる。
それを体にふりかけると、傷がみるみる回復していく。
「どう? 痛いところない?」
「ありがとうノエル。もう大丈夫だよ」
「はぁ……よかったぁ~。お兄ちゃんが死んじゃうって思ったよぉ……」
「僕はノエルがいる限り死んだりはしないよ」
って、かっこつけたこと言ってるけど、今日は本当に危なかった。
生還できたのは、奇跡と言ってもいいかもしれない。
「だ、だよね! お兄ちゃんが死んじゃうなんて……ごめんなさい。縁起でもないこと言っちゃって……」
「ううん。こんな格好で帰ってきたら心配になるよね。これからは気をつけるよ」
「う、うんっ……」
僕はノエルの髪をゆさゆさと撫でる。
すると、ノエルは嬉しそうにぱぁっと笑顔をこぼした。
◇
夕食を終えてノエルを寝かしつけると、僕は自分の部屋に戻って今一度ステータスを確認した。
「やっぱりLP2のままだ……」
水晶ディスプレイのバグでないのなら、本当に僕のLPは増えたってことになる。
「スライムのLPを<アブソープション>で吸い取ったってことなのかな。でも、本当にそんなことが……」
未だにLPが増えたって事実は信じられなかったけど、現に僕のLPはこうして増えている。
もう一生LP値は変わらないって諦めていたけど……。
このスキルがあれば、冒険者としてここから這い上がっていくこともできるかもしれない。
ひとまず、このLPが本当に消費できるものなのかを確認する必要があるかな。
水晶ディスプレイを指で弾くと、【補助系スキル】の一部を表示させる。
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◆分析/消費LP1
内容:魔獣のステータスを確認することができる
消費MP0
◆投紋/消費LP1
内容:ダンジョン内に光の輪を残して目印を付けることができる
消費MP0
◆調薬/消費LP1
内容:回復アイテムを調合して新しいアイテムを生成する
消費MP0
◆陽動/消費LP1
内容:敵の注意を引いて狙われやすくなる
消費MP0
◆ディフェンスダウン/消費LP50
内容:敵1体の防御力を少し下げる
消費MP6
◆ディフェンスクラッシュ/消費LP100
内容:敵1体の防御力を大きく下げる
消費MP12
◆高速詠唱/消費LP100
内容:魔法の詠唱を高速化することができる
消費MP0
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前半4つのスキルは、冒険者必須のスキルって言われている。
消費LPも1とためらいなく習得できることから、とても人気のスキルだ。
「うん。まずはこの4つの中から試しに習得できるか確認してみよう」
ひとまず、一番上の《分析》の項目をタップしてみる。
すると……。
『LP1を消費して《分析》を習得します。よろしいですか(Y/N)?』
「うぇっ、マジ……?」
これまでは、どの項目をタップしても『LP不足のため習得できません』ってアナウンスが表示されるだけだった。
このアナウンスが表示されたってことは、つまり……。
おそるおそる(Y)を選択してみる。
『《分析》を習得しました』
「おぉ……!」
本当に覚えることができちゃった!?
すぐにステータス画面に戻って確認する。
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[ナード]
LP1
HP50/50
MP0/1
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットα】>
<バフトリガー【OFF】>
属性魔法:
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:《分析》
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:8,800アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:E級魔獣1体
状態:
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間違いない……!
LPが1消費されて《分析》を習得しているっ!
「ははは……やった。やったぞっ……!」
これはひょっとすると、簡単にLPを増やすことができるかもしれない。
また明日も試しに使ってみよう。
こんなワクワクした気分になるのは、冒険者になって初めてのことだった。
「明日が楽しみだなぁ~!」
この日の夜は、久しぶりに熟睡することができた。
◇
「お兄ちゃん、今日もがんばって~♪」
「うん。行ってくるよ」
2日目。
僕はノエルに見送られて【グラキエス氷窟】へと向かった。
ノエルには、未だにセシリアのパーティーを抜けたことを打ち明けられていなくて、後ろめたさがあったけど、今はなるべくそのことは考えないようにした。
いつか必ず、自分1人の力でダンジョンをクリアできるようになったって、ノエルに報告しよう。
そのためにも、まずはLPを増やして僕が強くなる必要がある。
「LPが増えたなんて……まだ上手く信じられないけど」
でも事実なんだ。
昨日、僕は<アブソープション>を使ってスライムのLPを吸い取った。
他の人に言ったら、絶対に信じてもらえないに違いない。
「っと、見えてきた」
そんなことを考えながらシルワ平原を進んでいると、いつの間にか【グラキエス氷窟】の前までやって来たようだ。
昨日と同じようにビーナスのしずくで辺りを照らしながら、足元に気をつけてゆっくりとダンジョンへ入っていく。
そのまましばらく中を進むと、氷柱の影に隠れた黒色の物体が目に飛び込んできた。
スライムに違いない。
昨日の教訓を活かすため、まずは十分に距離を取る。
スライムは僕よりもかなり素早かったから、一気に距離を詰められる可能性があった。
(この辺りで大丈夫かな……)
相手との距離を確認しながら、水晶ディスプレイをスライムの方へ向けて、《分析》をタップする。
すると、スライムのステータスが表示された。
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[スライム]
LP1
HP20/20
MP2/2
攻6
防3
魔攻1
魔防1
素早さ4
幸運2
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(……LP1。やっぱり、思った通りだ)
これで<アブソープション>の性能に疑いはない。
あとはもう一度これを使ってみるだけ。
そんな風に水晶ディスプレイに視線を落としていると、スライムが柱の影からゆっくりと姿を現してくる。
(気付かれた?)
明りを点けたままだったから、こちらの存在に気付いたのかもしれない。
スライムの素早さは4。つまり、こっちの4倍の速さだ。
また、昨日と同じように下敷きにされてマウントを取られたら逃げられない。
(襲って来る前にやるしかないっ……)
両手を前にかざすと、僕は大声でスライムに向けて唱えた。
「〝アブソープション〟!」
その瞬間、スライムは光に包まれて、僕の手のひらへと吸い込まれていく。
「や……やったの……?」
すぐに自分のステータスを確認する。
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[ナード]
LP2
HP50/50
MP0/1
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットα】>
<バフトリガー【OFF】>
属性魔法:
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:《分析》
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:8,800アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:E級魔獣2体
状態:
-----------------
「おっ! LP2になってる!」
見間違いでもなんでもない。もうこれで確定だ。
<アブソープション>は、本当に相手のLPを吸い上げて自分のものにすることができるんだ!
「これ、とんでもないスキルだよ」
これまでの歴史が覆ってしまうほどの大発見だ。
それが分かると、脚が少しだけ震えてしまう。
「こんなスキル、僕が持っていていいのかな……」
一瞬、弱気になるけど、すぐに思い直した。
これがあればLPを増やし続けて、A級ダンジョンをクリアすることだってできるかもしれない。
(それに……)
これまでずっと僕を騙し続けてきたセシリアに復讐することだって可能かもしれなかった。
僕は拳にギュッと力を込めた。
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その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
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「黙れ、とっととここから消えるがいい!」
それは突然の出来事だった。
SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。
そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。
「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」
「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」
「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」
ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。
その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。
「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」
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