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第12話
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◆アブソープション
・スロットα
内容:相手のLPを1吸収する(1バトル/1回)
消費MP1
・スロットβ
内容:HP0となった相手のLPを吸収する(調整可)
消費MP0
-----------------
「スロットってことは、これ切り替えができるのかな?」
試しに〝スロットβ〟を選択してタップしてみると、案の定アナウンス画面が表示される。
『<アブソープション>のスロットを変更します。βにしてよろしいですか(Y/N)?』
「ここはひとまず(Y)を選んで……」
『<アブソープション>のスロットをβに変更しました』
よし、スロットを変更したぞ。
でも、これでクインペリーのHPを0にしない限り、LPは吸収できなくなったわけで。
これまでは、裏技的にスライムを倒してきたけど、もうその手段は使えない。
「あとは自力で倒していくしかないみたいだ」
今一度、自分のステータスを確認してみる。
-----------------
[ナード]
LP23
HP37/50
MP10/16
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットβ】>
<バフトリガー【OFF】>
属性魔法:
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:《分析》
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:水晶ジェム×1
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:5,800アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:E級魔獣38体
状態:
-----------------
「う~ん……」
今のままだと攻撃力が1だから、クインペリーにまともに攻撃を与えることができない。
(とすれば、ある程度攻撃力を上げてから<体術>の技を覚えればいいのかな?)
水晶ディスプレイを弾くと、そのまま<体術>の技一覧を表示してみる。
-----------------
◆初級技-あばれ倒し/消費LP30
内容:敵1体に物理攻撃(小)を与える
威力70ダメージ
消費MP5
◆中級技-秘技・天翔蹴り/消費LP75
内容:敵1体に物理攻撃(中)を与える
威力270ダメージ
消費MP15
◆上級技-爆烈神覇・絶影掌/消費LP120
内容:敵1体に物理攻撃(大)を与える
威力900ダメージ
消費MP45
-----------------
「うわぁ、 初級技でもLPが30も必要じゃん……」
そもそも<体術>のスキルを習得するにはLP10が必要なので、現時点で《あばれ倒し》を覚えることはできない。
「こんなことなら、武器を買って持ってくるんだったかな。今なら<片手剣術>とか<弓術>とか、習得することができるのに」
そんなことを考えながら視線を彷徨わせていると、革のショルダーバッグに目がいく。
(そうだ。さっき水晶ジェムを拾ったんだった)
水晶ジェムがあれば、魔法を詠唱することができる。
試しに火魔法の一覧を表示してみることに。
-----------------
◆初級魔法-ファイヤーボウル/消費LP20
内容:敵1体に火魔法ダメージ(小)を与える
威力50ダメージ/詠唱時間3秒
消費MP5
◆中級魔法-デモンズフレイム/消費LP50
内容:敵1体に火魔法ダメージ(中)を与える
威力120ダメージ/詠唱時間5秒
消費MP10
◆上級魔法-ファイナルボルケーノ/消費LP100
内容:敵1体に火魔法ダメージ(大)を与える
威力450ダメージ/詠唱時間7秒
消費MP30
-----------------
「おっ、《ファイヤーボウル》なら覚えることができるぞ」
クインペリーは防御力が高いから攻撃力を上げて<体術>を覚えるよりも、《ファイヤーボウル》を覚えてしまった方が楽に勝てるかもしれない。
[冒険者の鉄則 その6]
ダンジョン内では即断即決すべし。
ダンジョン内での迷いは命取りとなる。
こうやって迷っている間にも、魔獣が襲いかかってくることだってあるんだから。
「うん。これでいこう」
そのまま《ファイヤーボウル》の項目をタップする。
『LP20を消費して《ファイヤーボウル》を習得します。よろしいですか(Y/N)?』
表示されたアナウンス画面を見ながら、ふと思った。
(もう一生魔法なんて習得できないと思ってたのに)
胸に熱いものが込み上げてくるのを感じながら、(Y)を選択する。
『《ファイヤーボウル》を習得しました』
その画面を確認すると、僕はもう一度下の階へ降りた。
「ピゲェェェッ~~!」
クインペリーは相変わらず敵意むき出しのまま威嚇した声を張り上げていた。
フロアに降り立ったら、すぐにでも襲いかかるぞと言わんばかりだ。
階段の途中でショルダーバッグの中から水晶ジェムを取り出すと、それを右手で強く握り締める。
(水晶ジェムは1つしかない。チャンスは1回限りだ。慎重に……)
絶対に外さないようにクインペリーに狙いを定める。
魔法の発動方法や詠唱文については、学校の授業で何度も見て学んできた。
(大丈夫……僕なら当てられる!)
「〝魔法発動〟」
そう唱えると、握り締めた水晶ジェムからは光が溢れ出し、右手の甲に小さな魔法陣が浮かび上がった。
あとは、詠唱すれば魔法を放つことができる。
しっかりと狙いを定めて…………今だ!
「〝裁きを下す煉獄の魔炎よ 今こそその力を発現し 我の敵となるものをすべて焼き尽くせ――《ファイヤーボウル》〟」
その瞬間、手のひらから大きな火の玉が力強く放たれて、クインペリーに向かって飛んでいく。
ドカーンッ!!
「ピゲェッ!?」
クインペリーは、燃え盛る炎に飲み込まれ、一瞬のうちにして倒れた。
「や、やった……」
生まれて初めて魔獣を自分の力で倒すことができたぞ!
思わず嬉しさが込み上げてきて、その場でガッツポーズしてしまう。
あとは、<アブソープション>がちゃんと使えれば……。
焼け焦げたクインペリーを前に両手をかざしてみる。
「〝アブソープション〟」
すると、今度こそクインペリーは、手のひらへと吸い込まれていった。
「……よし。LPもちゃんと増えてるね」
水晶ディスプレイを確認して、ようやく僕はホッとため息を漏らす。
一時はどうなることかと思ったけど、この調子なら問題なく先へ進んで行けそうだ。
ひとまず、今日はここで切り上げることに。
明日は水晶ジェムを忘れずに買ってから、ダンジョンへ挑むことにしよう。
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