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第13話
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「ねぇ、お兄ちゃん。最近、夕食でパン1つしか食べてないよ?」
「えっ? あ……えっと、ちょっと食欲がなくて……」
「なんかノエルだけこんないっぱい食べて悪いよ。それにお兄ちゃん、毎日ダンジョンに行ってるのにそれだけしか食べてなくて、いつか倒れるんじゃないかってノエル心配だよぉ……」
「へーきへーき。いざとなったら、氷柱から水を摂取してお腹満たすこともできるから」
「氷柱? 【テネブラエ呪城】って、そんな寒いところだっけ? 本にはたしか、煮えたぎる毒の沼がいっぱい存在するって書いてあったよーな……」
「あ、ははは! ごめんっ! ちょっと今日は疲れたから先に部屋に戻るね、んじゃ……!」
「お、お兄ちゃんっ!?」
バタンッ!
返事も待たずに自室へ飛び込む。
ふぅ、危なかった……。
(ノエルがダンジョンに詳しいことすっかり忘れてた)
ノエルは書物を読むのが好きで、ダンジョンについての知識もかなり豊富だったりする。
たまに、ノエルからダンジョンの情報を訊くこともあるし。
こうやって下手な発言をすると、簡単に墓穴を掘っちゃうから注意しないと……。
ぎゅるる~。
そんなことを考えていると、腹の虫が盛大に鳴った。
「……はぁ。でも、たしかにノエルの言う通り、さすがに毎日パン1つだけってキツいな」
食べ物のことを考えたら、めちゃくちゃお腹が空いてくる。
けど今はまだガマンの時だ。食費にお金を使うくらいなら、マジックポーションや水晶ジェムの購入費に回した方がいい。
-----------------
[ナード]
LP5
HP37/50
MP5/16
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットβ】>
<バフトリガー【OFF】>
属性魔法:《ファイヤーボウル》
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:《分析》
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:5,700アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:E級魔獣39体
状態:
-----------------
水晶ディスプレイを立ち上げると、いつものように自分のステータスを確認する。
これはいわば、1日の終わりの点検作業のようなものだ。欠かすことはできない。
「魔法を習得したことは心強いんだけど」
それでも、まだこの状態でボス魔獣を倒せるかは未知数だった。
そろそろ【攻撃系スキル】も覚えておきたいところなんだけど、武器を買うってなると金銭的なハードルが上がる。
今日は、武器を買っておくべきだったなんて思ったけど、実際あの時は、初級魔法を覚えるのが最良の選択だったって思う。
魔法は水晶ジェムさえあれば、発動させることができるわけだから。
何にしても、今の所持金だとできることにも限りがあるのが現状だ。
「早くE級ダンジョンをクリアしないとだよね」
E級魔光石ももちろん価値があるんだけど、実は初回クリア報酬の方が目当てだったりする。
なぜなら、初回クリア報酬で手に入るアイテムはどれも貴重な物ばかりで、大金に換えることができるから。
-----------------
・B級ダンジョン
【天空のティアラ】=1億アロー
・C級ダンジョン
【ヴァルキリーの聖弓】=1000万アロー
・D級ダンジョン
【クリスタルキングクロー】=100万アロー
・E級ダンジョン
【木霊のホットストーン】=10万アロー
-----------------
シルワの冒険者ギルドだと、初回クリア報酬はこんな感じで設定されている。
初回クリア報酬は、タイクーンとしてその階級のダンジョンを初めてクリアした時に貰えて、僕みたいに以前に別のパーティーに参加していて、改めてタイクーンとしてダンジョンに挑む場合でも、この報酬は受け取れるようになっている。
そして、嬉しいのが、これは国ごとによってリセットされるっていう点だ。
たとえば、一流冒険者の証の所有者が、他の国へ行ってもう一度同じ階級のダンジョンをクリアした場合でも、その国の初回クリア報酬を受け取ることができる。
これが、一流冒険者の証を所有している冒険者の一番の旨味って言われているんだよね。
だって、色々な国へ行って、その国が管轄するE級ダンジョンをクリアするだけでも、初回クリア報酬が貰えちゃうわけだし。
ちなみに、どの国でもA級ダンジョンは初回クリア報酬は用意されていなくて、踏破したパーティーメンバー全員に、一流冒険者の証が送られることになっている。
冒険者は、この初回クリア報酬をどれだけ手に入れることができるかが、豊かな暮らしができる条件だって考えている場合が多い。
でも実際には、E級~B級までの初回クリア報酬を手にする者は一握りだ。
特にB級ダンジョンの初回クリア報酬は一番入手が難しくて、シルワの冒険者ギルドだと、天空のティアラっていう――
〝いいなぁ~天空のティアラ。あれ憧れだよぉ。一度でいいから付けてみたい!〟
〝セシリアちゃんなら絶対に似合うよ! だって、あんな美人さんなんだもん♪〟
(っ!)
その瞬間、この前ノエルに言われた言葉がフラッシュバックする。
それと同時に、追放されたあの最悪な日の出来事をまた思い出してしまった。
「……はぁ」
あれからまだ1週間も経っていないんだ。
(そう簡単に、嫌な記憶が消えて無くなるわけじゃないってことか……)
とにかく、今は余計なことを考えるのはやめよう。
地道にLPを積み重ねて、強くなっていくしかないんだから。
◇
6日目。
この日は、道具屋でマジックポーションを1個、水晶ジェムを10個購入してから【グラキエス氷窟】へ。
-----------------
◆水晶ジェム
・買値100アロー/売値30アロー
-----------------
昨日、あの後残りのLPをすべてMPに変換しておいた。
今後、魔法を使う機会も増えてくるはずだし、MPは多いに越したことないって思ったからだ。
これからは、クインペリー相手に魔法をどんどん使っていくぞ。
(……のつもりだったんだけど)
まさか、まだスライムが残っていたなんて。
クインペリーが出現するフロアへ降りるまでの間、スライムをなんと4体も討伐することに成功。
昨日、あれだけ探し回ってもなかなか見つからなかったのに、諦めた途端に発見できてしまった。
とにかく、まだスライムが残っていたのはありがたいことだった。
ドカーンッ!!
「ピゲェェッ~~!?」
そんなことを考えているうちに、《ファイヤーボウル》がクインペリーに直撃する。
「よっしゃ! これで3体目!」
不意打ちを食らい、黒焦げとなったクインペリー。
申し訳ないけど、これもLPを増やすために必要な行為なんだ。ごめん……。
ちょっとだけ罪悪感を抱きつつも、両手をかざしてLPを吸い上げる。
クインペリーは光とともに、僕の手のひらへと吸い込まれていった。
「これでLP11か。そうだな。キリがいいから全部MPに振り分けちゃおう」
水晶ディスプレイを立ち上げると、指で弾いて指示を送る。
『【MP】にLPを10振り分けました。現在、あなたの【MP】最大値は30です』
アナウンス画面を確認すると、待ってましたと言わんばかりに、このタイミングでマジックポーションを使用する。
これまでは、MPの回復量的にマジックポーションを使うのがもったいない気がしていたけど、今回からMPが30回復してちょうどいい感じ。
MPが全回復したところで、僕はさらに下の階層を目指して進んで行った。
「えっ? あ……えっと、ちょっと食欲がなくて……」
「なんかノエルだけこんないっぱい食べて悪いよ。それにお兄ちゃん、毎日ダンジョンに行ってるのにそれだけしか食べてなくて、いつか倒れるんじゃないかってノエル心配だよぉ……」
「へーきへーき。いざとなったら、氷柱から水を摂取してお腹満たすこともできるから」
「氷柱? 【テネブラエ呪城】って、そんな寒いところだっけ? 本にはたしか、煮えたぎる毒の沼がいっぱい存在するって書いてあったよーな……」
「あ、ははは! ごめんっ! ちょっと今日は疲れたから先に部屋に戻るね、んじゃ……!」
「お、お兄ちゃんっ!?」
バタンッ!
返事も待たずに自室へ飛び込む。
ふぅ、危なかった……。
(ノエルがダンジョンに詳しいことすっかり忘れてた)
ノエルは書物を読むのが好きで、ダンジョンについての知識もかなり豊富だったりする。
たまに、ノエルからダンジョンの情報を訊くこともあるし。
こうやって下手な発言をすると、簡単に墓穴を掘っちゃうから注意しないと……。
ぎゅるる~。
そんなことを考えていると、腹の虫が盛大に鳴った。
「……はぁ。でも、たしかにノエルの言う通り、さすがに毎日パン1つだけってキツいな」
食べ物のことを考えたら、めちゃくちゃお腹が空いてくる。
けど今はまだガマンの時だ。食費にお金を使うくらいなら、マジックポーションや水晶ジェムの購入費に回した方がいい。
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[ナード]
LP5
HP37/50
MP5/16
攻1
防1(+5)
魔攻1
魔防1
素早さ1
幸運1
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットβ】>
<バフトリガー【OFF】>
属性魔法:《ファイヤーボウル》
無属性魔法:
攻撃系スキル:
補助系スキル:《分析》
武器:
防具:毛皮の服
アイテム:
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:5,700アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:E級魔獣39体
状態:
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水晶ディスプレイを立ち上げると、いつものように自分のステータスを確認する。
これはいわば、1日の終わりの点検作業のようなものだ。欠かすことはできない。
「魔法を習得したことは心強いんだけど」
それでも、まだこの状態でボス魔獣を倒せるかは未知数だった。
そろそろ【攻撃系スキル】も覚えておきたいところなんだけど、武器を買うってなると金銭的なハードルが上がる。
今日は、武器を買っておくべきだったなんて思ったけど、実際あの時は、初級魔法を覚えるのが最良の選択だったって思う。
魔法は水晶ジェムさえあれば、発動させることができるわけだから。
何にしても、今の所持金だとできることにも限りがあるのが現状だ。
「早くE級ダンジョンをクリアしないとだよね」
E級魔光石ももちろん価値があるんだけど、実は初回クリア報酬の方が目当てだったりする。
なぜなら、初回クリア報酬で手に入るアイテムはどれも貴重な物ばかりで、大金に換えることができるから。
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・B級ダンジョン
【天空のティアラ】=1億アロー
・C級ダンジョン
【ヴァルキリーの聖弓】=1000万アロー
・D級ダンジョン
【クリスタルキングクロー】=100万アロー
・E級ダンジョン
【木霊のホットストーン】=10万アロー
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シルワの冒険者ギルドだと、初回クリア報酬はこんな感じで設定されている。
初回クリア報酬は、タイクーンとしてその階級のダンジョンを初めてクリアした時に貰えて、僕みたいに以前に別のパーティーに参加していて、改めてタイクーンとしてダンジョンに挑む場合でも、この報酬は受け取れるようになっている。
そして、嬉しいのが、これは国ごとによってリセットされるっていう点だ。
たとえば、一流冒険者の証の所有者が、他の国へ行ってもう一度同じ階級のダンジョンをクリアした場合でも、その国の初回クリア報酬を受け取ることができる。
これが、一流冒険者の証を所有している冒険者の一番の旨味って言われているんだよね。
だって、色々な国へ行って、その国が管轄するE級ダンジョンをクリアするだけでも、初回クリア報酬が貰えちゃうわけだし。
ちなみに、どの国でもA級ダンジョンは初回クリア報酬は用意されていなくて、踏破したパーティーメンバー全員に、一流冒険者の証が送られることになっている。
冒険者は、この初回クリア報酬をどれだけ手に入れることができるかが、豊かな暮らしができる条件だって考えている場合が多い。
でも実際には、E級~B級までの初回クリア報酬を手にする者は一握りだ。
特にB級ダンジョンの初回クリア報酬は一番入手が難しくて、シルワの冒険者ギルドだと、天空のティアラっていう――
〝いいなぁ~天空のティアラ。あれ憧れだよぉ。一度でいいから付けてみたい!〟
〝セシリアちゃんなら絶対に似合うよ! だって、あんな美人さんなんだもん♪〟
(っ!)
その瞬間、この前ノエルに言われた言葉がフラッシュバックする。
それと同時に、追放されたあの最悪な日の出来事をまた思い出してしまった。
「……はぁ」
あれからまだ1週間も経っていないんだ。
(そう簡単に、嫌な記憶が消えて無くなるわけじゃないってことか……)
とにかく、今は余計なことを考えるのはやめよう。
地道にLPを積み重ねて、強くなっていくしかないんだから。
◇
6日目。
この日は、道具屋でマジックポーションを1個、水晶ジェムを10個購入してから【グラキエス氷窟】へ。
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◆水晶ジェム
・買値100アロー/売値30アロー
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昨日、あの後残りのLPをすべてMPに変換しておいた。
今後、魔法を使う機会も増えてくるはずだし、MPは多いに越したことないって思ったからだ。
これからは、クインペリー相手に魔法をどんどん使っていくぞ。
(……のつもりだったんだけど)
まさか、まだスライムが残っていたなんて。
クインペリーが出現するフロアへ降りるまでの間、スライムをなんと4体も討伐することに成功。
昨日、あれだけ探し回ってもなかなか見つからなかったのに、諦めた途端に発見できてしまった。
とにかく、まだスライムが残っていたのはありがたいことだった。
ドカーンッ!!
「ピゲェェッ~~!?」
そんなことを考えているうちに、《ファイヤーボウル》がクインペリーに直撃する。
「よっしゃ! これで3体目!」
不意打ちを食らい、黒焦げとなったクインペリー。
申し訳ないけど、これもLPを増やすために必要な行為なんだ。ごめん……。
ちょっとだけ罪悪感を抱きつつも、両手をかざしてLPを吸い上げる。
クインペリーは光とともに、僕の手のひらへと吸い込まれていった。
「これでLP11か。そうだな。キリがいいから全部MPに振り分けちゃおう」
水晶ディスプレイを立ち上げると、指で弾いて指示を送る。
『【MP】にLPを10振り分けました。現在、あなたの【MP】最大値は30です』
アナウンス画面を確認すると、待ってましたと言わんばかりに、このタイミングでマジックポーションを使用する。
これまでは、MPの回復量的にマジックポーションを使うのがもったいない気がしていたけど、今回からMPが30回復してちょうどいい感じ。
MPが全回復したところで、僕はさらに下の階層を目指して進んで行った。
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