復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ

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第28話

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 【プロケッラ風穴】攻略2日目。
 僕はギルムと対峙しつつ、焦っていた。

(なんで!? 直撃だったはず……!)

 《サンダーストライク》を当ててもギルムは倒れない。
 昨日は、瞬殺だったのに!

 そんな風に混乱していると

「ギギギギギッ!」

「っ!?」

 不意にギルムの体当たりを受けてしまう。

 ビューーーッ!

 ちょうどそんなタイミングで風穴からも突風が吹き上がり、僕は追撃のチャンスを完全に失ってしまった。

 一度態勢を立て直すために、ギルムから素早く距離を取ると、ビーナスのしずくに触れる。
 開いた水晶ディスプレイをかざして、《分析アナライズ》をタップ。

-----------------

[ギルム]
LP15
HP362/450
MP20/20
攻40
防40
魔攻30
魔防35
素早さ5
幸運5

-----------------

(HPがほとんど減ってない!? どうして……)

 仕方がないので、ホルスターからウルフダガーを引き抜くと、突風が止む瞬間を見計らって《ソードブレイク》を2発撃ち込み、なんとか討伐することに成功する。

 <アブソープション>で相手のLPを吸い上げてから、僕は自分のステータスを確認した。

-----------------

[ナード]
LP26
HP150/150
MP117/130
攻110(+15)
防110(+25)
魔攻110
魔防110
素早さ110
幸運110
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットβ】>
<バフトリガー【ON】>
属性魔法:
《ファイヤーボウル》
《サンダーストライク》《プラズマオーディン》
無属性魔法:
《ヒール》《ヒールプラス》《瞬間移動テレポート
攻撃系スキル:<片手剣術>-《ソードブレイク》
補助系スキル:
《分析》《投紋キャスティング
《アルファウォール》《風のカーテン》
武器:ウルフダガー
防具:革の鎧、バックラー、シルバーグラブ
アイテム:
ポーション×23、ダブルポーション×2
マジックポーション×18、マジックポッド×1
水晶ジェム×38、鋭い牙×11
貴重品:ビーナスのしずく×1
所持金:9,300アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥バードオブリベリオン
討伐数:
E級魔獣80体、E級大魔獣1体、C 級魔獣15体
状態:ランダム状態上昇<全魔法・被ダメージ半減>

-----------------

 すぐに、そこに表示された違和感に気付いた。

「<全魔法・被ダメージ半減>? 昨日と内容が変わってる……!」

 でも、そっか。
 <バフトリガー>のランダム状態上昇の内容は毎日変わるんだった。

 つまり、10倍ダメージの恩恵を受けられなくなったから、《サンダーストライク》でギルムを倒せなくなっちゃったってことかな。
 くぅぅ……。せっかく《プラズマオーディン》 を覚えたのに……。

 ちょっとだけ残念に思いつつも、<全魔法・被ダメージ半減>もなかなかぶっ飛んだ内容だってことに気付く。
 《風のカーテン》を上掛けすれば、ビーストクルーザーの風魔法も十分に防げるに違いない。

「けど、バフがない以上、《サンダーストライク》はほとんど役に立たないかも」

 雷魔法はグループ攻撃だから威力自体は低い。
 昨日は、グループ攻撃ってことが利点になっていたけど、ランダム状態上昇の恩恵がないなら、わざわざ威力の低い《サンダーストライク》を使うメリットはなかった。

「ギルムが単体で現れた時は、攻撃を避けながら《ソードブレイク》を3回繰り出して倒して、グループで現れた時は、《プラズマオーディン》 を2回詠唱して倒す……と。今のところこれが一番効率的かなぁ……」

 単純に、昨日よりもギルムを倒すハードルが上がってしまったけど、マザーヴァファローやビーストクルーザーを相手にするよりはまだマシだ。
 このダンジョンでLPを稼ぐなら、ギルム以外に最適な魔獣はいない。

 今後の方針を決めたところで、先へ進むことにした。



 ◇



 それから1時間近くかけてダンジョンを探索しつつ、この間にギルムを7体撃破することに成功する。

-----------------

〇結果

◆魔獣討伐数
・ギルム×7

◆ドロップアイテム
・ポーション×7
・ダブルポーション×1
・マジックポーション×5
・水晶ジェム×6
・鋭い牙×5
・銅貨×2
・青銅貨×18

-----------------

「〝アブソープション〟」

 両手をかざすと、倒れたギルムが光とともに手のひらへと吸い込まれていく。
 これでLP+105。

 正直、このペースでLPが増えると嬉しいんだけど、案の定というか、徐々に見かけるギルムの数が少なくなってきた。もっといっぱい討伐したいのに。

「……いや、ここは一旦冷静になろう。僕はべつにギルムを狩るためにここまで来たわけじゃない。このダンジョンをクリアするためにやって来たんだよね?」

 自分にそう言い聞かせると、熱くなっていた気持ちが落ちついてくる。

 ひとまず、マジックポーションを5つ使ってMPを全回復させると、気を引き締めてマザーヴァファローがいるエリアへと降りていく。



 ◇



「今日は、昨日と同じ手には引っかからないから……」

 1人で呟きつつ、慎重に周囲を見渡しながらゆっくりと歩く。
 突風が止むのを待って、耳を澄ませてみるも

(……おかしいな。なんでだろう?)

 しばらく進んでも、昨日のようにマザーヴァファローが壁に向かって激突を繰り返す物音が聞こえてこない。
 辺りはしーんと静まり返っていて、魔獣の気配をまったく感じられなかった。



 それからさらに30分近く歩き回っても結果は同じだった。

「なんかおかしいよ、絶対」

 これまでいろいろなダンジョンに入ってきたけど、30分歩いて魔獣と1体も遭遇しないなんてことは一度もなかった。

 考えられる可能性は……。

(狩りつくされた?)

 でも、僕は昨日このダンジョンに入ったばかりだ。それにマザーヴァファローは1体も討伐していない。

 どこか不思議な気分になりながら、さらに下のフロアへと降りてみることに。

 ――その時。

「?」

 風穴から吹き上がる音に混じって、何か物音が聞こえることに気付く。
 昨日のように激しい音じゃない。耳をよく澄ませないと、聞き逃してしまいそうなほどのか細い音だった。

「……声?」

 誰かが何かを叫んでいる? 

(いや、ちょっと待って。なんでここに人が……)

 少し戸惑いを覚えつつ、さらに耳を澄ませていると

(――ッ!? やっぱり人の声だ!)

 助けを求める切迫した声が、重なり合うようにして聞こえてくる。
 
 考えるのは後だ!
 僕は、助けを呼ぶ声がする方へ向かって、全速力で駆け出していた。
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