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第36話
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「果てしなき闇の奥底へと沈め! 片手剣術上級技――《グラビティサザンクロス》!!」
「ヒャゴォォォオォォッーー!?」
英霊の短刀をズバッと振り抜くと、B級ボスのバーストヴァンパイアは真っ二つに引き裂かれた。
「……よし、倒せたぞ!」
ドロップしたB級魔光石を拾って、いつものように<アブソープション>でボス魔獣のLPをギリギリまで吸い上げる。
その後、《瞬間移動》で【テネブラエ呪城】の外まで戻ってしまうと、そこでようやく一息ついた。
「ふぅ、疲れたぁ~」
これでB級ダンジョンのクリアは3度目だ。
この1週間、複数のB級ダンジョンのクエストを一気に受注して、すべて周ってしまうことに決めていた。
遠くのダンジョンにまで遠征することになっちゃったから、途中、シーカーキャンプのロッジに泊まりながらの攻略になっている。
少しの間、アパートを空けることになるから、ノエルのことが心配だったんだけど、『冒険者の仕事はダンジョンをいっぱいクリアすることだよ、お兄ちゃん!』と逆に背中を押されてしまった。
結果を楽しみに待ってくれているノエルのためにも、あとひと踏ん張り頑張りたいところ。
「でも、さすがにB級ダンジョンに連続で入るのはしんどいよね」
想像以上に気力を消耗していたのかもしれない。
そのままダンジョン前の草むらにぐったりと倒れ込む。
「というか、我ながらよくやってるよ。僕……」
ここまでソロでやってこられたのは、<バフトリガー>の力が大きい。
その日によって使う魔法や技を切り替えながら、なんとかここまで乗り切ってきた。
横になったままビーナスのしずくに触れて、水晶ディスプレイを立ち上げる。
-----------------
[ナード]
LP484
HP38/300
MP200/200
攻300(+40)
防300(+95)
魔攻300(+5)
魔防300(+10)
素早さ300
幸運300(+5)
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットβ】>
<バフトリガー【ON】>
属性魔法:
《ファイヤーボウル》《デモンズフレイム》
《ファイナルボルケーノ》
《サンダーストライク》《プラズマオーディン》
《ライトニングヘブン》
《サイレントカッター》《ブラックサイクロン》
《エターナルストーム》
《フリーズウォーター》《バブルハウリング》
《ブルーリヴァイアサン》
無属性魔法:
《ヒール》《ヒールプラス》
《フルキュア》《ニルオール》
《サードライズ》《超集中》
《瞬間移動》《環境適応》
攻撃系スキル:
<体術>-《あばれ倒し》-《秘技・天翔蹴り》
-《爆烈神覇・絶影掌》
<片手剣術>-《ソードブレイク》-《鷹回剣》
-《グラビティサザンクロス》
<斧術>-《メテオスピン》-《無双炎車輪》
-《終焉の大斧》
補助系スキル:
《分析》《投紋》《調薬》
《高速詠唱》
《アルファウォール》《オメガウォール》
《ソリッドシェルター》
《ディフェンスクラッシュ》
《火のカーテン》《雷のカーテン》
《風のカーテン》《水のカーテン》
武器:英霊の短刀
防具:
超強化装甲、上帝の盾
太陽の兜、ミスリルグローブ
アイテム:
ポーション×114、ダブルポーション×33
マジックポーション×87、マジックポッド×15
エリクサー×1、水晶ジェム×165
獣角の砂×23、上級魔獣の皮×18
妖精草×12、シルバーアイ×9
夜蟲の結晶×7、黒の鉱石×11
オーロラメダル×6、大きな樹木×6
ウロボロスアクス×1
貴重品:ビーナスのしずく×1、B級魔光石×3
所持金:530,245アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:
E級魔獣80体、E級大魔獣1体
C 級魔獣54体、C級大魔獣1体
B級魔獣137体、B級大魔獣3体
状態:ランダム状態上昇<消費MP0>
-----------------
「改めて見ると、壮観だなぁ」
自分のステータスを見て、思わず笑みがこぼれてしまう。
どうしてB級ダンジョンを周回することに決めたかっていうと、こんな風にステータスを充実させることが目的だったわけで。
これまでの期間は、LPを大量に消費して、魔法とスキルをどんどん習得することに専念していた。
おかげで、今はこんな感じにめちゃくちゃ充実している。
これなら、どんな相手が来ても、それなりに対応できちゃいそうだ。
強くなれば魔獣が倒せるようになるし、魔獣を倒せばさらに強くなるしで、すでに好循環のループに突入中。
この調子でLPを増やしていけば、A級ダンジョンの踏破も夢じゃないよね。
パーティーを追放されて、これからどうすればいいかまったく分からなかったあの日からは、想像もつかなかったような状況だ。
(これまでは、自分が強くなることだけに必死だったけど……)
ふとその時。
この前、ケルヴィンに言われた一言が頭の中に浮かぶ。
〝今のあなたなら、セシリアさんやダコタさんを越えられるはずです〟
そうか……。
記憶の隅に追いやって、意図的に考えないようにしてきたけど、今の僕ならあの2人に復讐することも可能かもしれない。
ダコタには昔から散々いじめられてきたし、セシリアには完膚なきまでに裏切られた。
(追放されたあの日から、僕の人生は大きく変わっていったんだ)
あの時の悔しさを忘れたことは一度もない。
真っ暗な大海原に1人だけ放り込まれたような気分で、上か下かも分からない状態で、死に物狂いで、もがいてもがいて……。
それでなんとか、一筋の光を見つけることができたんだ。
これまで諦めずに走り続けてきた自分を褒めてあげたいくらいだった。
(……とにかく、この国から出て行く前には、あの2人と何かしらの決着をつけないと)
両手で顔をパン!と叩いて起き上がる。
「この調子で明日からもB級ダンジョンの攻略を頑張るぞ~!」
オレンジ色の夕空に向けて叫ぶと、僕はさらに気合いを入れた。
◇
「クソが……!」
ダコタはペッと地面に唾を吐きつける。
D級ダンジョン【カエルム戦丘】をソロでクリアした帰り道のことだ。
(このままチマチマとD級魔光石を集めたところで、大した金にはならねぇんだよッ……)
かといって、C級ダンジョンをソロでクリアできるほどの力はダコタにはなかった。
今さら他のパーティーに参加するなんてことも考えられない。
ダコタもまたセシリア同様に、巨大すぎる虚栄心が足かせとなっていた。
LPは下がり続けるのがこの世界の掟だ。
最終的には、E級ダンジョンしか入れなくなる運命が待っている。
「……チッ、胸糞悪いぜ……。あの寄生虫はC級をクリアしたってのによ……」
なぜ、自分はそれができないのか。
ナードがとんでもない力に目覚めた可能性に気付きつつも、ダコタはそれを認めることができずにいた。
(インチキだ! 絶対そうに決まってやがる! でなけりゃ、あんなクソがソロでC級をクリアできるはずがねぇ……!)
昔からダコタはナードのことが嫌いだった。
両親のいない孤児のくせに、弱音を一切吐くことなく、周りにすんなりと溶け込んでいたナードが、ダコタの目にはとても目障りに映った。
理由なんてほかにない。
ただ単純に、下劣な存在が毎日笑顔で過ごしていることが気に入らなかったのだ。
何度もいたぶってはいじめた。
貴族出身のセシリアが、いつもナードと一緒にいたことも毎回気に入らなかった。
もちろん、それが周りに向けたパフォーマンスだということはダコタも分かっていた。
だが、いくら多額の助成金が出るとはいえ、ナードの指南役をわざわざ買って出なくてもいいじゃないか。
そんな風に、ダコタはそのことすらも快く思っていなかった。
だから、陰でセシリアと付き合うようになったのは、ナードに対する当てつけのようなところがあった。
自分はあの軟弱な男よりも断然優れているし、すべてを手にしている。
成人の儀式でも高いステータスを授かって、ナードへの対抗心は消えたかに思えた。
だが。
ここへ来て、また昔のような感情がダコタの中に戻ってしまっていた。
〝少なくとも今のダコタよりは、ナードの方が役に立ちそうだから〟
先日セシリアに言われたその言葉が脳裏によぎり、ダコタは苛立ちをおさえきれず、さらに唾をその場に吐きつけた。
(俺がアイツよりも劣ってるなんて、んなこと……あるはずがねぇんだよッ!)
自分はナードよりも優れているということを、どうにかしてセシリアに証明する必要があった。
一度ビーナスのしずくに触れると、ダコタは水晶ディスプレイに表示された自身のステータスを確認する。
-----------------
[ダコタ]
LP27
HP134/200
MP58/100
攻70(+35)
防70(+65)
魔攻70
魔防70(+30)
素早さ70
幸運50
ユニークスキル:<武器創造>
属性魔法:《サンダーストライク》
無属性魔法:《ファーストライズ》
攻撃系スキル:
<両手剣術>-《オーバーストライク》-《皇殺斬》
補助系スキル:《分析》《調薬》
武器:シャドウブレード・改
防具:
聖戦士の鎧、メビウスシールド
大蛇のヘッドギア、ミスリルグローブ
アイテム:
ポーション×187、ダブルポーション×64
マジックポーション×98、マジックポッド×20
エリクサー×3、水晶ジェム×190
大貝のかけら×15、鋭い牙×11
獣角の砂×10、いかずち玉×7
黒の鉱石×4、魔力油×4
オーロラメダル×1、巨神龍のうろこ×1
貴重品:ビーナスのしずく×1、D級魔光石×1
所持金:8,387,319アロー
所属パーティー:隻眼の運び手
討伐数:
E級魔獣504体、E級大魔獣7体
D級魔獣351体、D級大魔獣6体
C級魔獣30体、B級魔獣11体
A級魔獣2体
状態:
-----------------
いまいち強くなりきれない理由は1つしかない、とダコタは思う。
(まだ<武器創造>を活かしきれてねぇんだ……)
この<武器創造>というユニークスキルは、一級鍛冶屋が所持しているスキルで、世間的にはレアスキルの部類に入る。
勇者フェイトも、魔王軍の四天王である竜神ゴルゴーンとの戦いに際し、一級鍛冶屋に魔剣デュエルヴァーミリオンを作らせたという伝承が残っている。
それさえ作ることができれば、ナードに勝てるに違いないとダコタは考えていた。
「クソ……。素材さえ集まれば、俺だって作れるのによ」
魔剣デュエルヴァーミリオンの創造に必要な素材は3点。
悪夢炉、巨神龍のうろこ、オリハルコンだ。
このうち巨神龍のうろこは、【エクスハラティオ炎洞殿】を探索している際に、ダコタは入手している。
だが、残りの悪夢炉とオリハルコンは、どちらもS級素材に分類され、S級ダンジョンでないと見つけることは難しいと言われている。
「あとは、買うしかないが……そんな大金持ってねぇしな」
悪夢炉もオリハルコンも非常に貴重なアイテムのため、1つ5千万アローはすると言われている。
ダコタの全財産をつぎ込んでも、購入することは叶わない。
が。
(……いや、待てよ。買えねぇなら、盗めばいいじゃねぇか!)
冒険者ギルドの質屋金庫に、数点のS級素材が保管されているという話を聞いたことがあったのをダコタは思い出していた。
ひょっとすると、その中に悪夢炉とオリハルコンも保管されているかもしれない。
(もう俺の評判は地に落ちてんだ。今さら怖いもんなんてあるかよ)
ダコタは1人ほくそ笑むと、青空に向けて白い歯を覗かせる。
「待ってろ、ナード! ボコボコにぶちのめして、てめーの人生を終わらせてやる!」
「ヒャゴォォォオォォッーー!?」
英霊の短刀をズバッと振り抜くと、B級ボスのバーストヴァンパイアは真っ二つに引き裂かれた。
「……よし、倒せたぞ!」
ドロップしたB級魔光石を拾って、いつものように<アブソープション>でボス魔獣のLPをギリギリまで吸い上げる。
その後、《瞬間移動》で【テネブラエ呪城】の外まで戻ってしまうと、そこでようやく一息ついた。
「ふぅ、疲れたぁ~」
これでB級ダンジョンのクリアは3度目だ。
この1週間、複数のB級ダンジョンのクエストを一気に受注して、すべて周ってしまうことに決めていた。
遠くのダンジョンにまで遠征することになっちゃったから、途中、シーカーキャンプのロッジに泊まりながらの攻略になっている。
少しの間、アパートを空けることになるから、ノエルのことが心配だったんだけど、『冒険者の仕事はダンジョンをいっぱいクリアすることだよ、お兄ちゃん!』と逆に背中を押されてしまった。
結果を楽しみに待ってくれているノエルのためにも、あとひと踏ん張り頑張りたいところ。
「でも、さすがにB級ダンジョンに連続で入るのはしんどいよね」
想像以上に気力を消耗していたのかもしれない。
そのままダンジョン前の草むらにぐったりと倒れ込む。
「というか、我ながらよくやってるよ。僕……」
ここまでソロでやってこられたのは、<バフトリガー>の力が大きい。
その日によって使う魔法や技を切り替えながら、なんとかここまで乗り切ってきた。
横になったままビーナスのしずくに触れて、水晶ディスプレイを立ち上げる。
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[ナード]
LP484
HP38/300
MP200/200
攻300(+40)
防300(+95)
魔攻300(+5)
魔防300(+10)
素早さ300
幸運300(+5)
ユニークスキル:
<アブソープション【スロットβ】>
<バフトリガー【ON】>
属性魔法:
《ファイヤーボウル》《デモンズフレイム》
《ファイナルボルケーノ》
《サンダーストライク》《プラズマオーディン》
《ライトニングヘブン》
《サイレントカッター》《ブラックサイクロン》
《エターナルストーム》
《フリーズウォーター》《バブルハウリング》
《ブルーリヴァイアサン》
無属性魔法:
《ヒール》《ヒールプラス》
《フルキュア》《ニルオール》
《サードライズ》《超集中》
《瞬間移動》《環境適応》
攻撃系スキル:
<体術>-《あばれ倒し》-《秘技・天翔蹴り》
-《爆烈神覇・絶影掌》
<片手剣術>-《ソードブレイク》-《鷹回剣》
-《グラビティサザンクロス》
<斧術>-《メテオスピン》-《無双炎車輪》
-《終焉の大斧》
補助系スキル:
《分析》《投紋》《調薬》
《高速詠唱》
《アルファウォール》《オメガウォール》
《ソリッドシェルター》
《ディフェンスクラッシュ》
《火のカーテン》《雷のカーテン》
《風のカーテン》《水のカーテン》
武器:英霊の短刀
防具:
超強化装甲、上帝の盾
太陽の兜、ミスリルグローブ
アイテム:
ポーション×114、ダブルポーション×33
マジックポーション×87、マジックポッド×15
エリクサー×1、水晶ジェム×165
獣角の砂×23、上級魔獣の皮×18
妖精草×12、シルバーアイ×9
夜蟲の結晶×7、黒の鉱石×11
オーロラメダル×6、大きな樹木×6
ウロボロスアクス×1
貴重品:ビーナスのしずく×1、B級魔光石×3
所持金:530,245アロー
所属パーティー:叛逆の渡り鳥
討伐数:
E級魔獣80体、E級大魔獣1体
C 級魔獣54体、C級大魔獣1体
B級魔獣137体、B級大魔獣3体
状態:ランダム状態上昇<消費MP0>
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「改めて見ると、壮観だなぁ」
自分のステータスを見て、思わず笑みがこぼれてしまう。
どうしてB級ダンジョンを周回することに決めたかっていうと、こんな風にステータスを充実させることが目的だったわけで。
これまでの期間は、LPを大量に消費して、魔法とスキルをどんどん習得することに専念していた。
おかげで、今はこんな感じにめちゃくちゃ充実している。
これなら、どんな相手が来ても、それなりに対応できちゃいそうだ。
強くなれば魔獣が倒せるようになるし、魔獣を倒せばさらに強くなるしで、すでに好循環のループに突入中。
この調子でLPを増やしていけば、A級ダンジョンの踏破も夢じゃないよね。
パーティーを追放されて、これからどうすればいいかまったく分からなかったあの日からは、想像もつかなかったような状況だ。
(これまでは、自分が強くなることだけに必死だったけど……)
ふとその時。
この前、ケルヴィンに言われた一言が頭の中に浮かぶ。
〝今のあなたなら、セシリアさんやダコタさんを越えられるはずです〟
そうか……。
記憶の隅に追いやって、意図的に考えないようにしてきたけど、今の僕ならあの2人に復讐することも可能かもしれない。
ダコタには昔から散々いじめられてきたし、セシリアには完膚なきまでに裏切られた。
(追放されたあの日から、僕の人生は大きく変わっていったんだ)
あの時の悔しさを忘れたことは一度もない。
真っ暗な大海原に1人だけ放り込まれたような気分で、上か下かも分からない状態で、死に物狂いで、もがいてもがいて……。
それでなんとか、一筋の光を見つけることができたんだ。
これまで諦めずに走り続けてきた自分を褒めてあげたいくらいだった。
(……とにかく、この国から出て行く前には、あの2人と何かしらの決着をつけないと)
両手で顔をパン!と叩いて起き上がる。
「この調子で明日からもB級ダンジョンの攻略を頑張るぞ~!」
オレンジ色の夕空に向けて叫ぶと、僕はさらに気合いを入れた。
◇
「クソが……!」
ダコタはペッと地面に唾を吐きつける。
D級ダンジョン【カエルム戦丘】をソロでクリアした帰り道のことだ。
(このままチマチマとD級魔光石を集めたところで、大した金にはならねぇんだよッ……)
かといって、C級ダンジョンをソロでクリアできるほどの力はダコタにはなかった。
今さら他のパーティーに参加するなんてことも考えられない。
ダコタもまたセシリア同様に、巨大すぎる虚栄心が足かせとなっていた。
LPは下がり続けるのがこの世界の掟だ。
最終的には、E級ダンジョンしか入れなくなる運命が待っている。
「……チッ、胸糞悪いぜ……。あの寄生虫はC級をクリアしたってのによ……」
なぜ、自分はそれができないのか。
ナードがとんでもない力に目覚めた可能性に気付きつつも、ダコタはそれを認めることができずにいた。
(インチキだ! 絶対そうに決まってやがる! でなけりゃ、あんなクソがソロでC級をクリアできるはずがねぇ……!)
昔からダコタはナードのことが嫌いだった。
両親のいない孤児のくせに、弱音を一切吐くことなく、周りにすんなりと溶け込んでいたナードが、ダコタの目にはとても目障りに映った。
理由なんてほかにない。
ただ単純に、下劣な存在が毎日笑顔で過ごしていることが気に入らなかったのだ。
何度もいたぶってはいじめた。
貴族出身のセシリアが、いつもナードと一緒にいたことも毎回気に入らなかった。
もちろん、それが周りに向けたパフォーマンスだということはダコタも分かっていた。
だが、いくら多額の助成金が出るとはいえ、ナードの指南役をわざわざ買って出なくてもいいじゃないか。
そんな風に、ダコタはそのことすらも快く思っていなかった。
だから、陰でセシリアと付き合うようになったのは、ナードに対する当てつけのようなところがあった。
自分はあの軟弱な男よりも断然優れているし、すべてを手にしている。
成人の儀式でも高いステータスを授かって、ナードへの対抗心は消えたかに思えた。
だが。
ここへ来て、また昔のような感情がダコタの中に戻ってしまっていた。
〝少なくとも今のダコタよりは、ナードの方が役に立ちそうだから〟
先日セシリアに言われたその言葉が脳裏によぎり、ダコタは苛立ちをおさえきれず、さらに唾をその場に吐きつけた。
(俺がアイツよりも劣ってるなんて、んなこと……あるはずがねぇんだよッ!)
自分はナードよりも優れているということを、どうにかしてセシリアに証明する必要があった。
一度ビーナスのしずくに触れると、ダコタは水晶ディスプレイに表示された自身のステータスを確認する。
-----------------
[ダコタ]
LP27
HP134/200
MP58/100
攻70(+35)
防70(+65)
魔攻70
魔防70(+30)
素早さ70
幸運50
ユニークスキル:<武器創造>
属性魔法:《サンダーストライク》
無属性魔法:《ファーストライズ》
攻撃系スキル:
<両手剣術>-《オーバーストライク》-《皇殺斬》
補助系スキル:《分析》《調薬》
武器:シャドウブレード・改
防具:
聖戦士の鎧、メビウスシールド
大蛇のヘッドギア、ミスリルグローブ
アイテム:
ポーション×187、ダブルポーション×64
マジックポーション×98、マジックポッド×20
エリクサー×3、水晶ジェム×190
大貝のかけら×15、鋭い牙×11
獣角の砂×10、いかずち玉×7
黒の鉱石×4、魔力油×4
オーロラメダル×1、巨神龍のうろこ×1
貴重品:ビーナスのしずく×1、D級魔光石×1
所持金:8,387,319アロー
所属パーティー:隻眼の運び手
討伐数:
E級魔獣504体、E級大魔獣7体
D級魔獣351体、D級大魔獣6体
C級魔獣30体、B級魔獣11体
A級魔獣2体
状態:
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いまいち強くなりきれない理由は1つしかない、とダコタは思う。
(まだ<武器創造>を活かしきれてねぇんだ……)
この<武器創造>というユニークスキルは、一級鍛冶屋が所持しているスキルで、世間的にはレアスキルの部類に入る。
勇者フェイトも、魔王軍の四天王である竜神ゴルゴーンとの戦いに際し、一級鍛冶屋に魔剣デュエルヴァーミリオンを作らせたという伝承が残っている。
それさえ作ることができれば、ナードに勝てるに違いないとダコタは考えていた。
「クソ……。素材さえ集まれば、俺だって作れるのによ」
魔剣デュエルヴァーミリオンの創造に必要な素材は3点。
悪夢炉、巨神龍のうろこ、オリハルコンだ。
このうち巨神龍のうろこは、【エクスハラティオ炎洞殿】を探索している際に、ダコタは入手している。
だが、残りの悪夢炉とオリハルコンは、どちらもS級素材に分類され、S級ダンジョンでないと見つけることは難しいと言われている。
「あとは、買うしかないが……そんな大金持ってねぇしな」
悪夢炉もオリハルコンも非常に貴重なアイテムのため、1つ5千万アローはすると言われている。
ダコタの全財産をつぎ込んでも、購入することは叶わない。
が。
(……いや、待てよ。買えねぇなら、盗めばいいじゃねぇか!)
冒険者ギルドの質屋金庫に、数点のS級素材が保管されているという話を聞いたことがあったのをダコタは思い出していた。
ひょっとすると、その中に悪夢炉とオリハルコンも保管されているかもしれない。
(もう俺の評判は地に落ちてんだ。今さら怖いもんなんてあるかよ)
ダコタは1人ほくそ笑むと、青空に向けて白い歯を覗かせる。
「待ってろ、ナード! ボコボコにぶちのめして、てめーの人生を終わらせてやる!」
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カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?
名無し
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「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」
「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」
「それは貴様が無能だからだ!」
「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」
「黙れ、とっととここから消えるがいい!」
それは突然の出来事だった。
SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。
そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。
「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」
「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」
「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」
ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。
その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。
「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」
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