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7. ダンジョン事情
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僕がせっせと通っていることからも分かるとおり、この世界にはダンジョンが存在している。
そして、そのダンジョンは今なお世界で増え続けている。
日本に端を発したダンジョン出現は、
しばらくの停滞期間を経て、アジア圏へと増殖を始めた。
現在ではアジア圏を中心に50基ほどが確認されており、徐々に西へ向かって広がりを見せている。
『最終的には全世界で500基ほどに上るのではないか』
そのように専門家筋は話しているらしいが、今の段階では何とも言えないところである。
ダンジョンが出現し始めた背景については現在も調査中であるが、
『地球上のマナ(魔素)が関係しているのではないか?』
一部ではこのような意見も飛び出している。
ダンジョン出現の初期プロセスとして挙げられる現象の一つに地震がある。
この地震は単発では終わらず、ダンジョンの出現場所を中心におよそ10キロメートルの範囲内で起こる
震源の浅い群発地震となる傾向にある。
その期間はおよそ6か月。
最終段階に入ると、地震の規模も大きなものとなり、
それに加え、ダンジョン内のモンスターによるスタンピードが発生してしまうのだ。
そのため、無警戒の地域では人的被害も尋常ならざる数字をたたき出している。
このことから、群発地震の発生時においては、如何に早くダンジョンの位置を特定できるか。
目下最優先の研究課題とされているのだ。
中央アジア最大級のキジルクム砂漠や、タクラマカン砂漠といった砂漠地帯でも異変が起こっていた。
砂漠の中にダンジョンが出現すると、そのダンジョンを中心に10キロの範囲が緑化されてしまったのだ。
10キロの範囲といえば、地方都市一つ分に相当する広さである。
こちらの現地では、思いも寄らないオアシスの出現に盛り上がりを見せている。
現在、ダンジョン発見のピークを迎えつつあるアジア圏であるが、
それも次第に西側へと移りゆき、
東南アジア方面や中東の一部でも、ちらほらと発見報告が上がるようになってきた。
このことから、お隣のヨーロッパ圏やアフリカ圏なども警戒地域へと突入したことになるだろう。
しかしながら、同じアジア圏においても寒冷地では動きが鈍いようで、
今までの発見報告にしても、ロシア北部などでは数えるほどである。
それと同時に、南極大陸や北欧諸国が今後どのような状態に至るのかも未知数であり、
今後の状況を周辺諸国は固唾を呑んで見守っている。
このことから、寒冷地においてはダンジョンの動きは鈍くなる。もしくは出現しないのではないかと、有識者あたりでささやかれてはいるが、こちらも現段階では何とも言えないそうだ。
そんな中、アメリカ大陸においては、
北米、南米ともに、未だ一か所もダンジョンが確認されていないそうだ。
世界の覇権を握るアメリカだけに、これにはかなりヤキモキしているのではないだろうか。
CIAなどの情報機関が、すでに裏で動いているとの噂もある。
ダンジョンの利権をめぐり争いなどに発展しなければいいのだが。
こればかりは何とも言えない。
なにせ、胡椒ひとつで戦争を起こすのが人間なのである。
ダンジョンが世界に広がることを予見していた日本。
ここ数年前よりニューギニアをはじめ、オーストラリア大陸中央部の開発にも着手していた。
『金を捨てるようなまねをして、日本はいったい何をやろうとしているのだ?』
はじめは笑って見ているだけの欧米諸国であったが、
次第に事の重大さに気づき、慌てて対策を講じようとしているものの、
自国に発生するであろうダンジョンにも対応しなければならず、
歯痒い気持ちで手をこまねいているのが現状だろう。
日本においても、【東京】【京都】【福岡】と3つのダンジョンが発見されている。
あの忌まわしいダンジョン災害から今年で10年。
死者・行方不明者合わせて1万2000人を超える大災害だったのである。
ダンジョンが起こしたであろう現象による被害が、あまりに大きかった事もあり、
『ダンジョンなんてとんでもない!』『即刻封鎖すべきだ!』
当初、このように訴える人たちも多くいたが、それも時間と共に沈静化していった。
そして、ダンジョンでしか採れない鉱物をはじめ、
珍しいマジックアイテムや魔法のスクロールなどを自衛隊がダンジョンから持ち帰り、一般に公開していくと、
世論は一気にダンジョン開放へと傾いていった。
『探索者を募り、みんなでダンジョンに潜りましょう!』
今やこのように、奨励している風潮さえ見て取れる。
特にダンジョンから持ち帰られる【魔石】は、
『クリーンで高出力のエネルギー源』であることがこのほど立証された。
今までの石油、石炭といった化石燃料や原子力エネルギーなどとは異なり、CO2を排出することもなく、また、核廃棄物のような余計なものを出すこともないのだ。
さらにモンスターを倒すことにより、低確率でドロップする【治癒ポーション】においては医療業界全体に一大センセーションを巻き起こすに至った。
『ダンジョンこそ人類の希望だ!』
最近ではそのように称える者も多く、
これらに重きを置いた日本政府は新たにダンジョンを管轄するための省庁を設置。
それに関わる法整備を急ピッチで進め、『日本ダンジョン協会』を立ち上げるに至った。
今やダンジョンは大切な資源を生みだす場として、人々に認識されつつあるのだ。
日本ダンジョン協会が発足して8年。
当初こそ『日本に国籍のある18歳以上の健康な者』であった探索者資格は、
このほど『日本に国籍のある16歳以上の健康な者』へと引き下げられた。
事前の健康診断や簡単な身辺調査に関しては従来通りであり、
これは狩猟免許などに準ずる扱いになっている。
当初は日本に3つのダンジョンが誕生したに過ぎなかったのだが、
ここ数年で、海外でもダンジョンが発見されるようになった。
その中には都市ひとつが壊滅するような被害を出した国もあり、
海外報道機関における話題は、今やダンジョン一色になりつつある。
今朝のテレビでもどこどこの国にダンジョンが発見されただの、これこれの地方では群発地震が続いているだの、
その影響をもろに受ける株価や為替は乱高下を繰り返しており、海外では大変な騒ぎとなっている。
こと日本に関していえば、
ダンジョンの発見からはすでに10年の月日が流れており、
落ち着いて、対岸の火事を見物しているといった感じであろうか。
ただ、国際社会と連動している部分も多くあるので、これからの舵取りは難しくなっていくだろう。
と、このようなことが探索者講習でもらった教本や、ダンジョン専門雑誌等に書かれている。
そして、そのダンジョンは今なお世界で増え続けている。
日本に端を発したダンジョン出現は、
しばらくの停滞期間を経て、アジア圏へと増殖を始めた。
現在ではアジア圏を中心に50基ほどが確認されており、徐々に西へ向かって広がりを見せている。
『最終的には全世界で500基ほどに上るのではないか』
そのように専門家筋は話しているらしいが、今の段階では何とも言えないところである。
ダンジョンが出現し始めた背景については現在も調査中であるが、
『地球上のマナ(魔素)が関係しているのではないか?』
一部ではこのような意見も飛び出している。
ダンジョン出現の初期プロセスとして挙げられる現象の一つに地震がある。
この地震は単発では終わらず、ダンジョンの出現場所を中心におよそ10キロメートルの範囲内で起こる
震源の浅い群発地震となる傾向にある。
その期間はおよそ6か月。
最終段階に入ると、地震の規模も大きなものとなり、
それに加え、ダンジョン内のモンスターによるスタンピードが発生してしまうのだ。
そのため、無警戒の地域では人的被害も尋常ならざる数字をたたき出している。
このことから、群発地震の発生時においては、如何に早くダンジョンの位置を特定できるか。
目下最優先の研究課題とされているのだ。
中央アジア最大級のキジルクム砂漠や、タクラマカン砂漠といった砂漠地帯でも異変が起こっていた。
砂漠の中にダンジョンが出現すると、そのダンジョンを中心に10キロの範囲が緑化されてしまったのだ。
10キロの範囲といえば、地方都市一つ分に相当する広さである。
こちらの現地では、思いも寄らないオアシスの出現に盛り上がりを見せている。
現在、ダンジョン発見のピークを迎えつつあるアジア圏であるが、
それも次第に西側へと移りゆき、
東南アジア方面や中東の一部でも、ちらほらと発見報告が上がるようになってきた。
このことから、お隣のヨーロッパ圏やアフリカ圏なども警戒地域へと突入したことになるだろう。
しかしながら、同じアジア圏においても寒冷地では動きが鈍いようで、
今までの発見報告にしても、ロシア北部などでは数えるほどである。
それと同時に、南極大陸や北欧諸国が今後どのような状態に至るのかも未知数であり、
今後の状況を周辺諸国は固唾を呑んで見守っている。
このことから、寒冷地においてはダンジョンの動きは鈍くなる。もしくは出現しないのではないかと、有識者あたりでささやかれてはいるが、こちらも現段階では何とも言えないそうだ。
そんな中、アメリカ大陸においては、
北米、南米ともに、未だ一か所もダンジョンが確認されていないそうだ。
世界の覇権を握るアメリカだけに、これにはかなりヤキモキしているのではないだろうか。
CIAなどの情報機関が、すでに裏で動いているとの噂もある。
ダンジョンの利権をめぐり争いなどに発展しなければいいのだが。
こればかりは何とも言えない。
なにせ、胡椒ひとつで戦争を起こすのが人間なのである。
ダンジョンが世界に広がることを予見していた日本。
ここ数年前よりニューギニアをはじめ、オーストラリア大陸中央部の開発にも着手していた。
『金を捨てるようなまねをして、日本はいったい何をやろうとしているのだ?』
はじめは笑って見ているだけの欧米諸国であったが、
次第に事の重大さに気づき、慌てて対策を講じようとしているものの、
自国に発生するであろうダンジョンにも対応しなければならず、
歯痒い気持ちで手をこまねいているのが現状だろう。
日本においても、【東京】【京都】【福岡】と3つのダンジョンが発見されている。
あの忌まわしいダンジョン災害から今年で10年。
死者・行方不明者合わせて1万2000人を超える大災害だったのである。
ダンジョンが起こしたであろう現象による被害が、あまりに大きかった事もあり、
『ダンジョンなんてとんでもない!』『即刻封鎖すべきだ!』
当初、このように訴える人たちも多くいたが、それも時間と共に沈静化していった。
そして、ダンジョンでしか採れない鉱物をはじめ、
珍しいマジックアイテムや魔法のスクロールなどを自衛隊がダンジョンから持ち帰り、一般に公開していくと、
世論は一気にダンジョン開放へと傾いていった。
『探索者を募り、みんなでダンジョンに潜りましょう!』
今やこのように、奨励している風潮さえ見て取れる。
特にダンジョンから持ち帰られる【魔石】は、
『クリーンで高出力のエネルギー源』であることがこのほど立証された。
今までの石油、石炭といった化石燃料や原子力エネルギーなどとは異なり、CO2を排出することもなく、また、核廃棄物のような余計なものを出すこともないのだ。
さらにモンスターを倒すことにより、低確率でドロップする【治癒ポーション】においては医療業界全体に一大センセーションを巻き起こすに至った。
『ダンジョンこそ人類の希望だ!』
最近ではそのように称える者も多く、
これらに重きを置いた日本政府は新たにダンジョンを管轄するための省庁を設置。
それに関わる法整備を急ピッチで進め、『日本ダンジョン協会』を立ち上げるに至った。
今やダンジョンは大切な資源を生みだす場として、人々に認識されつつあるのだ。
日本ダンジョン協会が発足して8年。
当初こそ『日本に国籍のある18歳以上の健康な者』であった探索者資格は、
このほど『日本に国籍のある16歳以上の健康な者』へと引き下げられた。
事前の健康診断や簡単な身辺調査に関しては従来通りであり、
これは狩猟免許などに準ずる扱いになっている。
当初は日本に3つのダンジョンが誕生したに過ぎなかったのだが、
ここ数年で、海外でもダンジョンが発見されるようになった。
その中には都市ひとつが壊滅するような被害を出した国もあり、
海外報道機関における話題は、今やダンジョン一色になりつつある。
今朝のテレビでもどこどこの国にダンジョンが発見されただの、これこれの地方では群発地震が続いているだの、
その影響をもろに受ける株価や為替は乱高下を繰り返しており、海外では大変な騒ぎとなっている。
こと日本に関していえば、
ダンジョンの発見からはすでに10年の月日が流れており、
落ち着いて、対岸の火事を見物しているといった感じであろうか。
ただ、国際社会と連動している部分も多くあるので、これからの舵取りは難しくなっていくだろう。
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