無愛想な婚約者の心の声を暴いてしまったら

雪嶺さとり

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第5話

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「やれやれまったく、世話が焼けるよ。本当に……」

会場の隅で、ノーランは事の顛末を見守っていた。
ようやくこれで万事解決だと、一息つける。

ウィラードはこちらが辟易するほどルーシャへの愛を語っていた男なのだ。
浮気なんてあるわけないと思っていたが、やはり想像通りのことになっていた。
ウィラードの恋心を利用して、その地位を狙っている女性が彼に接触していたことは知っていたが、簡単に心変わりするわけが無い。
ルーシャを言い訳に、いいようにされていただけなのだ。

(懐かしいなぁ、昔からずっとどうやってルーシャに接したらいいかって聞いてばっかりで)

研究室で手伝ってくれるのかと思いきや、ルーシャの可愛さを延々と語られるだけだったり。
ルーシャが可愛いすぎて、顔がにやけてしまうから表情を鍛えなければ、だとか言い出したり。
凛とした美しい顔も、ルーシャの好みの顔では無いかもしれないと言い出して絶望しかけていたり。
ルーシャのことになると、冷静なはずのウィラードが気狂いでもしたかのようになるのだ。

(そんなことしなくてもルーシャは君のことが好きだよって言っても信じてくれなかったしなぁ……ホント、ルーシャもウィラードもよく似てるよ)

隣国へ留学してちょっとは成長したと思っていが、肝心のルーシャへの耐性がまったく変わらないとは。
ルーシャにそれとなくウィラードは君のことが本当に好きなんだと、何度も伝えてみても、簡単には信じてくれない始末だ。
二人の間に妙な誤解があることは分かっていたが、手出しはするなと言われていたので何もしなかっただけであって、ここまで来ればさすがの自分だって手を出さざるを得なくなる。

幸せそうに寄り添う二人を見て、ノーランは踵を返していく。
それなりに素直に生きている方が、良いこともあるということだ。
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