夏から始まる

神崎

文字の大きさ
35 / 265
進展

35

しおりを挟む
 学校が終わって武生は家に変えると制服を脱ぎ、外に出る。駅へ向かうと切符を買い、電車に乗り込んだ。向かうのは中心地。
 町中に出ると、アーケードの中にはいる。そしてその片隅にひっそりとある階段を上がっていった。
「いらっしゃい。」
 薄暗い喫茶店だった。外の雑踏が嘘のように薄くジャズが流れ、コーヒーの匂いがする。
 あまり広い店内ではない。だがその奥は少し目立たないようにしきりがある。その一つに腰掛けると、向かいに座っている女性が薄く微笑んだ。
「アイスコーヒーを下さい。」
 髭の店員にそういうと、彼は何も言わずにカウンターに戻っていく。
「試験が終わったの?」
「はい。愛子さんは今日はゆっくり出来るんですか?」
「そうね。子供の迎えを今日は母に頼んだの。だから十八時までかな。さすがに夕ご飯は作らないといけないし。」
「主婦は大変ですね。」
「そうかしら。みんなやってることよ。」
 みんなこんなことをしているのだろうか。武生はそう思いながら、出てきたアイスコーヒーに口を付ける。
「今度、私の後輩を紹介するわ。」
「いつが良いか聞いて置いて下さい。都合付けますから。」
 赤い口紅を付けた口元が笑う。
 愛子という名前の女性は、年の頃はおそらく彼の義理の母よりも年上だろう。子供が二人居て、上の男の子は小学校だが、下の女の子は幼稚園。お迎えがあって、なかなか自分の時間はない。
 夫は医師でずっとセックスレスだ。それにほかに女が居るのは知っているし、その女に子供が居るのも知っている。だから自分が篭の鳥になり、彼の言いなりになる気はない。そう思って登録した出会い系サイトで、彼を見つけた。
 高校三年生。幼い顔立ちをしていて、格好良いと言うよりも可愛らしい顔立ちをしている。だがそのシャツの下を彼女は知っている。細身なのに程良く着いた筋肉や、手足の無駄な毛もない。それ以上にベッドのテクニックが極上だ。
 思い出して話しながらも、下着が濡れる。早く抱いて欲しいというかのように。

 女は期待以上のことをすると抜けられない。省吾の言葉だった。女を売って、金にしているヤクザは言うことが違う。
 だが武生はヤクザになる気はないし、あの家に閉じこもる気もない。だから体を売っていた。愛子のつてで数人の女を抱いて金を貰っている。セックスを毎日のようにして、金を貰っていない梅子の方がまだ健全だと思えた。
 町を少し離れたラブホテルで、武生は広いベッドの上で膝立ちすると、愛子のその腰を抱え上げて濡れ放題濡れている性器に自分を入れ込んだ。
「ああああ!おっきい!」
 前戯だけでも何度もイってシーツが濡れるほど潮も噴いたのに、挿入するだけでまた絶頂に達したようだった。
 彼女に言わせれば、子供を産んだら感度が良くなったという。
「愛子さん。今日何度イくの?」
「だってぇ……あぁ……んっ。そこが……そこ、感じるっ!」
 この体勢が好きだという。そっちの方が都合がいい。顔を見ないですむから。
 セックスをする度に、自分が汚いモノになるような気がする。そして菊子が知ったらなんと言うだろう。軽蔑するのだろうか。そう思うと、背徳感でさらに感情が高ぶる。
 深く挿入すると、奥のまた感じるところに当たったのだろう。ひときわ大きな声を上げた。体を少し起こすと、後ろからその大きな胸に触れる。サクランボくらいの大きさの乳首をなぞると、そこはもう固くなっていた。
「あっ!あっ!」
 胸から手を離して、腰をつかむとさらに突き上げる。そのたびに水の音がした。ぐちゃ、ぶちゅという音がして、太股もシーツもミスが垂れている。
「あっ!イク!イク!」
 すると彼女は体をけいれんさせて、さらに潮を噴いた。
 時間ぎりぎりまでセックスをしてシャワーを浴びると、彼女は口紅を落とした。普段はそんな化粧をしないのだろう。
 武生も服を着ると、彼女の唇にキスをする。口紅が写るかもしれないなんて言うことは考えないで良い、このキスの方が好きだった。
「今度また連絡する。後輩のこともあるし。」
 そういって彼女はバッグの中から封筒をとりだした。そして彼に手渡す。
「ありがとうございます。」
 中に入っているお札を確認すると、彼もバッグの中にそれをしまい込んだ。
「でも武生君。三年で今度大学でしょう?ここ離れるの?」
「えぇ。」
「寂しくなるわね。」
 本音なのかもしれない。お金を払うとは言え、セックスをする仲なのだから。
「そろそろ行かないとまずいですよね。」
「あ……そうね。」
 フリータイムの時間だから本当はゆっくり出来るのだが、彼女には子供が居る。その子供の迎えに行かないといけないのだ。
 ぐちゃぐちゃになったベッドはそのままに、彼らは部屋を出た。
 本来なら、こんなラブホテルの片隅にいるような人ではない。医者の妻として、ちゃんとシティホテルなんかに行くのが当然なのだから。だが、彼女はいつもラブホテルへ行きたがる。あまり行ったことがないからだと言うが、本音はわからない。手軽にすませられる相手がほかにもいるのだろうが、武生にはこれくらいで十分だと思っているのかもしれない。
 それでも良い。それに見合った報酬が貰えるなら、それでいいのだ。
 ホテルを出るとそのビニールの下がった車の入り口に、一台の車が入っていく。もう夕方だと思ったが、それでも珍しいと思う。
 車は白いワゴン。どこかでみた車だと思った。
「……!」
 言葉がなかった。運転席には担任の吾川が乗っていて、その隣には梅子が乗っていたからだ。
 二人とも幸せそうにほほえみ合っていた。
 だが吾川には今度二人目の子供が出来ると言っていたのに。梅子はそこまで節操なかったのかと、彼はぐっと拳を握る。
「じゃあ、武生君。またね。」
 女はのんきにそう言って、彼から離れていく。

 待ちきれないように、部屋を選んでエレベーターで上がっていくその密室でも、キスをした。
 そして部屋にはいり、ドアを閉めると同時に啓介からキスをして、梅子を抱き上げて、ベッドに押しつけた。
「梅子……ずっとこう呼びたかったのにな。」
「あたしも……ずっと啓介って呼びたかったの。」
 シャツをまくり上げると、背中に手を伸ばした。そしてこぼれるような胸が、彼の目の前に現れる。
「あっ!あっ!やだ。すごい感じる……。」
「試験の間してなかっただけなのに?」
「啓介としてから誰もさせてないもん。」
「本当に?」
「オ○ニーもしてないよ。啓介もしてない?」
「俺もしてないよ。溜まってる。」
「だったら、一回フ○ラで抜いておく?」
「いいや。もったいないだろう?」
「良いよ。啓介。今からコンドーム、足りないって電話しておく?」
「用意してあるって言っただろう?」
 彼はそう言って持ってきた荷物の中から、その箱を取り出した。彼女はそれを見て笑い、自分でシャツを脱ぎ捨てた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

【完結】ゆるぎとはな。

海月くらげ
恋愛
「せんせえ、もうシよ……?」 高校生の花奈と、聖職者であり高校教師の油留木。 普段穏やかで生徒からも人気のある油留木先生。 そんな男が花奈にだけ見せる表情がある。 教師×生徒 禁断TL小説

パート先の店長に

Rollman
恋愛
パート先の店長に。

処理中です...