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「おい、どうしたんだ睦実! って、うわぁ何でお前スッ裸になってんだよ!?」
開けっ放しの生徒会室扉向こうから、元気いっぱいに珠紀くんが登場。
だけどシャツと下着と靴下は身につけてるんだから、今の僕はスッ裸じゃなくてせいぜい薄着なくらい……だと思いたい。
それより君、目が血走ってない?
鼻息も荒いし。視線が舐めるように注がれてて、すごく居心地が悪いです。
「あ、あの。あんまり見ない、で……?」
「!!」
男同士でもそんなにジロジロ見られたら恥ずかしいよ。って、え、何?
せめて下着だけでも隠そうとシャツの裾を引っ張っていた手を、珠紀くんに掴まれました。
「痛っ……は、離して珠紀くん!」
いつも騒がしい彼にしては不自然なくらいの無言。だけど締め上げるみたいにどんどん強くなる握力。
あまりに急で訳が分からない。
他の人達も黙って見ているだけで動こうとしないし。
「嫌、あぁ……ッ」
あまりの痛みに、ぽろぽろと涙が零れた。
その途端
ゴクリッ
「――……その顔、たまんねぇ」
周囲から生唾を飲み込むような音が聞こえ、珠紀くんが呟いた。
ハッと周りを見れば、まるで獰猛な肉食動物のようにギラギラした眼差しの皆様。
それらに囲まれ、恐怖のあまり腰が抜けて座り込むトムソンガゼル(草食動物)の映像が脳裏に浮かんでしまう。
って、いや、え。
僕コロサレル?
ガタガタと震えつつ再び周囲を探れば、全員やたら鼻息が荒いです。
顔は赤く額にうっすら汗をかき、鼻の下も普段より異常に長くて気持ち悪いし。
さらには何かを揉むような、触ろうとするみたいないやらしい手つき。
っ、まさかの風紀委員長様まで!?
「や……嫌だ……こ、来ないで」
ソファーの上。
珠紀くんに腕を掴まれ逃げられない僕。
そして、こちらに向かってじりじりと近付いて来る生徒会役員さま達。
ひっ、やだ。
た、助けて。お願い助けて、もうこんなの嫌だ。
こ、怖いよおッ――……!
「そこまでにして貰おうか」
突然、他を威圧するような怒気を含んだ声が響く。
「て、帝王!?」
生徒会室の入口には、現在海外留学中だった筈の人物。
帝王こと、鬼城崇悦(きじょうたかえつ)
本人が立っていた。
「睦実に触れるな」
「がッ!?」
あっという間にこちらへ近付き、片手で珠紀くんの頭を掴むとそのまま投げ飛ばした帝王。
ベシャッと床に激突したけど、高価そうなふわふわ絨毯の上だし……大丈夫だよね。
それよりも。
「久しぶりだな睦実、俺が留守の間も良い子にして待っていたか?」
「たか、え、つ……? 崇悦、どうして。まだ帰って来られない筈じゃ」
「日本に残した睦実が心配で早目に研究を終わらせた。予定よりかなり急いだからな、また数日ほど戻ることにはなるだろうが。
何だ、俺に会えて嬉しくないのか」
「っ、嬉しい、けど」
久しぶりに生で聞くその甘い声に、さっきとは違う意味で身体が震えてしまう。
見透かすようにくすりと笑う綺麗な顔。
その瞳が僕に向けられるだけで、どうしてこんなに恥ずかしいんだろう。
照れ隠しで外した視線の先には、驚きで目を見開いた副会長さまと会計さま。
「あ、あのこれは、どういう事なんでしょうか」
「な、何で帝王がこんな平凡なんかにー?」
「おい貴様ら口を慎め、彼は帝王の婚約者さまだぞ」
「…………は!?」
風紀委員長さまの言葉に驚く、生徒会役員の皆様。
うん。
僕なんかと帝王が、しかも男同士で許婚(いいなずけ)って本当にありえないよね。
でも事実だから。
ていうか委員長さま、知ってたんだ。
.
開けっ放しの生徒会室扉向こうから、元気いっぱいに珠紀くんが登場。
だけどシャツと下着と靴下は身につけてるんだから、今の僕はスッ裸じゃなくてせいぜい薄着なくらい……だと思いたい。
それより君、目が血走ってない?
鼻息も荒いし。視線が舐めるように注がれてて、すごく居心地が悪いです。
「あ、あの。あんまり見ない、で……?」
「!!」
男同士でもそんなにジロジロ見られたら恥ずかしいよ。って、え、何?
せめて下着だけでも隠そうとシャツの裾を引っ張っていた手を、珠紀くんに掴まれました。
「痛っ……は、離して珠紀くん!」
いつも騒がしい彼にしては不自然なくらいの無言。だけど締め上げるみたいにどんどん強くなる握力。
あまりに急で訳が分からない。
他の人達も黙って見ているだけで動こうとしないし。
「嫌、あぁ……ッ」
あまりの痛みに、ぽろぽろと涙が零れた。
その途端
ゴクリッ
「――……その顔、たまんねぇ」
周囲から生唾を飲み込むような音が聞こえ、珠紀くんが呟いた。
ハッと周りを見れば、まるで獰猛な肉食動物のようにギラギラした眼差しの皆様。
それらに囲まれ、恐怖のあまり腰が抜けて座り込むトムソンガゼル(草食動物)の映像が脳裏に浮かんでしまう。
って、いや、え。
僕コロサレル?
ガタガタと震えつつ再び周囲を探れば、全員やたら鼻息が荒いです。
顔は赤く額にうっすら汗をかき、鼻の下も普段より異常に長くて気持ち悪いし。
さらには何かを揉むような、触ろうとするみたいないやらしい手つき。
っ、まさかの風紀委員長様まで!?
「や……嫌だ……こ、来ないで」
ソファーの上。
珠紀くんに腕を掴まれ逃げられない僕。
そして、こちらに向かってじりじりと近付いて来る生徒会役員さま達。
ひっ、やだ。
た、助けて。お願い助けて、もうこんなの嫌だ。
こ、怖いよおッ――……!
「そこまでにして貰おうか」
突然、他を威圧するような怒気を含んだ声が響く。
「て、帝王!?」
生徒会室の入口には、現在海外留学中だった筈の人物。
帝王こと、鬼城崇悦(きじょうたかえつ)
本人が立っていた。
「睦実に触れるな」
「がッ!?」
あっという間にこちらへ近付き、片手で珠紀くんの頭を掴むとそのまま投げ飛ばした帝王。
ベシャッと床に激突したけど、高価そうなふわふわ絨毯の上だし……大丈夫だよね。
それよりも。
「久しぶりだな睦実、俺が留守の間も良い子にして待っていたか?」
「たか、え、つ……? 崇悦、どうして。まだ帰って来られない筈じゃ」
「日本に残した睦実が心配で早目に研究を終わらせた。予定よりかなり急いだからな、また数日ほど戻ることにはなるだろうが。
何だ、俺に会えて嬉しくないのか」
「っ、嬉しい、けど」
久しぶりに生で聞くその甘い声に、さっきとは違う意味で身体が震えてしまう。
見透かすようにくすりと笑う綺麗な顔。
その瞳が僕に向けられるだけで、どうしてこんなに恥ずかしいんだろう。
照れ隠しで外した視線の先には、驚きで目を見開いた副会長さまと会計さま。
「あ、あのこれは、どういう事なんでしょうか」
「な、何で帝王がこんな平凡なんかにー?」
「おい貴様ら口を慎め、彼は帝王の婚約者さまだぞ」
「…………は!?」
風紀委員長さまの言葉に驚く、生徒会役員の皆様。
うん。
僕なんかと帝王が、しかも男同士で許婚(いいなずけ)って本当にありえないよね。
でも事実だから。
ていうか委員長さま、知ってたんだ。
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