愛犬とスローライフを楽しもうとしたら女神様に聖女を育てる様に言われました。

竹本りょう

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聖女候補の育成編

05.エルザさんと冒険者登録

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 俺は、女将さんに許可を取って、宿屋の裏庭を使わせてもらっていた。

 剣術を確かめたかったからだけど、剣など持ったこともないし、振ったこともない。

 でもいざ剣を抜いて構えてみると、それなりにしっくり手に収まった。

 子どものころ、剣道はやっていたが中途半端でやめて、段位も取っていなかったのにな。

 だが、ゆっくり振ってみると、それなりに形になっているようだった。

 これが剣術の効果なのかな、中段と上段と下段に構えて振ってみたが何とかなったが、真剣は流石に重くて疲れた。

「アーム、朝食できたから、はやく食べちゃいな。リョウはもう食べたよ」

 女将さんに急かされて、食堂の席に着くと今度は犬耳のかわいいウェイトレスさんが運んできてくれた。

 ここは天国か!心の中でつぶやいた。

 うーん、相変わらずパンが固い、スープというかポトフだな。こっちは美味い。

 食べていると、犬耳の可愛いウェイトレスさんが話しかけてきた。

「あんた、いいとこの坊ちゃんかい。固いパンはスープにつけて。柔らかくして食べるんだよ」

 冗談めかして言って、厨房のほうに入っていった。

 この宿当たりだな、かわいい獣人ウェイトレスはいるし、宿代は安いしダインさんに感謝だな。

 食堂を出ると、リョウが女将さんになで回されていた。

 こいつ、本当に女将さんにテイムされるのではないかと、心配になってきた。

(大丈夫ですよ、もうご主人様にテイムされてますし。複数人にされることは無いですから)

 え、いつお前を、テイムなんてしたっけ。記憶にないんだけど怖い。

(天界で、ご主人様と再会したとき特別に。女神様がやっておいてくれたんですよ)

(魔力が、強すぎてビビりになっている以外は。凄い女神様なんです)

 お前の、女神様に対する忠誠心が歪んでいるように思えるのは、私だけだろうか。

 そんなことより、今日はギルドで冒険者登録するんだった。

 宿を出ようとすると、女将さんに呼び止められる。

「こんな時間で出ていくとは、ギルドで登録かい」

「なんでわかったんですか」

「朝から、あんな不格好な素振りを見せられたら。大体わかるよ」

「受付で、馬の尻尾亭のエルザの紹介出来ましたって。言ってみな、悪いようにはされないよ」

「なぜ、そんなに良くしてくれるんですか」

「あんたが、名犬のティマーだからさ」

 そう言うと、店の奥に行ってしまった。

 エルザさんの見た目は30歳前半に見えたが、引き締まったスタイルから20代後半にも見える。

 よし、今度こそギルドに行くぞ。

(それでは、道案内はお任せします。シャキッとついてきてくださいね)

 シャキッとって、俺は野菜か何かか。

 そんなことを、思いつつリョウについていくと、意外と早く10分ぐらいで目的の場所に着いた。

 2階建ての、横長の邸宅と言ってもよいぐらいの大きさの立派な建物であった。

 緊張しつつ中に入ると、受付が5つもあり、それぞれの窓口に美人のお姉さんが待機していた。

 一番空いている3番窓口にリョウと並んでいると、

「ケッ あんな、ちっこい犬のティマーなんかが。並んでやがるぜ」

 好意的ではない、言葉が聞こえてきた。

 無視していると、受付の順番が回ってきて受付嬢は、綺麗な兎耳の獣人お姉さんである。

 なんと、天然のバニーちゃんに精神年齢がじじいの自分でも嬉しさがこみ上げてくるし、嫌な言葉など忘れてしまった。

「今日は、どのような御用件でしょうか」

「馬の尻尾亭の、エルザさんの紹介で冒険者登録にやってきました」

 その直後、受付嬢達を含めて周囲の者達がざわめきだした。

「エルザ姉さんの紹介か、ありゃただのティマーじゃないな」

 一様に、皆そのようなことを言い出した。

 うう、目立たないように、しなきゃいけないのに女将さんって何者なんだろう。

(いいじゃないですか、なめられたら舐め返すものですよ)

 お前はドッグだからな!

 ざわめきも落ち着いたころ、

 受付嬢が、少し声を震わせて問いかけてきた。

「ではこの用紙に、必要事項を書き込んでください」

「大変失礼ですが、文字は書けますか? 代筆もできますよ」

 なんか妙に、馬鹿丁寧な言い回しだなと思いながら。

「大丈夫ですよ、読み書きはできます」
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