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番外編1
エマ・ネイリー19
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「黒髪の騎士さんなら、一人で出掛けている子を気に掛けているのよ」
「そうなの?」
答えてくれたのはここにいる中で、この修道院に一番長くいるチアナだった。
「メーラとか、シシーもよく見守られているって言ってたわ。最初は視線を感じて、何かしらと思ったそうだけど、無暗に近づかずに会釈して来るそうよ。今ではありがとうございますって、話すようになったって」
「エマさんもそんな感じだったのかもしれないわ。無暗に恋人かしらなんて言って、ごめんなさい」
「私もてっきり。媚びを売るような方にも見えなかったから、親しいのかなって思ったのよ」
騎士に関しては勘違いしているのか、別に相手がいるのか分からないが、極力関わらないようにすべきだとは思っていたのだが、数日後、エマの方から近付いて来た。
「ソフィアさん」
「ああ、エマさん。どうしたの?」
「相談に乗ってくれると言っていたから来ました」
「ええ、何かあったの?」
関わりたくはないが、相談に乗ると言った手前、後は気持ちの悪さを解消したいとも思っていた。
「結婚しようかと思っています」
「そうなの?決めたのね」
「はい、両親はなんて言うか分からないけど、頑張って認めて貰うつもりです」
「そう、良かったわね。あれからは会ったの?」
「いいえ、でも次の外出の際に会いに行こうと思っています」
「そうなの、見た目はどんな方なの?」
「ええっと、黒髪で、ブラウンの瞳で、背が高い方です」
ソフィアの心臓はどんどん特徴を聞く度に、早くなっていった。あの騎士もブラウンの瞳だった。だが、あの騎士が何らかの理由、例えば復讐として、嘘を付いていないとは限らない。
エマはまだここへ来て、一年も経っていない。会う機会もあまり多くなかったはずだが、いつから好意を持たれていると思ったのだろうか。
「へえ、そうなのね。いつ頃、好きだと言われたの?」
「口ではなかなか男性は言わないですよね」
「じゃあ手紙?」
「いえ、私を見る目です」
「目?」
「はい、私を愛おしそうに見つめるんです。キス、でもしてくれたら分かり易いのにって思うんですけど、ふふ」
間違いない、勘違いで好意を持たれていると、思い込んでいるのだと感じた瞬間だった。もしかしたら、殿下にも?と頭を過ったが、かき消すことにした。
しかし、どうするべきか、いや、私は関係ない。あの騎士が言ってくれたら、それで終わることだろう。
「そうなのね、頑張ってね」
「いえ、頑張るのは向こうですから」
「ははっ、そうね」
エマの頭ではあの騎士に優しくされて、好意を持たれていると思い、私が結婚したらと言ったからかもしれないが、結婚したいと思うようになったのだろう。
私は不味いことを言ってしまったのだろうか、いや、もう関わりたくはない。
頭のおかしな女は元夫の愛人でお腹いっぱいだ。おかしさを醸し出していてくれれば、もっと早く気付けたのにと酷く後悔した。
「ソフィアさんにお伝えしておこうと思って、話を聞いてくれてありがとうございました」
「いっ、いえ、いいのよ」
軽やかな足取りで去って行ったが、彼女は一体どんな思考をしているのか、気持ちの悪さではなく、気持ちの悪い存在だったのだと思い知った。兄から聞いていなければ、信じたのだろうか、いや、おかしいと思っただろう。
しかし、目だけで好意を持たれていると思えるものだろうか。
そして、エマの外出日となり、出掛けて行ったそうだ。何と言われたか言いに来るのだろうか。しかし、戻ってからエマが何か言って来ることはなかった。
気にはなっていたが、関わることの方が危険である。
その後、イーラからあの騎士は王都勤務になったと聞かされた。エマは知っていたのだろうかと思っていたら、エマは外出の日に戻って来ず、修道院から消えた。
「そうなの?」
答えてくれたのはここにいる中で、この修道院に一番長くいるチアナだった。
「メーラとか、シシーもよく見守られているって言ってたわ。最初は視線を感じて、何かしらと思ったそうだけど、無暗に近づかずに会釈して来るそうよ。今ではありがとうございますって、話すようになったって」
「エマさんもそんな感じだったのかもしれないわ。無暗に恋人かしらなんて言って、ごめんなさい」
「私もてっきり。媚びを売るような方にも見えなかったから、親しいのかなって思ったのよ」
騎士に関しては勘違いしているのか、別に相手がいるのか分からないが、極力関わらないようにすべきだとは思っていたのだが、数日後、エマの方から近付いて来た。
「ソフィアさん」
「ああ、エマさん。どうしたの?」
「相談に乗ってくれると言っていたから来ました」
「ええ、何かあったの?」
関わりたくはないが、相談に乗ると言った手前、後は気持ちの悪さを解消したいとも思っていた。
「結婚しようかと思っています」
「そうなの?決めたのね」
「はい、両親はなんて言うか分からないけど、頑張って認めて貰うつもりです」
「そう、良かったわね。あれからは会ったの?」
「いいえ、でも次の外出の際に会いに行こうと思っています」
「そうなの、見た目はどんな方なの?」
「ええっと、黒髪で、ブラウンの瞳で、背が高い方です」
ソフィアの心臓はどんどん特徴を聞く度に、早くなっていった。あの騎士もブラウンの瞳だった。だが、あの騎士が何らかの理由、例えば復讐として、嘘を付いていないとは限らない。
エマはまだここへ来て、一年も経っていない。会う機会もあまり多くなかったはずだが、いつから好意を持たれていると思ったのだろうか。
「へえ、そうなのね。いつ頃、好きだと言われたの?」
「口ではなかなか男性は言わないですよね」
「じゃあ手紙?」
「いえ、私を見る目です」
「目?」
「はい、私を愛おしそうに見つめるんです。キス、でもしてくれたら分かり易いのにって思うんですけど、ふふ」
間違いない、勘違いで好意を持たれていると、思い込んでいるのだと感じた瞬間だった。もしかしたら、殿下にも?と頭を過ったが、かき消すことにした。
しかし、どうするべきか、いや、私は関係ない。あの騎士が言ってくれたら、それで終わることだろう。
「そうなのね、頑張ってね」
「いえ、頑張るのは向こうですから」
「ははっ、そうね」
エマの頭ではあの騎士に優しくされて、好意を持たれていると思い、私が結婚したらと言ったからかもしれないが、結婚したいと思うようになったのだろう。
私は不味いことを言ってしまったのだろうか、いや、もう関わりたくはない。
頭のおかしな女は元夫の愛人でお腹いっぱいだ。おかしさを醸し出していてくれれば、もっと早く気付けたのにと酷く後悔した。
「ソフィアさんにお伝えしておこうと思って、話を聞いてくれてありがとうございました」
「いっ、いえ、いいのよ」
軽やかな足取りで去って行ったが、彼女は一体どんな思考をしているのか、気持ちの悪さではなく、気持ちの悪い存在だったのだと思い知った。兄から聞いていなければ、信じたのだろうか、いや、おかしいと思っただろう。
しかし、目だけで好意を持たれていると思えるものだろうか。
そして、エマの外出日となり、出掛けて行ったそうだ。何と言われたか言いに来るのだろうか。しかし、戻ってからエマが何か言って来ることはなかった。
気にはなっていたが、関わることの方が危険である。
その後、イーラからあの騎士は王都勤務になったと聞かされた。エマは知っていたのだろうかと思っていたら、エマは外出の日に戻って来ず、修道院から消えた。
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