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番外編1
エマ・ネイリー23
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「…クリコット様」
「エマ・ネイリー、いい加減にしなさいと言ったはずです。セイル・サノー、下がっていただいて結構です」
「は!」
引き続きトアストとグレーナは残るため、セイルは一礼して、部屋から退出した。
「あっ、待」
「彼は既婚者です」
立ち上がろうとしたエマだったが、黙って下を向いた。
「あなたは修道院にいたはずですが、何をしているのですか!」
クリコットは怒鳴りつけるも、エマは下を向いたまま黙っている。
「さすがに言葉にするのは恥ずかしいですか?好意を持たれていると勘違いして、修道院を勝手に抜け出して、ここまでやって来た。そうですね?」
それでもまだエマは顔を上げず、黙り込んでいる。
「彼が付き纏われては困ると思い、特別に入れましたが、あなたは本来は王宮には入れないことになっています」
「な、なぜですか」
ようやく顔を上げたが、先程よりも近くで見るその顔にクリコットはギョッとした。ドレスも似合っていないが、今日は化粧も濃い。ドレスに合わせたのか、ピンク色の口紅が協調されており、テカテカと輝いていた。
「ご両親から聞いたはずです。もう忘れたのですか」
「…あ」
母が王家の招待から外されたと言っていたことをようやく思い出した。殺される可能性があるとも言っていたが、あっさり通され、殺されることはなく、やっぱり嘘だったと考えていた。
「ノワンナ語の検定にも落ちたそうですね、過去最低点だったそうです。最低点というのもおかしいですね、一問も正解していないのですから」
「そんなはずありません」
「いいえ、事実です」
「確かに難しかったですが、答えをきちんと書きました」
「学園の試験ではないのですよ?既に極めた者が受けるのが検定です。挨拶や御礼などなかったでしょう?」
簡単な挨拶などの問題はない。そんなもの出来て当たり前の検定であり、省かれているため、一問も正解を出せなかったと思われる。
「はい、でも答えました」
「ええ、その全てが間違いだったそうです。ノワンナ語ではなく、トワイ語で書かれた部分もあったそうです。実技も全て間違っており、共に零点だったそうですよ」
「でも、頷いて聞かれていました」
「聞くのが仕事ですから、当たり前でしょう。出来ないということを証明出来ただけです。それで、あなたは東の修道院に戻れなくなりました。トアスト、ご両親を呼んで来てもらえますか」
「は!」
「両親…また修道院に戻るのですか」
すぐさま鋭い顔をした両親が足早にやって来て、エマを見付けて叫んだ。
「「エマっ!!」」
母親は今にも殴り付けそうなほどの憎しみに満ちた表情をしていたが、クリコットはまずは座ってくださいと促した。
「怒りは後で十分にどうぞ。手続きをしてしまいましょう」
「はい、申し訳ございません」
「エマ、お前はネイリー家から除籍する。これが書類だ」
父は抱えていた紙に、さらさらとサインをした。
「え…どうして。ちょっと勘違いした、いいえ、騙されたの!」
「隣の部屋で全て聞いていた、サノー殿に申し訳ないことをしたというのに!何が騙されただ!」
エマが待たされている間に、ネイリー夫妻は王宮に呼ばれて、隣の部屋で恥ずかしい思いで、全てを聞いていた。
ネイリー夫妻はエマが修道院からいなくなり、母は修道院へ、父は捜索をし、その後にソフィアの兄・ファンダー伯爵令息から、騎士に勝手に懸想して、騎士団に会いに来るかもしれないと聞き、ずっと邸で待機していたのだ。
そして、退出した際にセイルにご迷惑をお掛けしましたと謝罪をし、大変ですねと声を掛けられていた。
「西の修道院に行ってもらいます。もう二度と会うことはないでしょう」
「西…嫌よ、絶対」
「さすがにあなたでも西の修道院は知っていましたか」
「監獄だって…」
「エマ・ネイリー、いい加減にしなさいと言ったはずです。セイル・サノー、下がっていただいて結構です」
「は!」
引き続きトアストとグレーナは残るため、セイルは一礼して、部屋から退出した。
「あっ、待」
「彼は既婚者です」
立ち上がろうとしたエマだったが、黙って下を向いた。
「あなたは修道院にいたはずですが、何をしているのですか!」
クリコットは怒鳴りつけるも、エマは下を向いたまま黙っている。
「さすがに言葉にするのは恥ずかしいですか?好意を持たれていると勘違いして、修道院を勝手に抜け出して、ここまでやって来た。そうですね?」
それでもまだエマは顔を上げず、黙り込んでいる。
「彼が付き纏われては困ると思い、特別に入れましたが、あなたは本来は王宮には入れないことになっています」
「な、なぜですか」
ようやく顔を上げたが、先程よりも近くで見るその顔にクリコットはギョッとした。ドレスも似合っていないが、今日は化粧も濃い。ドレスに合わせたのか、ピンク色の口紅が協調されており、テカテカと輝いていた。
「ご両親から聞いたはずです。もう忘れたのですか」
「…あ」
母が王家の招待から外されたと言っていたことをようやく思い出した。殺される可能性があるとも言っていたが、あっさり通され、殺されることはなく、やっぱり嘘だったと考えていた。
「ノワンナ語の検定にも落ちたそうですね、過去最低点だったそうです。最低点というのもおかしいですね、一問も正解していないのですから」
「そんなはずありません」
「いいえ、事実です」
「確かに難しかったですが、答えをきちんと書きました」
「学園の試験ではないのですよ?既に極めた者が受けるのが検定です。挨拶や御礼などなかったでしょう?」
簡単な挨拶などの問題はない。そんなもの出来て当たり前の検定であり、省かれているため、一問も正解を出せなかったと思われる。
「はい、でも答えました」
「ええ、その全てが間違いだったそうです。ノワンナ語ではなく、トワイ語で書かれた部分もあったそうです。実技も全て間違っており、共に零点だったそうですよ」
「でも、頷いて聞かれていました」
「聞くのが仕事ですから、当たり前でしょう。出来ないということを証明出来ただけです。それで、あなたは東の修道院に戻れなくなりました。トアスト、ご両親を呼んで来てもらえますか」
「は!」
「両親…また修道院に戻るのですか」
すぐさま鋭い顔をした両親が足早にやって来て、エマを見付けて叫んだ。
「「エマっ!!」」
母親は今にも殴り付けそうなほどの憎しみに満ちた表情をしていたが、クリコットはまずは座ってくださいと促した。
「怒りは後で十分にどうぞ。手続きをしてしまいましょう」
「はい、申し訳ございません」
「エマ、お前はネイリー家から除籍する。これが書類だ」
父は抱えていた紙に、さらさらとサインをした。
「え…どうして。ちょっと勘違いした、いいえ、騙されたの!」
「隣の部屋で全て聞いていた、サノー殿に申し訳ないことをしたというのに!何が騙されただ!」
エマが待たされている間に、ネイリー夫妻は王宮に呼ばれて、隣の部屋で恥ずかしい思いで、全てを聞いていた。
ネイリー夫妻はエマが修道院からいなくなり、母は修道院へ、父は捜索をし、その後にソフィアの兄・ファンダー伯爵令息から、騎士に勝手に懸想して、騎士団に会いに来るかもしれないと聞き、ずっと邸で待機していたのだ。
そして、退出した際にセイルにご迷惑をお掛けしましたと謝罪をし、大変ですねと声を掛けられていた。
「西の修道院に行ってもらいます。もう二度と会うことはないでしょう」
「西…嫌よ、絶対」
「さすがにあなたでも西の修道院は知っていましたか」
「監獄だって…」
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