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番外編2
ミーラ・オールソン3
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祖父が亡くなり、父が国王になった際に、父は時折、横を見て満足そうに口角を上げ、その横には母を感じることが出来た。そして、高らかに宣言した。
「王妃は、私の愛する妻であるサリーだけだ」
今までで一番、父の格好いい姿だった。
それでも、王妃がいないことに問題が起こるかと思われたが、国内はすべての公爵家が立てる者がいるのか、サリー様しか認めないとし、国外からも王妃になどと言って来ることもなかった。
これは母が正妃だったからに他ならないだろう。サリー・オールソンの次に正妃になろうなどという猛者は国外にもいなかった。
いたとしても、母と比べられてしまえば、心が折れてしまうはずだ。二十四ヶ国語話せるの?と言われて、話せますという人がいたら、会ってみたいくらいだ。
国内でも何もなかったわけではない、父は年を取っても見た目はいいので、年若い子爵令嬢が王妃になってあげるなどと言ったことがあったが、素早い速さで回収され、二度と彼女を見ることはなかった。
絶対に触れてはいけない琴線に触れてしまったと誰もが思っただろう。
離宮から王太子宮に移る際に肖像画と一緒に移動した。父は毎日、離宮、王太子宮に来ては母の肖像画に話し掛けている。
きっとこれまで忙しいと相手にされなかったが、肖像画ならば逃げない、微笑んでくれることが嬉しいのだろう。
私とルミナの間にセリー王女の次は、王子が二人生まれていた。セリーもまだ幼く、王子二人は会ったこともない祖母は、あの肖像画たちがなければ、どんな顔で笑うのかは知れなかっただろう。
ルアース・ベルア氏にも会いに行き、いとこであるサネリが同行してくれた。母の肖像画はルアース・ベルア氏の仕事部屋の一番目立つ場所に飾ってあった。
「見るだけで元気が出る」
そう話すベルア氏は、私を見て、優しい顔で、涙を溜めていた。母に似ていて良かったと思った瞬間だった。横でサネリがいつものごとく、どうして私は似ていないのかとぶちぶち言っていた。
母が亡くなった年を超え、何とも言えない気持ちになった。子どもたちも一生懸命に勉強し、苦手なこともあるが、立派に育っている。
父が体調を崩し、危ないかもしれないと言われた時、何か希望はないか問うた。
「サリーの絵を…あの絵を見たい」
父は毎日、母の絵を見ていた。きっと父のかけがえのない時間だったのだろう。
一時的に肖像画を父の部屋に移すと、父は「独り占めだな」と、とても嬉しそうに微笑んだ。
「この絵を見ると笑顔になれる」
「こんな顔、見せて貰えなかったのにですか?」
「お前は辛辣だな、まあ私に似なくて良かった。似ていたら、私は叱ることが出来なかった」
「それはそうでしょうね、どの口が言っているんだって言われたら、何も答えられませんからね。でも母様は二人ともに似ていないと」
「確かに、サリーは一度決めたら曲げない。ミーラは少し曲げてしまうだろう?サリーなら優しいからだと言うのだろうな。私が亡くなったら、金庫にサリーからの最期の手紙が入っているから、棺に入れて欲しい。持って行かないといけないんだ」
父は数日後に、後は頼んだと言わんばかりに、息を引き取った。金庫を開けると、母の手紙があった。リールへでもなく、リール殿下へでもなく、リール・オールソン様と書かれた封筒に、母らしいと思った。
内容を読んで、改めて母に、そして父に感謝した。
私が国王となり、誰に見せたいかと問われれば、誰よりも愛する母に見せたい。実際、聞かれればそう答えていた。
「母様、見守ってくれていますか」
リール国王陛下、ミーラ国王陛下は、サリーに恥じない国王として名を遺した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただきありがとうございます。
これにてミーラ編、終了です。
次は夫、リール殿下編です。
よろしくお願いいたします。
「王妃は、私の愛する妻であるサリーだけだ」
今までで一番、父の格好いい姿だった。
それでも、王妃がいないことに問題が起こるかと思われたが、国内はすべての公爵家が立てる者がいるのか、サリー様しか認めないとし、国外からも王妃になどと言って来ることもなかった。
これは母が正妃だったからに他ならないだろう。サリー・オールソンの次に正妃になろうなどという猛者は国外にもいなかった。
いたとしても、母と比べられてしまえば、心が折れてしまうはずだ。二十四ヶ国語話せるの?と言われて、話せますという人がいたら、会ってみたいくらいだ。
国内でも何もなかったわけではない、父は年を取っても見た目はいいので、年若い子爵令嬢が王妃になってあげるなどと言ったことがあったが、素早い速さで回収され、二度と彼女を見ることはなかった。
絶対に触れてはいけない琴線に触れてしまったと誰もが思っただろう。
離宮から王太子宮に移る際に肖像画と一緒に移動した。父は毎日、離宮、王太子宮に来ては母の肖像画に話し掛けている。
きっとこれまで忙しいと相手にされなかったが、肖像画ならば逃げない、微笑んでくれることが嬉しいのだろう。
私とルミナの間にセリー王女の次は、王子が二人生まれていた。セリーもまだ幼く、王子二人は会ったこともない祖母は、あの肖像画たちがなければ、どんな顔で笑うのかは知れなかっただろう。
ルアース・ベルア氏にも会いに行き、いとこであるサネリが同行してくれた。母の肖像画はルアース・ベルア氏の仕事部屋の一番目立つ場所に飾ってあった。
「見るだけで元気が出る」
そう話すベルア氏は、私を見て、優しい顔で、涙を溜めていた。母に似ていて良かったと思った瞬間だった。横でサネリがいつものごとく、どうして私は似ていないのかとぶちぶち言っていた。
母が亡くなった年を超え、何とも言えない気持ちになった。子どもたちも一生懸命に勉強し、苦手なこともあるが、立派に育っている。
父が体調を崩し、危ないかもしれないと言われた時、何か希望はないか問うた。
「サリーの絵を…あの絵を見たい」
父は毎日、母の絵を見ていた。きっと父のかけがえのない時間だったのだろう。
一時的に肖像画を父の部屋に移すと、父は「独り占めだな」と、とても嬉しそうに微笑んだ。
「この絵を見ると笑顔になれる」
「こんな顔、見せて貰えなかったのにですか?」
「お前は辛辣だな、まあ私に似なくて良かった。似ていたら、私は叱ることが出来なかった」
「それはそうでしょうね、どの口が言っているんだって言われたら、何も答えられませんからね。でも母様は二人ともに似ていないと」
「確かに、サリーは一度決めたら曲げない。ミーラは少し曲げてしまうだろう?サリーなら優しいからだと言うのだろうな。私が亡くなったら、金庫にサリーからの最期の手紙が入っているから、棺に入れて欲しい。持って行かないといけないんだ」
父は数日後に、後は頼んだと言わんばかりに、息を引き取った。金庫を開けると、母の手紙があった。リールへでもなく、リール殿下へでもなく、リール・オールソン様と書かれた封筒に、母らしいと思った。
内容を読んで、改めて母に、そして父に感謝した。
私が国王となり、誰に見せたいかと問われれば、誰よりも愛する母に見せたい。実際、聞かれればそう答えていた。
「母様、見守ってくれていますか」
リール国王陛下、ミーラ国王陛下は、サリーに恥じない国王として名を遺した。
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お読みいただきありがとうございます。
これにてミーラ編、終了です。
次は夫、リール殿下編です。
よろしくお願いいたします。
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