【完結】あなたの愛は今どこにありますか

野村にれ

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理屈ではない

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「私は、君以外を妻にする気はない!」
「もし、君がいなくなっても、絶対に再婚なんてしない…」 

 愛する夫の言葉を聞きながら、私は生涯を終えたはずであった。

 それなのに、なぜ目の前に夫がいるのだろうかなどと考えていた。しかも、新しい妻と妻との間に子どもまでいる。

 頭の中では仕方ない、幼子を抱えて、亡くなった妻を思い続けるなんて、出来なかったのだろうと理解しようとした。

 だが、同時にカールスとバイラの仲睦まじい姿を見せられて、メメリーとの夫婦生活は全てが嘘だったのではないかと思うようになったのも早かった。

 メメリー・ハイラードは、実兄であるシュナイド・スペンサ侯爵の娘・メリーナとして生まれ変わっていた。名付けは、私の名前だったメメリーから取ったというのだから、皮肉でしかない。

 私の息子であるリークスのこともあって、ハイラード伯爵家とスペンサ侯爵家は今でも関係がある。

 唯一、生まれ変わって良かったことは、リークスが大きくなった姿を見れたことであった。だが、継母に微笑み、腹違いの義弟に優しくしている姿を見ていると、無性に消えたくなった。

 後妻は悪い女ではないのだろう。だが、私には悪い女以外の何者でもなく、確か子爵家の娘で結婚していたはずだと思ったが、離縁して再婚をしたのだろう。

 芽生え続けてしまう、どす黒い思いを封じるには、距離が近かった。

 一応、カールスとは姪と叔父であるために、優しく接してくる姿に、何度、あなたは私の夫でしょうと、掴み掛りたかったか、分からない。

 でも時が経つにつれ、こちらが正解で、私が間違っていたのだろうか。

 私は、私こそが要らなかったのではないか。

 私は何のために、メメリーの記憶を保持したまま生まれ変わったのかと、考えるようになっていた。

 神様…私は何か罪を犯したのでしょうか…と、何度も問い掛けたが、答えてくれることはない。

 自分で答えを出せということなのだろうかと、考え続けた。

 エンバーに懐かれたせいで、ハイラード伯爵家にも招かれることになり、私には辛く、その日の夜は死にたくて眠れなかった。

 兄たちは仲良くするように言って来ることも、辛かった。

「また断ったのか?」
「ええ、勉強についていけなないものですから」
「それは聞いたけど、折角誘ってくれているのに」
「仲良くしてやれよ」

 礼儀は既に身に付いていたが、体が違うので、馴染ませるくらいであった。でも、勉強はする気にはなれなかった。落ちこぼれでいい、見捨ててくれるのならそれでいいと、自暴自棄にもなっていた。

 エンバーから婚約を申し込まれた時は、吐き気がした。

 リークスでなくて良かったと思ったが、リークスはエンバーのせいで私と距離を取っているのだろうと思い、エンバーをさらに忌々しく思った。

 エンバーに罪がないことは分かっている。だから、何度か我慢して付き合い続けた。だが好意を持たれることはこの世で、一番不愉快な相手であった。

 だが、何も知らないエンバーを必要以上に傷付けることはしたくなかった。

 メメリーだと明かさずに、どうにか遠ざける作戦を考えなければならなかった。

 他に好きな人がいると告げようかとも考えたが、そうなればエンバーの性格から誰なのかということになるために、避けることにした。

 だからエンバーに継ぐ爵位がないことを分かった上で、しなかった勉強を逆手に取ることにした。頭が良くないから、当主になれないと言えば、自ずとエンバーとの縁は切れると思った。
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