10 / 34
?
しおりを挟む
「私もメリーナ嬢が時折、急に悲し気な目をしているのは気になっていた」
「え?」
「泣きそうな目をしていることがあったんだ。もしかしたら、何か嫌なことがあるのではないかと思って、それがエンバーのことでなければいいと思っていた」
「そうだったのですか」
「ああ…」
好意を寄せるエンバーも、気付いていたのだなとカールスは感じていた。
「もう一度だけ、メリーナ嬢に話をさせて貰えないか聞いてみませんか?」
「そうだな」
もう一度、スペンサ侯爵にメリーナと話をしたいを伝えると、メリーナに許可を得て、場を設けて貰うことになった。
「時間を取って貰ってすまない」
「ごめんなさいね」
招かれたスペンサ侯爵邸で待っていたのは、メリーナ一人だけであった。
「私一人だけでよろしいですか?」
「ああ、勿論だ」
スペンサ侯爵か、夫人も同席するのだと思っていたが、話をしたいのはメリーナであったために、カールスとバイラには問題はなかった。
メイドがお茶を用意すると、メリーナは人払いをして、3人きりになった。
「お話を始めましょうか」
「無理強いをする気はないのだが、もう一度だけでいいから、エンバーのことを考えては貰えないだろうか」
「リークス様からお話は聞かれたのですか?」
「ああ」
「では、答えは聞いてらっしゃるではありませんか」
「でもエンバーはあなたを幼い頃から想っているわ、仲だって良かったじゃない」
「そうですね…」
「だったら、あの子ともう一度だけでいいから、向き合って貰えないかしら」
メリーナは、呆れたように首を振った。
「私も貴族の義務として、結婚するのです。まだ決まってはいませんが、後妻として嫁ぎたいと話しております」
「後妻?」
「だったら、エンバーの方がいいのではないかしら」
「いいえ、その方の後妻の方が、スペンサ侯爵家に利がありますもの。貴族なのですから、そうするべきだとは思いませんか?」
「それは、分かっている。家にとって利があることが大事なのは分かっているが、君は選べる立場ではないか」
メリーナの立場は、エンバーとは違って、自身で選択が出来る。
誰の後妻かは分からないが、利があるということは高位貴族である可能性が高く、若い子息ということはないだろう。
「夫人は貴族の義務で嫁いだわけではないのですか?」
「え?」
「後妻の先輩としてお教えください」
問い掛けるメリーナは、いつも以上に大人びていて、バイラはドキリとした。
「私は、貴族の義務もあったとは思うけど…カールス様とは求める部分が同じだったというか、それで嫁がせて貰ったの。生家には利はないと思うわ」
バイラは再婚した際も両親に興味を持たれなかったが、生家であるギジナー子爵家とは縁を切ったような形になっている。
前の夫を紹介した親戚が、子爵家は見張って置くからと言ってくれており、ハイラード伯爵家に迷惑を掛けるようなことは今まで起こっていない。
「伯爵はいかがですか?後妻は必要ではありませんでしたか?」
「いや、それは…お相手がどなたかは分からないが、私は息子が幼かったこともあり、妻も再婚であったから、メリーナ嬢とは状況が違うよ」
「貴族の義務ではないということですか?」
「いや、再婚を勧められていたから、それもあったと思う」
メリーナはいつもの悲しげな瞳を見せ、一度目を瞑って、二人の顔を見据えた。
「私は再婚するのです」
「え?再婚?」
「え?」
カールスとバイラは、後妻だから再婚だと言っているのだろうと思ったが、何か分からない違和感を感じた。
「え?」
「泣きそうな目をしていることがあったんだ。もしかしたら、何か嫌なことがあるのではないかと思って、それがエンバーのことでなければいいと思っていた」
「そうだったのですか」
「ああ…」
好意を寄せるエンバーも、気付いていたのだなとカールスは感じていた。
「もう一度だけ、メリーナ嬢に話をさせて貰えないか聞いてみませんか?」
「そうだな」
もう一度、スペンサ侯爵にメリーナと話をしたいを伝えると、メリーナに許可を得て、場を設けて貰うことになった。
「時間を取って貰ってすまない」
「ごめんなさいね」
招かれたスペンサ侯爵邸で待っていたのは、メリーナ一人だけであった。
「私一人だけでよろしいですか?」
「ああ、勿論だ」
スペンサ侯爵か、夫人も同席するのだと思っていたが、話をしたいのはメリーナであったために、カールスとバイラには問題はなかった。
メイドがお茶を用意すると、メリーナは人払いをして、3人きりになった。
「お話を始めましょうか」
「無理強いをする気はないのだが、もう一度だけでいいから、エンバーのことを考えては貰えないだろうか」
「リークス様からお話は聞かれたのですか?」
「ああ」
「では、答えは聞いてらっしゃるではありませんか」
「でもエンバーはあなたを幼い頃から想っているわ、仲だって良かったじゃない」
「そうですね…」
「だったら、あの子ともう一度だけでいいから、向き合って貰えないかしら」
メリーナは、呆れたように首を振った。
「私も貴族の義務として、結婚するのです。まだ決まってはいませんが、後妻として嫁ぎたいと話しております」
「後妻?」
「だったら、エンバーの方がいいのではないかしら」
「いいえ、その方の後妻の方が、スペンサ侯爵家に利がありますもの。貴族なのですから、そうするべきだとは思いませんか?」
「それは、分かっている。家にとって利があることが大事なのは分かっているが、君は選べる立場ではないか」
メリーナの立場は、エンバーとは違って、自身で選択が出来る。
誰の後妻かは分からないが、利があるということは高位貴族である可能性が高く、若い子息ということはないだろう。
「夫人は貴族の義務で嫁いだわけではないのですか?」
「え?」
「後妻の先輩としてお教えください」
問い掛けるメリーナは、いつも以上に大人びていて、バイラはドキリとした。
「私は、貴族の義務もあったとは思うけど…カールス様とは求める部分が同じだったというか、それで嫁がせて貰ったの。生家には利はないと思うわ」
バイラは再婚した際も両親に興味を持たれなかったが、生家であるギジナー子爵家とは縁を切ったような形になっている。
前の夫を紹介した親戚が、子爵家は見張って置くからと言ってくれており、ハイラード伯爵家に迷惑を掛けるようなことは今まで起こっていない。
「伯爵はいかがですか?後妻は必要ではありませんでしたか?」
「いや、それは…お相手がどなたかは分からないが、私は息子が幼かったこともあり、妻も再婚であったから、メリーナ嬢とは状況が違うよ」
「貴族の義務ではないということですか?」
「いや、再婚を勧められていたから、それもあったと思う」
メリーナはいつもの悲しげな瞳を見せ、一度目を瞑って、二人の顔を見据えた。
「私は再婚するのです」
「え?再婚?」
「え?」
カールスとバイラは、後妻だから再婚だと言っているのだろうと思ったが、何か分からない違和感を感じた。
1,563
あなたにおすすめの小説
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
白い結婚を告げようとした王子は、冷遇していた妻に恋をする
夏生 羽都
恋愛
ランゲル王国の王太子ヘンリックは結婚式を挙げた夜の寝室で、妻となったローゼリアに白い結婚を宣言する、
……つもりだった。
夫婦の寝室に姿を見せたヘンリックを待っていたのは、妻と同じ髪と瞳の色を持った見知らぬ美しい女性だった。
「『愛するマリーナのために、私はキミとは白い結婚とする』でしたか? 早くおっしゃってくださいな」
そう言って椅子に座っていた美しい女性は悠然と立ち上がる。
「そ、その声はっ、ローゼリア……なのか?」
女性の声を聞いた事で、ヘンリックはやっと彼女が自分の妻となったローゼリアなのだと気付いたのだが、驚きのあまり白い結婚を宣言する事も出来ずに逃げるように自分の部屋へと戻ってしまうのだった。
※こちらは「裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。」のIFストーリーです。
ヘンリック(王太子)が主役となります。
また、上記作品をお読みにならなくてもお楽しみ頂ける内容となっております。
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
貴方なんて大嫌い
ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と
いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている
それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる