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貴族の義務1
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「貴族の義務も大事だが、エンバー君を選んでもいいんだぞ?支えて貰うことが悪いことではない」
「そうよ、そんなに気負う必要はないのよ」
両親は兄夫妻だったこともあって、厳しい部分もあるが、人の気持ちを考えられる優しい人たちであることは知っていた。
「当主は私です、馬鹿にされるのが目に見えております」
「そんなことはない。礼儀やマナーは出来ているのだから、出来ないところは補い合えばいい」
「エンバー様は出来ないことなどないでしょう。爵位が目当てだと言うのなら、まだ理解が出来ますが、それでも私でなくとも良いと思えるのです」
両親も勉強が振るわないことを、メリーナが酷く気にしていることを分かっており、責めるようなことはない。
「お父様とお母様はエンバー様と、結婚して欲しいのですか?」
「メリーナのために努力をしたと言われたらな、無碍には出来ないと思ったんだよ」
「ええ、私もよ。メリーナを大事にしてくれると思えるもの」
夫妻は始めこそメメリーが亡くなり、大変だったことは分かるが、再婚には諸手を挙げて賛成だったわけではなかった。
だが、バイラと付き合うようになって、きちんと弁えており、リークスにも優しく接し、リークスも懐いている姿を見て、納得したのである。
だからエンバーが生まれた際には、きちんと喜ぶことが出来ていた。
メリーナはどこか大人びており、エンバーが子どもらしく連れ回す姿に、メリーナにはあのような相手がいいのではないかと思っていた。
だが、メリーナはあまり好んでいるとは思えず、勉強が振るわないことから、当主にはなれない、侯爵家に利のある相手と結婚したいと言い出すようにもなっていた。
愛されている方が貴族にとって問題は起きにくく、親としても婚約をメリーナが受け入れるなら、良い話だと思っていた。
だが、メリーナの答えは見ての通りであった。
その後も、エンバーからもチャンスをくださいと言われたり、カールスからもやはり難しいでしょうかと相談を受けることもあった。
「…実は私には好きな人がいるのです」
「そう、だったのか?」
「え…」
劣等感を抱えるようになって、そんな相手がいても言い出せなかったのではないかと、夫妻は何と言えばいいのか分からなかった。
「ですが、お相手がいる方なのです」
「そうか…」
その言葉に、それは特に言えなかっただろうと感じ取った。
「ですから誰にも口にすることはしませんでした。エンバー様にもです。きっと誰なのだろうと考え、頭のいい方には気付かれてしれないと思ったからです」
「でも、叶わないお相手なのでしょう?だったら…」
母・サシーは諦めざる得ない相手なら、前に進んでみればいいと、優しく諭すように告げた。
「いえ、エンバー様がもし、私を本当に好いてくださっているのなら、いつか気付くと思います。私もその方を見たら、誰を愛しているのか分かりますから」
「それは…」
まるで本当の大人の女性のようなことを言う娘に、成長を感じはしたが、それは想像だろうと、実際に起きてみれば違うのではないかと思った。
「でも、結婚すれば違うかもしれないわ」
「そうならなかった時が、怖いのです。私は他の人を想いながら、一生欺き続けなければならない…他に好きな人がいると正直に話して、諦めてくれればいいですが、誰なのか気付かれたら、相手にも相手のお相手にも、私にも誰の得にもなりません。ならば、貴族の義務として、スペンサ侯爵家にも相手にも利のあるなら、欺かなくてもいいのではないかと思うのです。卑怯なことかもしれませんが、私はそちらを選びたいのです」
「そうよ、そんなに気負う必要はないのよ」
両親は兄夫妻だったこともあって、厳しい部分もあるが、人の気持ちを考えられる優しい人たちであることは知っていた。
「当主は私です、馬鹿にされるのが目に見えております」
「そんなことはない。礼儀やマナーは出来ているのだから、出来ないところは補い合えばいい」
「エンバー様は出来ないことなどないでしょう。爵位が目当てだと言うのなら、まだ理解が出来ますが、それでも私でなくとも良いと思えるのです」
両親も勉強が振るわないことを、メリーナが酷く気にしていることを分かっており、責めるようなことはない。
「お父様とお母様はエンバー様と、結婚して欲しいのですか?」
「メリーナのために努力をしたと言われたらな、無碍には出来ないと思ったんだよ」
「ええ、私もよ。メリーナを大事にしてくれると思えるもの」
夫妻は始めこそメメリーが亡くなり、大変だったことは分かるが、再婚には諸手を挙げて賛成だったわけではなかった。
だが、バイラと付き合うようになって、きちんと弁えており、リークスにも優しく接し、リークスも懐いている姿を見て、納得したのである。
だからエンバーが生まれた際には、きちんと喜ぶことが出来ていた。
メリーナはどこか大人びており、エンバーが子どもらしく連れ回す姿に、メリーナにはあのような相手がいいのではないかと思っていた。
だが、メリーナはあまり好んでいるとは思えず、勉強が振るわないことから、当主にはなれない、侯爵家に利のある相手と結婚したいと言い出すようにもなっていた。
愛されている方が貴族にとって問題は起きにくく、親としても婚約をメリーナが受け入れるなら、良い話だと思っていた。
だが、メリーナの答えは見ての通りであった。
その後も、エンバーからもチャンスをくださいと言われたり、カールスからもやはり難しいでしょうかと相談を受けることもあった。
「…実は私には好きな人がいるのです」
「そう、だったのか?」
「え…」
劣等感を抱えるようになって、そんな相手がいても言い出せなかったのではないかと、夫妻は何と言えばいいのか分からなかった。
「ですが、お相手がいる方なのです」
「そうか…」
その言葉に、それは特に言えなかっただろうと感じ取った。
「ですから誰にも口にすることはしませんでした。エンバー様にもです。きっと誰なのだろうと考え、頭のいい方には気付かれてしれないと思ったからです」
「でも、叶わないお相手なのでしょう?だったら…」
母・サシーは諦めざる得ない相手なら、前に進んでみればいいと、優しく諭すように告げた。
「いえ、エンバー様がもし、私を本当に好いてくださっているのなら、いつか気付くと思います。私もその方を見たら、誰を愛しているのか分かりますから」
「それは…」
まるで本当の大人の女性のようなことを言う娘に、成長を感じはしたが、それは想像だろうと、実際に起きてみれば違うのではないかと思った。
「でも、結婚すれば違うかもしれないわ」
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