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悪くない
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エンバーはそのまま去って行ったために、両親の様子には気付かなかったが、その気持ちはメリーナの希望だと気付いた。
メリーナは後妻として、子どもを作らない選択をした。
カールスとバイラは、それがメリーナの出した答えだったのだと気付いた。
エンバーのことを否定する気も、後悔したこともなかったが、エンバーさえいなければ、メリーナもメメリーも納得が出来たのではないか。
ようやくエンバーの存在が、どれだけメリーナを苦しめたのだと理解した。
そして、一番報われなかったのは、エンバーである。騎士団に入団したが、辺境に移動願を既に出しているそうだ。
メリーナがカールスとバイラを見たくなかったように、エンバーもメリーナを見るのが辛いという。
誰も悪くない。
メリーナも辛い思いをしながら、エンバーと結婚することも。エンバーの気持ちが届かなかったことも。貴族として、家のために嫁ぐことも。
悪いことなんて一つもない。
罪を犯したとすれば、出来もしない約束をした自分だとカールスは思った。
そして、バイラも始めに願い出た母親にだけなれば良かったと、約束を破ったのは私だと思っていた。
二人は、エンバーの言葉に何も話すことはなかった。
エンバーは二年が経ち、ようやく辺境への移動願が叶った。結局、結婚することも、恋人が出来た様子もなく、旅立って行った。
「じゃあ、行って来る」
「体にだけは気を付けるんだぞ」
「食事もちゃんと取るのよ?」
「怪我をするなよ」
「お気を付けてくださいね」
「分かっているよ」
皆で送り出し、自暴自棄になっているのではないかと心配はしたが、皆も元気ならそれでいいと思うことにした。
「メリーナが困っていたら、すぐに連絡してくれよ」
「すぐに連絡するから心配するな」
エンバーの言葉に、リークスがすぐに答えた。
カールスとバイラは、相手がデートライ公爵ということで、辛い目に遭っているのではないか、悩まされているのではないか、いずれ離縁するかもしれないと考えているのだろうと思ったが、何も言えなかった。
「あの子は…メリーナ夫人が離縁するのを待っているのかしら」
「あっ、ああ、そうかもしれないな」
「そんなこと…」
「ああ…」
カールスとバイラは、二人きりになるとギクシャクした空気が流れるようになっていた。
それでも、リークスがハーライド伯爵家を継ぐまでは、しっかり努めなければと、奮い立たせ、恥じぬように生きて来た。
結婚当初のような、幼いリークスがいないことで、それ以上に居心地の悪い夫婦になっていた。
リークスとファイラだけは仲良く過ごしており、気掛かりだったのは、まだ子どもは出来ていないことくらいだった。
あまり気にしないように言ってはいたが、その後も子どもが出来ることはなかった。
「養子を取ったっていい」
「でも、エンバー様は結婚する気はないでしょう」
「そうなれば、親族からでも、スペンサ侯爵家に頼んでもいい」
「でも…」
子どもが出来ないからと離縁するような時代ではないが、やはり子どもがいないことは問題とされることは変わりない。
ハーライド伯爵家の親戚が駄目でも、スペンサ侯爵家もあると考えていた。
リークスもエンバーからメリーナが子どもは産まないと聞いていたが、もし産んでくれれば、エンバーは複雑かもしれないが、デートライ公爵家の後継者問題にならず、ハーライド伯爵家の跡取りに出来るのにとも考えたくらいであった。
そんなある日、ハーライド家に、メリーナ・デートライ公爵夫人が亡くなったと一報が入った。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2話、投稿いたします。
次はいつもの17時です。
どうぞよろしくお願いいたします。
メリーナは後妻として、子どもを作らない選択をした。
カールスとバイラは、それがメリーナの出した答えだったのだと気付いた。
エンバーのことを否定する気も、後悔したこともなかったが、エンバーさえいなければ、メリーナもメメリーも納得が出来たのではないか。
ようやくエンバーの存在が、どれだけメリーナを苦しめたのだと理解した。
そして、一番報われなかったのは、エンバーである。騎士団に入団したが、辺境に移動願を既に出しているそうだ。
メリーナがカールスとバイラを見たくなかったように、エンバーもメリーナを見るのが辛いという。
誰も悪くない。
メリーナも辛い思いをしながら、エンバーと結婚することも。エンバーの気持ちが届かなかったことも。貴族として、家のために嫁ぐことも。
悪いことなんて一つもない。
罪を犯したとすれば、出来もしない約束をした自分だとカールスは思った。
そして、バイラも始めに願い出た母親にだけなれば良かったと、約束を破ったのは私だと思っていた。
二人は、エンバーの言葉に何も話すことはなかった。
エンバーは二年が経ち、ようやく辺境への移動願が叶った。結局、結婚することも、恋人が出来た様子もなく、旅立って行った。
「じゃあ、行って来る」
「体にだけは気を付けるんだぞ」
「食事もちゃんと取るのよ?」
「怪我をするなよ」
「お気を付けてくださいね」
「分かっているよ」
皆で送り出し、自暴自棄になっているのではないかと心配はしたが、皆も元気ならそれでいいと思うことにした。
「メリーナが困っていたら、すぐに連絡してくれよ」
「すぐに連絡するから心配するな」
エンバーの言葉に、リークスがすぐに答えた。
カールスとバイラは、相手がデートライ公爵ということで、辛い目に遭っているのではないか、悩まされているのではないか、いずれ離縁するかもしれないと考えているのだろうと思ったが、何も言えなかった。
「あの子は…メリーナ夫人が離縁するのを待っているのかしら」
「あっ、ああ、そうかもしれないな」
「そんなこと…」
「ああ…」
カールスとバイラは、二人きりになるとギクシャクした空気が流れるようになっていた。
それでも、リークスがハーライド伯爵家を継ぐまでは、しっかり努めなければと、奮い立たせ、恥じぬように生きて来た。
結婚当初のような、幼いリークスがいないことで、それ以上に居心地の悪い夫婦になっていた。
リークスとファイラだけは仲良く過ごしており、気掛かりだったのは、まだ子どもは出来ていないことくらいだった。
あまり気にしないように言ってはいたが、その後も子どもが出来ることはなかった。
「養子を取ったっていい」
「でも、エンバー様は結婚する気はないでしょう」
「そうなれば、親族からでも、スペンサ侯爵家に頼んでもいい」
「でも…」
子どもが出来ないからと離縁するような時代ではないが、やはり子どもがいないことは問題とされることは変わりない。
ハーライド伯爵家の親戚が駄目でも、スペンサ侯爵家もあると考えていた。
リークスもエンバーからメリーナが子どもは産まないと聞いていたが、もし産んでくれれば、エンバーは複雑かもしれないが、デートライ公爵家の後継者問題にならず、ハーライド伯爵家の跡取りに出来るのにとも考えたくらいであった。
そんなある日、ハーライド家に、メリーナ・デートライ公爵夫人が亡くなったと一報が入った。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2話、投稿いたします。
次はいつもの17時です。
どうぞよろしくお願いいたします。
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