【完結】あなたの愛は今どこにありますか

野村にれ

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別れ

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 メリーナが結婚して、六年が経っていた。

 社交界でもメリーナは、デートライ公爵のおかげもあって、学園の頃に勉強が出来なかったことなど関係なく、華々しく過ごしていたはずであった。

 だが、最近は確かに社交界にも、不在ということもあった。

 嫡男であるルージスが結婚して、忙しくしているのではないかくらいにしか思われていなかった。

 カールスは一報を聞いて、スペンサ侯爵家にすぐさま向かっていた。

「メリーナ、夫人が、亡くなったと伺って」
「ああ…」

 丁度、邸に戻っていたシュナイド・スペンサ侯爵がいた。

「少し前から具合を悪くしていてね」
「そんな…」
「君に言うべきではないのかもしれないが、他の者から聞くよりいいだろう。実は、メメリーと同じ病だったらしい」
「病?」
「出産後に、心臓が悪くなっただろう?」
「は、い」
「遺伝的なものらしく、年齢を重ねると、徐々に不調をきたすものだったらしい。メリーナは出産をしていないから、ここまで生きれたそうだ」

 シュナイドはメリーナに子どもを勧めたこともあり、病が分かって、謝罪した。メリーナは気にしなくていいと、許してくれたが、酷く後悔していた。

「っ」
「責めているわけではない。メメリーも後悔はしていないだろう。リークスを産んで、幸せだったはずだ」

 カールスも何も知らなければ、そうだと思えたかもしれないが、本当にそうだっただろうかと思ってしまっていた。

「…メリーナ嬢は知っていたのですか?」
「ああ、三年前から心臓に雑音が混ざるようになっており、覚悟していたそうだ。最期も長くないことも分かっていて、生き抜いたよ。メメリーもそうだっただろう?」
「…はい」

 メメリーは生きたいと、懸命に最期まで生き抜いた。

「公爵もメリーナを大事にしてくれてね。最期は夫と息子と嫁に囲まれて、幸せだったと亡くなったよ」

 病が分かり、せめて好きな相手と結婚させてやりたかったと妻とも話していた。だが、相手がいると言っていたことから、結局誰だったのかも分からなかった。

 いや、きっと聞かなくて良かったのだと思っている。

 本当に結婚してからは、メリーナは楽しそうにしていることが多かった。

「そう…ですか」
「だが、妹も、娘も私より先に逝くなんて思っていなかった。一度だけでも辛いのに、二度も起こるなんてな…」
「はい…」
「意識が混濁しているメリーナが、間違えてお兄様と呼んでね。メメリーに呼ばれたような気すらしたよ」
「…そうで、すか」

 カールスは何も言えなかった、きっとメリーナはシュナイドを思わず、呼んでしまったのだろう。だが、そんなことは言えない。

「明日が葬儀だ、参列してくれ。きっとメリーナも喜ぶだろう」
「…はい」

 エンバーにはバイラが連絡をしてくれているだろうが、間に合うだろうか。

 みごとなほどの晴天の日に、メリーナ・デートライ公爵夫人の葬儀は行われた。

 エンバーは夜通し馬で走って、何とか間に合うことが出来たが、泣きながら走り続けたようで、邸に着いた時には目も鼻も真っ赤であった。

「事実なのですか?」
「ああ、間に合って良かった」

 最期の姿を見て別れるのと、見ずに別れるのではきっと、気持ちが違うだろうとカールスは考えていた。バイラも間に合うのかと、眠れない夜を過ごしていた。

「誤報ではなく…何かの間違いではなく…?」
「残念だが、心臓を悪くして亡くなられたそうだ」
「公爵様のせいではないですか!」
「違う!遺伝的なもので、公爵様もメリーナ夫人にはとても良くしてくれたいたと、スペンサ侯爵がおっしゃっていた。ご子息ともよく出掛けてらしたそうだ。嫁いだせいではない」
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