【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】レッドブラウンの瞳3

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「その時にローズミー、ペジリー、ラオイの話を聞いていたのです。アイルーンの意識があることに気付かず、あの三人はペラペラと話しておりました。何をしているのか、どうして体が動かないのか、採血の痕がなかなか消えないこと、貧血であること、全てが繋がりました」

 ルーベンスはその言葉に、唇を噛み締め、拳を握り締めるしかなかった。

 デリア侯爵家の護衛たちも、ようやくテイラーが何者なのかが分かり、アイルーンの最期を歯がゆい気持ちで聞き届けることしか出来ずにいた。

「動けなかったというのは、睡眠薬か?」
「そういうことです」
「そうか…」

 唯一と言っていいテイラーが口にした睡眠薬。殺す気はなかったと言っていた犯人たちは、アイルーンを押さえて付けたり、無理矢理に行っていたわけではないことから、悪いことをしている感覚がなかったのだろう。

「体のだるさがあったのですが、妊娠中にはそういったこともあると医師に言われて、アイルーンも初めてのことでしたから、もっと気を付けるべきでした」
「申し訳ございません…」

 カーズ医師は思わず、絞り出すように謝罪をした。

「あなたではなかったわ」

 テイラーはカーズ医師には、昨日初めて会った。

「同じ医師として、謝罪をいたします。食事に混ぜられていたのでしょうか」
「そうなのでしょうね、薬などは服用していませんでしたから。食事か飲み物に混ぜられていたのだと思います」
「あってはならぬことです。ラオイ医師が用意したのでしょう…」
「そうか」

 ディオエルもアイルーンが気付いていれば、妊娠中であることから誰かに訴えたことだろう。私に言ってくれたかもしれない。だが、それすら叶わなかった。

 死の間際で何も出来ずに亡くなった無念さが、テイラーに記憶を持たせたのかもしれないと、ディオエルは思った。

「疑似番のことは知らなかったのか?」
「ええ、昨日初めて知りましたが、妊娠のために必要なのだということは話しておりましたから、そういうことだったのかと思いました」

 ローズミーとペジリーとラオイは、あの時が初めてではなかったのにも関わらず、言い聞かせるためなのか、妊娠するために血が必要だと話していた。

 おかげでアイルーンは、何が起きているかを理解が出来たが、もう誰にも助けを求めることすら出来ないことに絶望したのである。

「本当に妊娠はしたのですよね」
「ああ…だがお腹も大きくならず、そういう体質なのだと言っていたが、生まれた子はあまりに小さく、赤子とも呼べないような状態だった」

 ディオエルも、今でも鮮明に思い出せる姿であった。

「妊娠は可能ということなのですね?」
「そういうことなのだろうが、結果も同じということだろう」
「その後、ローズミーは妊娠しなかったのですか?」
「ああ」
「他の妃は妊娠していないのですか?」
「していない」

 テイラーはどこか他人事のように、一応は成果が出たのはローズミーだけだったのかと考えていた。

「では毒だけ取り込んだのですね」
「自業自得だな」
「ええ、まさか自分たちが毒を体に入れていたとは知らずに、滑稽ですわね」
「私の血も入れてやりたいほどだ」
「それはよろしいですわね」

 テイラーはルーベンスに向かって、微笑んだ。

「ローズミーは悪化する一方だと思いますので、一番先に罰を決めた方がいいと思いますわ」
「分かった」
「そもそも、ペジリーがローズミーの母親だとは知りませんでしたの」
「っな!そうなのか?」

 驚いたのはルーベンスで、乳母や何か忠誠心の強い間柄なのだと思っていた。

「ええ」
「だから、あんなにも加担していたのか」
「そのようですね、私も親子だと知ったのは、死の間際でしたから」

 ローズミーがペジリーをお母様と呼んでいて、アイルーンはとても驚いたが、納得もしたのである。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日は1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時に、もう1話投稿します。

どうぞよろしくお願いいたします。
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