【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】ならざるもの

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 ディオエル、ライシード、主要貴族、騎士団、医師が集まり、順番に処罰について考えることになった。イオリクも関与していないことで、同席を許された。

「上から決めていくか、ローズミー、ペジリー、ラオイは同じ罰でいいな」
「はい」
「皇族殺しですから、一択でしょう」
「ローズミーは、子どもを授かった事実があるではありませんか。ペジリーもその母親ですよ?命まで奪うことはないのではありませんか」

 声を上げたのは、イオリクであった。

 ローズミーは放って置いても死ぬことになるが、アイルーンを非難することが目に見えているためにイオリクには明かしていない。

 皆も何を聞いていたのかという表情をされていることに、気付くことも出来ず、どうしてここまでペジリーとローズミーを庇えるのか、分からない。

「人の命を奪って、出来た子だ」
「そんなことは…少しやり方を間違えてしまっただけで、ディオエル様を思ってのことだと分かるではありませんか」
「それで人を殺してもいいと言うのか!いい加減にしろ!」

 ディオエルがイオリクを怒鳴り付けると、カーズはよろしいですかと手を上げた。

「酷い言い方になるかもしれませんが、過去の文献には疑似番の子は人ではないという考えもあったようです」
「人ではない?」
「はい…魂の宿っていないものとされていたと書かれていました。妊娠は順調とされていたのですよね?」
「ああ、腹が出ていないことには不思議に思われていたが」
「そういう体質だと言われていたではありませんか」

 イオリクはディオエルに、必死で訴えた。

「ですからですよ。既に生きていない、体も出来ていない状態で生まれて来たのに、そこまで生きているとされていたのですよ?」
「だから、生きていたのでしょう」
「呼吸が出来る状態でもないのにですか?」

 カーズ医師は、再度生まれてきた子についてのカルテを見た。そこには産み月でここまで小さく、体も不完全であったと、詳しく描かれていた。

 胎の中では母体から酸素を貰っていたのか、という疑問すらあった。

「それは…」
「過去の文献を探してみました。どれもローズミーの子と同じと判断していい記述でした。私も人ではないからという方が、医師として納得が出来ます。他の者にも意見を求めましたが、同意見でした」

 他の医師も同席しており、当時その場にいた者も深く頷いていた。

「そうか…」
「お辛いことを思い出させて申し訳ありません」
「いいや、むしろその方が私は救われる。宿って消えるより、元からなかったのなら、少しは可哀想だと思わずに済む」

 だからと言って、命がなかったものとする気はないが、少しばかり慰められた気持ちであった。

「いえ、ローズミーとの子はそんなことはないはずです!人ではないなど、可哀想ではありませんか」
「お前はローズミーの時だけ声を上げ、アイルーンの子ことはなぜ声を上げない?あちらはそのローズミーに殺されたのだぞ?まだ分かっていないのか!」
「それは…でもローズミーは…」
「そのローズミーは、自白剤を打たれて、ずっと自身の子を来るなと追い払っていたのだぞ?それを可哀想だと?子の方が余程、可哀想じゃないか!」

 ディオエルの言葉に、知らなかった者は思わず顔を歪ませた。

「ぅっ、それは…」
「それは何だ?理由を言えるのか?」
「い、え…」
「もうお前は下がれ」
「ですが」
「皆も賛成している」

 皆も頷いており、イオリクは去るしかなかった。

「そんなにペジリーとローズミーが大事なら、同じ罰にしてやったらどうですか」

 一人の当主が首を振りながら、イオリクの言葉に呆れて口にした。

「何があそこまでさせるのかが、分からない」
「確か、イオリクが好きだったのではありませんでしたか?そんな話をしていたのを聞いたような…」

 別の当主が何か思い出しながらも、口にした。
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